表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

VOL.3

「良いですか、まずはマナーをマスターしてください!」

……はい。頑張りますから、ルリカさん睨まないでください。

とはいえ、礼の仕方一つにも細かくて、ずっと田舎で暮らしていた私には理解不能。

角度やら言葉遣いやらテーブルマナーやら……。頭が爆発しそうだ。

結局夜が明けるまで、ルールを叩き込まれた。



「……寝ます」

今何時だと思ってるの明け方5時だよ。バリ村にいたころ毎日10時には寝てたよ。

頭の中で恨みつらみを撒き散らしつつ、ベッドにダイブ。あー凄い、フカフカだー。

「どうぞおやすみなさってください。ただ、二日後王妃様達がお茶会を開くそうなので、起きたら徹底的にやらせていただきます」

この人は鬼か。

「王妃の自覚を持ってください」

側室になるの決定なの? 王子も鬼か。

「ルリカさん、一つお願いしてもいいですか」

「何なりと」

「王子ってどんな人ですか? 子守歌代わりにでも、お願いします」

ルリカさんは少し戸惑っていたが、やがて話し始めた。



王子──カイ様は幼い頃から存じています。

カイ様には姉がいらっしゃる。それが第一王女ミシュラ様。ミシュラ様は大変できた御方で、昔から何でもカイ様の上をいくほど優秀なのです。

そのせいか、カイ様にはコンプレックス意識が強くて……。あの様な態度をとるのも、かまって欲しい表れなんですよ。

あと、小さい頃からいつも眉間に皺があって、難しい顔をしていました。友達も少なくて、いつも寂しそうだった。

でも、大好物のラズベリーを食べる時だけこう……子供らしいかわいい顔になって。

趣味? 狩り、ですかね。

とにかく、本当は真っ直ぐな方なんです。セシル様、カイ様をよろしくお願いします。



「セシル様! もうお昼ですよ」

どうやら話を聞いているうちに、眠ってしまったらしい。

「あと十分……いや九分五十九秒……」

「それほとんど変わってません。昼食ですよ」

あー、美味しそう……食べたい……でも眠い……。

「やっぱり断ってください」

「起きてください! 王子が会食を申し込んでいます」

布団を引っ張られるが、掴んで離さない。起きるもんか、絶対クマもできてる。

「いやー! 起きない!」

「起~き~ろ~!」

あれ? ルリカさん、声低くなった?

力が緩んで、布団をはぎ取られてしまう。

「寝かせてくださいよぉ~……」

薄く目を開けると、

「う、うわ!?」

……王子様ヤロー、だった。

考える前に体が動く。


バシッ!!


やっちゃったー……。

ビンタをした右の手のひらがジンジンと痛む。

「き、貴様! 俺の頬を打つとは、何事だ!!」

「だっ、だって寝間着姿ですよ!? いきなり入ってこられて、反射でっ……」

尻すぼみになっていく声を、ルリカさんは面白そうに、王子様は顔を真っ赤にして聞いていた。

「……いいか、お前は俺の命令に背くことは出来ない!」

怒りを押し殺した声で王子がいう。

「今すぐ着替えろ、庭で待っている」

「……はぁーい」

「返事は短く!」

「……はい」

「もっとはきはきと!」

「はい!」

「よろしい!」

軍隊みたいなやりとりを残して、王子は出て行った。

ルリカさんは、笑いを押し殺すのに必死だ。

「……もしかして私達、バカップルってやつに見えました?」

ついにこらえきれず、吹き出しながら頷いてくれた。

オーノー、ジーザス!!

聖女の末裔らしく、祈ってみた。

……神よ、助けてください!!

いや、助けろぉぉぉぉおおお!!!




登場人物紹介です。



セシル・ルーシー・ヴィトン

聖女の末裔で貴族だが、十六年間その事実を知らずに生きてきた。

かなり凶暴で、村での力仕事によって筋肉もついている。

突然側室にされ、戸惑い中。

可愛い物が好きなど、乙女な一面も。


能力:独自の戦闘ケンカ方法、聖女の魔法?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ