動画撮影
店長は魔道ドアを手動で半分開け、外に話しかける。
「商売の邪魔だから早めにお願いね!」
と騎士団へにっこり。
「あと怪我したらポーションあるから安心して。」
と、手で”さっさと片付けて”というジェスチャーをし
営業スマイルのまま魔導ドアを閉めた。
外の騎士団、完全に固まる。
その言葉と、“さっさと片付けて”の手振り。
魔獣の群れよりも店長の圧に驚いた。
「えっ…えっ…!?て、店長殿……!?
あの…我々…今…必死に戦闘中で…!」
別の騎士
「いや、でも…あの笑顔…なんか…逆らえない…。」
隊長らしき男が、魔獣の群れを見て、
店長を見て、そしてまた魔獣を見て――
「…全隊、突撃だ!!
店長殿の営業の邪魔はできん!!」
と叫んだ。
◆魔獣 vs 騎士団(+酔っ払い)
騎士団が一斉に突撃し、
魔獣の群れが応戦し、
リオネルは半泣きで逃げ回り、
ドランクさんは魔獣の背中をぽんぽん叩きながら
「お前も飲みすぎかぁ……?」
と意味不明なことを言っている。
だが、戦況は店長スマイルで一気に騎士団優勢へ傾いた。
店長のコーヒーは、残り少ない。
また魔導ドアを少しだけ開けて言う。
「あと1分だけ待つ…その後は国王へ報告だお前たち
この程度の魔獣に…。」
その言葉は、魔獣の咆哮よりも、重く響いた。
騎士団隊長の顔色が変わる。
「…っ!!全隊、聞こえたな!?
“1分以内に片付けろ”とのご命令だ!!」
若い騎士が困惑する。
「えっ!?命令が店長殿の??」
別の騎士
「国王に“仕事が遅い”って言われるくらいなら…魔獣の群れの方がまだマシだ!!」
一瞬で士気が跳ね上がる。
騎士団が一斉に突撃し、魔獣の群れが押し返される。
リオネルは相変わらずだ。
ドランクさんは相変わらず魔獣の邪魔が入り
入口にたどり着けずにいる。
ミナちゃん
「て、店長…店長の一言で…戦況がひっくり返りましたよ……?」
ゴルダさん
「まあ、店長のちくりは効くわよ。
あの人たち、縦社会だから…。」
店長がはっと気づく。
「ゴルダさんゴルダさん!ミナちゃんの動画であれやってアレ
"今日も元気にクリスタルマート!"ってやつ!!
ほらこの混乱バックに!編集してCMにしよ!」
ゴルダさんは、店長の言葉を聞いた瞬間
コーヒーをすすりながら、ゆっくりと目を細めた。
その表情は、やるときはやるプロの顔。
「…ミナちゃん、店長命令だし、やるわよ。」
ミナちゃん
「えっ!?あ、あれって…“今日も元気にクリスタルマート!”の
あのCMのやつですか!?この状況で!?」
ゴルダさんは立ち上がり、
ホットスナックのトングをマイク代わりに構えた。
「そうよ。背景に魔獣の群れ、騎士団の突撃、
酔っ払いのドランクさん…こんな絵になる混乱そうそう無いわ。」
ミナちゃん
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?でも……でも……!」
◆と言いつつミナちゃん、撮影モードへ。
ミナちゃんは魔導フォンを構え直し、
震える声で言った。
「え、えっと……
じゃ、じゃあ……撮ります……!」
外では――
・騎士団が必死に魔獣を押し返し
・リオネルが転がり
・ドランクさんが魔獣の背中をぽんぽん叩き
・魔獣たちが困惑
その背景の前で、ゴルダさんがトングをマイクにして、
胸を張って立つ。
「今日も元気に――クリスタルマート!!」
その瞬間、外で騎士団が一斉に振り返った。
若い騎士
「えっ!?今CM撮ってるの!?この状況で!?!?」
隊長
「おい! 映るな! 映るな!店長殿のCMに映るな!!」
リオネルは髪型を気にしている。
あとがきも見てくれてありがとうございます
異世界には大手商会のコンビニがチェーン展開してます




