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誰だって怒りたい時が在る 2

「まずは簡単に自己紹介から済ませておきましょう。私は茶道部部長の柊椛。こちらは茶道部副部長兼、給仕係兼、座布団係兼、ボケ担当兼、ツッコミ担当兼……」


「俺、色々兼任し過ぎじゃありませんかね……。あとボケとツッコミ一人で二役ってどうゆうことですか?」


そんな間宮の言葉を軽く流し、柊は間宮の自己紹介を神楽坂にする。


「まあ色々と兼任している、エロ宮君だ」


「違う、間宮だ」


そんな柊のふざけた自己紹介を聞いた神楽坂は間宮に視線を向けてこう尋ねるのだった。


「エッチなんですか?」


「やめてくれ、真顔でそんな質問をしないでください、お願いします。死んでしまいます……」


「ああ……ごめんなさい」


神楽坂は申し訳なさそうに謝り、少し何かを考え始める様に首を少し傾ける。そして数秒後、何かを思い出したかのように神楽坂は声を上げる。


「あっ、確か学校にエッチなゲームを持ってきてるので有名な人ですよね!!」


「待って待って、有名ってそんなに話が広まってるの? 今朝の出来事だよ? それとエロゲーじゃないから、アレはギャルゲーだから、十八禁要素皆無だから、健全だからね。あと俺のじゃないから。そこの所大事、アレは俺のじゃない!!」


間宮は神楽坂に対しての誤解を解く為、口早に熱弁する。だが、神楽坂は間宮の言葉をイマイチ理解してない様子で首を少し傾け悩ましい表情を浮かべるのだった。


「その……私、そういうのよくわからないんで……」


――あっ、これは軽く引かれたな……。よし死のう、今すぐ死のう……というよりも死にたい……


間宮はそんなことを胸の内で呟きながら、その場に両手を付いて落ち込む。

そんな間宮を尻目に柊は神楽坂との話を進め始めるのだった。


「ふむ、これ以上『エロ宮』ネタを引っ張るのは流石に可哀想に思えて来たので冗談はコレくらいにして……そこで君にドン引かれて落ち込んでいる思春期真っ盛りの男子生徒は間宮君だ。それでは神楽坂さん。ここに来た理由は、彼氏が欲しい……だったかな? それで間違いないだろうか?」


そう言って柊は神楽坂が部室に訪れた際の言葉を思い出しながら、その言葉を口にする。


「はい!! そうなんですよ!! お姉ちゃんがここに相談したら彼氏が出来たって言ってて、だから私も彼氏が欲しいのでここに相談に来たんです!!」


「そう……『茶道部に恋愛相談をしたら念願の彼氏が出来ました』そんな胡散臭い通販番組の様なうたい文句に踊らされて、アナタはここに来たという訳ね……」


その言葉を聞いた柊は神楽坂に続けてこう尋ねる。


「まあ、相談をしてくれたのだから。私達茶道部は神楽坂さんに対して出来るだけ手助けしましょう……で、肝心のお相手は決まっているのかしら?」


「えっと……そうですね……優しい人が良いです!!」


「……」


神楽坂のそんな漠然とした答えに柊は無言になり思わず眉をしかめた。


「神楽坂さん……アナタは誰でもいいから適当に優しい男性とお付き合いしたい、そういう認識でいいのかしら?」


「はい!! そうです!! お姉ちゃんに彼氏が出来て幸せそうだったので、私にもそんな人が出来ないかなと思いまして!!」


「そう……」


そう呟く柊は神楽坂の言動に呆れながら、視線を落ち込む間宮に向けて神楽坂にこう言った。


「それでは、そこで落ち込む間宮君はどうだろうか? 君の言う優しい人に少なからず当てはまると思うぞ?」


「えっ? 俺?」


柊のそんな提案を横で聞いていた間宮は顔を上げ、神楽坂と視線を合わせる。


「う~ん。なんか違うかなと……優しそうですけど、一緒に居てつまらなそうです」


「ぐはっ!!」


神楽坂の無慈悲な言葉を聞いた間宮は、その場で血反吐を吐くような精神的な苦痛を受けて横たわるのだった。そして、そんな神楽坂の言葉を聞いた柊は目を見開き、神楽坂の手を強く握りこう言う。


「神楽坂さん……君は、間宮君の扱いが良くわかっているではないか……素晴らしい……」


「えっと……ありがとうございます……?」


神楽坂は柊の言葉に困惑しながらも、褒められたと思って無意識に「ありがとうございます」とぎこちなく柊に言葉を返すのだった。

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