1-1 帰らぬ問いかけ
本編スタートです。
是非、読んでみてください。
はぁ、疲れた。
黒板に並んだ、訳の分からない数式共。俺を苦しめる数学教師。この発言だけを聞いたら、俺を
とんでもない馬鹿だと思うが、
この教師は、何かしら俺に突っかかってきて、とんでもなく難しい問題を解かそうとする。
「無理です・・・こんなの解かる訳ないじゃないですか!」
今までは、頑張れば解ける問題しか出してこなかったが、今日に限って教科書に載ってもいない
場所から出してきやがった。
だが、無理だといったら、毎回こう言われる。
「おやぁ~?予習しときなさいって言っといた気がするけど・・・」
嘘だ!絶対に言ってない!教科書に乗っていないものを予習しといてくださいって言うか普通!?
と言うか教科書に載ってないものをやるか?
「すみません・・・してません」
逆らうと何かと面倒なので、下手に出て終わらせようとする。
「そうかぁ~、やる気がないのかぁ~」
思わず、はい、そうですよと頷きそうになったが、そんな事をしたら、逃がしてもらえないので何とか堪える。
「もういい、席に戻れ」
クラスメイトにクスクス笑われながら、扉側の一番後ろの席に戻った。席に戻ると、笑いを堪えた隣の女子が話しかけてきた。
「ねぇ、どうすればあんなに嫌われるの?」
「こっちが聞きたいよ」
この問答の通り、本当に心当たりがないのだ。あいつがいくら特徴的な頭と体系だからって悪口を言った覚えはないし、授業だった真面目に受けてる。いったい何処に問題がる?
☆★☆★☆★☆
5,4,3,2,1、0。救いの鐘が鳴り響く。嬉しい飯の始まりと忌々しい数学の終了の時間。
終了挨拶が終わったら、それぞれの鞄から弁当箱を取り出し、中のいい奴らと食べ始める。
それに、ここは公立の中学にしては珍しく弁当。
「なぁ、お前どうすればあんなに、絡まれんだよ?」
先ほどと同じ質問をされ苛立つ。
「知るか」
この質問をされたのは、一度や二度ではない。そう、それほどまでに奴は絡んでくるのだ。
別名禿彦。本名猿彦・・・じゃなかった、明彦だ。
「ほんっと、不思議だよなぁ」
質問をした友人が珍獣でも見るかのように、俺に視線を向けてきたので我慢できずに、腹を殴った。
「ゲふ・・・」
こりゃラッキー、鳩尾だぜ。
「若くして死にたくなければ、そんな目で俺を見るんじゃないぞ」
「りょ、了解・・・」
腹を抱えてうずくまっている、友人から精一杯の返事。
「よろしい」
いい返事が聞けたので、食事の再開。
嬉しい飯の時間も、友人達と会話をしているとすぐに過ぎてしまう。そして、会話ばかりにして
全然弁当の中身が減ったいないことに気づき、急いで食べる。
俺にとっては何気ない日常、当たり前であった日々。それが変わり始めたのは、卒業式の一週間前からだった。
☆★☆★☆★☆
「あぁ~あ、もうすぐ卒業だぜ」
「うるさい、それ今日何回目だ?」
ただ今五コマ目、この言葉は耳にタコが出来るほど聞いた。さすがに、うんざりだ。
「うーん、わかんねぇ」
友人は指を折って数えていたが、諦め机に突っ伏した。
「わかんなくなるくらい、言ってんなら黙れ。二度と喋るな」
「ふっ―」
「おっと、返答も結構だぜ」
ひどい様だが、繰り返し聞かされてたら、嫌にもなる。
「だから・・・」
喋ろうとした俺は、周りの異変に気づく。みんなの動きが止まっているのだ。教師も生徒も全員だ。
「おーい」
先ほどまで喋っていた友人の目の前で手を振ってみるが、何の反応もない。
隣のクラスの奴らも全員止まっていた。大人しく、自分の席に戻ると、フワッと空気が流れた。
「ふざけんな!」
突然聞こえた声に驚いて、寝かしていた体を起こすと、止まっていた連中がみんな動いていた。
「何驚いてんだよ?」
俺の気も知らないで、いつもの間の抜けた声を出す。
「いや、何でも無い。それより喋るなって言ったろ」
時が止まっていたと言っても、信じないだろうから、起きた事は忘れ話を合わせる。
心に大きな不安を残しながら、授業を終えた。
☆★☆★☆★☆
その日ノ夜
「どうして・・・」
ベランダで、頭を抱え悩んでいると、いい匂いがしてきた・
「飯だぞ」
「あぁ、今日はカレーか。いや、今日もカレーか・・・」
こいつが当番の時は絶対にカレー。
悩ましそうに声を上げると、テーブルに置いてあった俺のカレーを取り上げてきた。
「何すんだよ!」
「どうやら。お前は俺が作ったカレーを食べたくないらしいな」
「わかってるなら、もっと別の物作りやがれ!」
急に腹が立ってきたので怒鳴る。怒鳴ると奴は、ほっとして自分の耳を塞いだ。その拍子に、カレーが床に落ちる。
「おい!」
「う、嘘だ!うちの子に、うちの子に反抗期がくるなんて!」
俺は思った、この寸劇は、床を汚してまでやる価値があったのか?と。
それに、俺はこいつの子じゃない。
「てめぇ、掃除すんの誰だと思ってんだ」
苛立ちを抑えながら問うと、悪びれた様子も無く、俺を指差してはっきりと言った。
「ん?お前だから落としたんだけど・・・」
その一言で、俺は爆発した。
「潰す!!」
殴りかかる。が見事に避けられてしまう。
「チッチッチ、甘いな、弟よ。そんなんじゃぁ、お兄様は捕らえられないぜ」
俺の前に、余裕な顔で立っている兄貴。確かに、こいつにとって初心者のパンチを避けるなど
容易いだろう。なんせ、ボクサーだ。おまけに剣道もやっている。
悔しさのあまり、自分の拳を見ていたら、おどけた声で煽られる。
「どうした?まさか・・・終わりか?」
睨みつけると、余裕の顔に怒りが再度湧き上がり、拳を握り殴りかかる。
☆★☆★☆★☆
「はぁ、はぁ、くそ」
時計を見る。
今の時刻は、深夜十二時。流石に、近所迷惑だと兄と和解して勝負は終わった。
兄は引き分けだと言っていたが、明らかに俺の負けだ。何せ一度も殴れなかったのだから。
☆★☆★☆★☆
翌日の学校でも昨日と同じ事が起こった。
どうしてかは、もちろん知らない。そしてしばらくすると、途端に元通りだ。
それに、気が掛かりな事も出てきた。それは、寿命だ。
時が止まっている間、俺だけが生きているのだ。
皆より早く死んでしまう・・・そんな考えが頭を過ぎると、みんなはいつの間にか動き出しているのだ。「おい、大丈夫か?」
友人に話し掛けられ、はっと顔を上げる・
「お前、最近どうしたんだ?ずっと上の空だけど。振られたか?」
「違う。今のところ好きな女子もいない」
「そうなのか?でも、もうすぐ卒業だぜ。この三年間で、こう、グッとくる出会いはなかったのか?」
自分の胸の前で、拳を握り迫ってくる友人。
「気持ち悪い。近寄るな」
「さびしい奴だな、お前。俺なんか、一組の春子ちゃんに、三組の夏美ちゃんと秋子ちゃんをチョイスしてるとこだぜ」
友人の最低な発言は無視して、考えに戻る。
「はぁ、無視かよ。顔はいいんだからさ、もうちょっと欲張ってもいいんじゃない?」
「うるさい!次喋ったら、殴る」
赤面している俺を、見ているのが楽しいのか、周りの連中が笑い始める。
やったぜと言う顔をしている、友人。殴ってやりたかったが、周りを見方に付けられたので、下手な行動は出来ない。
「っち」
舌打ちだけをして、机に目をやると閉じていたノートが、開いており、女みたいな丸い字で書かれていた。
「そろそろ時間だよ」と。
急いで机の前の奴らを確認するが、いたのは男だけ。
もう一度ノートに目を落とすと、書いてあったはずの字が消えていた。
「なんなんだ」
誰にも聞こえないように、小さく呟いた。
その後の授業も、不安を残しながらではあったが、友人たちとの会話で何とか楽しくすごせた。
☆★☆★☆★☆
食事も済ませ、風呂にも入った俺は自室で、文字通り、頭を抱えて悩んでいた。
「どうなってんだよ」
抱えていた頭を上げ、冷たい光を放つ月を窓越しに見上げた。
ジッと見ていたら、目が痛くなってきたので逸らすと、突如視界が、ホワイトアウトした。
うちに閃光弾なんてあったっけ?兄貴の新手のイタズラかもしれない。
痛む目を、無理やり開けると、白く何もない空間に一人立っていた。
いや、もう一人いる。ただその少女は、浮いている。俺よりはるか高みに、ずっと、ずっと高い位置に
いる。
その為、顔が認識できない。体の線から、自分の判断で少女になっているが、真実はわからない。
しかし、これだけはわかった。何か言っている。顔が見えなくてもわかるのだ。
「何を言ってるんだ!!」
あらん限りの力で少女に問い返す。
「頼む、教えてくれ!俺に何が起こってるんだ!!」
段々と少女が遠のいてく。必死に手を伸ばし、この思いを届けようとする。
しかし、届く前に闇に飲まれ現実戻される。
冷たい夜にあわず、以上に汗をかいている俺。
「なんなんだよ・・・」
両手を握るが、先ほどの体験で脱力しており、うまく力が入らない。
難しい事は忘れ、その日は何とか眠りにつけた。
☆★☆★☆★☆
その日から二日、オなしことを繰り返し、残すは卒業式となった。
頼むから卒業式だけは邪魔しないでくれ。そればかり願っていた。
しかし、皮肉にもその日に滅びの運命に放り込まれるなんて、思いもしなかったよ。
えっと、すみません。続きもあげました。
これで、本編の一話は終わりです。
是非、読んでみてください。




