王国広報局の来店
入ってきたのは――
王国の紋章入りのマントを羽織った、
いかにも“お堅い役人”という雰囲気の男女3名。
先頭の男が胸を張って名乗る。
「クリスタルマート店長殿!我々は王国広報局である!」
役人は続ける。
「本日クロスに投稿された“魔獣襲撃中のCM動画”について、
国王陛下が大変ご興味を示されている!」
後ろの女性役人がバッっと書類を広げる。
「つきましては、王国公式CMの制作依頼 ならびに
王宮内での特別営業許可の打診 を行いたく参上した!」
役人が深々と頭を下げる。
「どうか、我々にお時間をいただきたい!」
王国広報局が詰め寄るように並ぶ。
店長が深いため息をつきながら、
レジ前で王国広報局の役人たちに向き直る。
「はぁ…まぁ話だけなら。」
その一言で、役人3名の背筋がピンッと伸びた。
◆王国広報局、即・会議モード
「か、感謝いたします店長殿……!では早速ですが――!」
「本日のクロスに投稿された“魔獣襲撃中のCM動画”が、
王都で大変な話題となっておりまして……!」
「国王陛下が直々に、“あの店は何だ。面白い。もっとやれ”と仰せでして……!」
と矢継ぎ早にまくしたてる。
店長(……国王、意外とノリ軽いな。)
女性役人が書類を広げる。
「こちらが、王国公式CM制作の依頼書でございます。予算は金貨500枚。
撮影場所は王都、王宮のどこでも可。出演者に王族を含めることも――」
店長は腰が引けている。
「いやいやいやいや、王族をCMに出すなよ。」
「じつは陛下が“出たい”と…」
店長(めんどくさいやつ…。)
◆店内の空気は二分した。
常連のおばあちゃん
「店長さん、また変なの来たねぇ」
冒険者
「王国広報局がレジ前で詰め寄る店って何だよ…。」
子ども
「店長すげぇ…!」
店長に詰め寄る役人たちが必至だ。
「王国公式CMを、クリスタルマートに作ってほしいのです!!」
苦笑いで返すしかない
「あれはノリでやっただけだし…撮影ミナちゃん、編集ゴルダさんで俺は無関係。
2人にやってもらうのは構わないけども…。俺は店長だから店開けられないし。」
あまりに必死なので断るわけにもいかず…。
「うちの2人を貸すから、その代わり2人アルバイト置いてってくれたら考えるけど。」
王国広報局の役人たちは、
店長の言葉を聞いた瞬間――
「……え?」
と、全員そろって固まった。
◆王国広報局、想定外の条件に大混乱。
先頭の役人
「て、店長殿…!い、今“アルバイトを置いていけ”と?」
苦肉の策を絞り出した店長
「ゴルダさんとミナちゃんを貸す代わりに、そっちから2人
アルバイトとして置いてってくれればOK。うちは人手不足なんだよ。」
女性役人
「ひ、王国広報局が…アルバイト…!?」
三人目の役人
「わ、我々は…王国の…広報局で…」
「大丈夫大丈夫。レジ打ちと品出しできれば誰でもできるよ。
ちゃんと教えるし、制服は貸すから。」
◆店内の空気がざわつく
常連のおばあちゃん
「王国の人がレジ打つのかい?」
冒険者
「広報局の人がホットスナック揚げるのか…?」
子ども
「王国の人ってバイトできるの…?」
役人たち、緊急会議モード。
三人はその場で円陣を組み、小声で必死に相談を始める。
「ど、どうする…!?店長殿の条件…断れない!」
「陛下の要望を叶えるには…つまりこれはやるしか…」
「わ、私…アルバイトしたことない…!」
店長
「まぁ、無理なら無理でいいけど。その場合はCMは無しってことで」
役人たち
「なっ…!!」
そして――決断。
先頭の役人が深呼吸し、覚悟を決めた顔で店長に向き直る。
「…わかりました店長殿。王国広報局より2名、
本日よりアルバイトとして着任する!!」
女性役人
「わ、私…頑張ります!」
三人目の役人
「ぼ、僕もやれるだけやります!」
クリスタルマート、まさかの王国バイト加入。
ミナちゃんが騒ぎに気付いて店内に顔を出す。
「店長…どうしました?フォロー入りましょうか?」
ゴルダさんも腕をまくって出てきた。
「店長、手伝いますよ。」
出てきた二人を見るなり役人が色めき立ち
店長が詳しく説明する前にゴルダさんとミナちゃんは
半ば連行されるかのように馬車に乗せられて行ってしまった。
そして残された新人アルバイト2人…。
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魔菓子が安くて子供たちに人気
最近は魔導ガチャを置く店も増えてます




