第41話 SNSの封印を解き放ちました。
タイトルに肖り、X(旧Twitter)を5年ぶりくらいに始めました。
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ガンチョウライドによるアーマードスケルトン追い込み漁が終わった後、近場を探索するも一同はアーマードスケルトンにしか出会えずにいた。
「あーもうスケルトンは飽きたよー」
「うるせー戦ってんのはこっちなんだから」
「はい怒った」
「うううん?」
本当にデバフを掛けてきやがった!
体が重くなり頭でイメージしている動きと、体の動きに差が生まれバランスを崩す。
このデバフを戦闘中に掛けられたらと思うとゾッとする。
「おい本当にデバフかける奴がいるかよ」
「自分の愚かさを思い知れバーカ」
「ステータス下がっても、まだ泣かせるくらい出来んだぞ」
「受けて立ってやるよウンコ野郎」
「2人とも!」
「「ごめんなさい」」
カズキに掛けられたユキの呪いは解除され、バフを再度かけ直しているとタカシが前に出た。
「止まれ。あれはダメだ」
「なんの事ですか?」
「あそこだ」
指差す方向を見る。
遠くに米粒くらいのモンスターがいた。
いや、よく見つけたな。
それは己の頭部を自ら抱える動く甲冑だった。
甲冑の隙間からは青白い炎をチラつかせ、巨大な剣を担ぐモンスター。
デュラハンだ。
「デュラハンだね初めて見たよ」
「このまま進んでいたらカチあってたのか」
タカシがいなかったら確実に戦うことになっていたであろうA級モンスター。
先頭を歩くカズキは、索敵にも注意しなければいけないと本気で思った。
「今日は帰ろうか、ここらへんで戦ってデュラハンに気づかれるのも嫌だし」
満場一致の大賛成によりカズキ達は、初めてのS級ダンジョンを後にした。
今回のドロップ品を換金する為に市役所へ向かう車の中、サヤが楽しそうにしている。
「いやーあんな闘い方見たことないよ!ドローンで見てたけど笑っちゃった」
「それにしてもデュラハンに会うのは運が悪いね。S級ダンジョンといっても、深部に行かない限りA級モンスターには殆ど会わないのに」
笑い事じゃない気がする。
最悪死人が出るところだったのだから。
市役所に着いた一行はアイテムを換金する代表者をジャンケンで決めていた。
「「よろしくー」」とジャンケンで負けたアツシを車から見送る男女にサヤは尋ねる。
「ドロップ品は何が出たの?」
「なんか大小の骨と頭蓋骨です」
「おおスケルトンの頭蓋骨はレアアイテムだよ!たぶん高額で買い取ってくれるはず」
どうやらスケルトンの頭蓋骨は闇系統魔法使いの装備品に出来るらしく、需要が高いらしい。
頭蓋骨を身に纏っている人がいれば、是非友達になりたい。
本当にそんな人がいるのなら。
車内で談笑しているとアツシが、アイテムの換金を終わらせ帰ってきた。
「どうだったー?」
「すごいよ27万円で買い取って貰えた!」
「マジすか」
普通のサラリーマンが、1ヶ月働いて手にする給与分のお金を手にし驚く。
レアアイテムと言われた頭蓋骨は20万での買い取りだったらしい。
これが命を対価として働く、冒険者ドリームなのだろう。
「まあドロップ率ってかなり低いから今日みたいな豪運は暫く無いと思うよ」
「なんか素直に喜べないからやめてくださいよ」
「ごめんごめん」
換金を終わらせた一同は、ホームに帰宅することになったが、カズキは直接ハズキの家へ向かい、恒例となった刀の手入れとシャワーを済ませた。
「デュラハンかいいなー。デュラハンが持ってる大剣触ってみたいんだよね」
「遠目に見ましたけど近づかない方が良いって肌で感じたんで、本当にやめた方がいいっすよ」
「鍛治士としての血が騒いじゃうよね」
「じゃあ、いずれドロップしたらあげますよ」
「期待しないで待っとく」
談笑をしてホームに帰ってきたカズキは、ソファに座りSNSを久しぶりに開いた。
本当は大好きで仕方ないSNSを封印していたのには訳がある。
◯●◯
あの日、タイガ達の生放送に出演した日の夜、シャワーを済ませ同じようにソファーで寝そべるカズキに近づく女がいた。
そいつは嬉しそうな顔でカズキに馬乗りになり、無理矢理スマホを奪った。
スマホを勝手に操作し、SNSの画面を展開してカズキの眼前で見せつける。
「う、うそだろ」
#ぺちゃん子
5年ぶりに返り咲いた忌まわしき二つ名が、トレンド1位に返り咲いていたのだ。
まさかタイガ達の生放送が、こんなにも影響力を持っているとは。
しかも切り抜き動画の添付された投稿が、SNS上に蔓延っていた。
『きっもちいいいぃぃぃぃぃぇぇええあいい!!!』
『きっもちいいいぃぃぃぃぃぇぇええあいい!!!』
『きっもちいいいぃぃぃぃぃぇぇええあいい!!!』
カズキのスマホから響く奇声が何度もリピートされ、閉じ切ったと思っていた心の傷が見事に開いたのであった。
●◯●
そんな事もありSNSを封印していたカズキは、時間の流れによりSNSストレス耐性が少し上昇したので、久しぶりにSNSを開いたのだ。
オススメとして自分の奇声が流れる事があるも、興味の無い投稿として非表示にする。
そして新たにオススメとして流れてきた投稿に目が引かれた。
「特別指定モンスターってなんだ?」
「私もちょうど同じの見てた。なんかS級ダンジョンに出没する新種のA級魔物らしいね」
L型のソファで共に寝転がるユキが気だるそうに反応してきた。
その目線はスマホに吸い込まれており、こちれらを見る気配がない。
「うげえデュラハンクラスかよ」
「なんでも人間を必要以上に痛めつけて殺すらしいよ、見てみなこれ」
スマホのメッセージ受信通知音が鳴ったので、メッセージを開く。
ユキが特別指定モンスターの写真を添付し送ってくれた。
「きっも!何だこの肉の集合体」
画面いっぱいに映る歪な化け物。
肉と肉がつながり合う巨大な2速歩行型のモンスター。
その肉感が嫌悪感を引き出す要因でもあるが、顔面がより一層気持ちが悪い。
大きく不揃いな歯、焦点の合わない4つの眼球に瞼は無い。
「私の方が上手にモンスター作る自信があるわ、ダンジョンもセンス無いわー」
「自信過剰すぎるな」
口では否定したものの、確かにユキの方がまともなモンスターを作りそうだ。
もうそれほど醜い。
なんか臭そうだし近付きたく無い。
「もしコレに会ったらカズキを生贄にして生き延びるわ」
「いや俺も全力ダッシュで逃げるから」
「レディーファーストって知ってる?」
「ママのお腹の中にデリカシーと一緒に置いてきたわ」
「どおりでマキさんが完璧ママなわけだ」
「ま、会わない事を祈ろーぜ」
SNSで話題の投稿が身近なものに感じられない2人は、危機感を全く感じていなかった。
ひとつの都であり、広大な土地を誇るS級ダンジョン【東京】で、運悪く新種のモンスターなんか会わないだろう。
あそこらはデュラハンの縄張りっぽいし大丈夫だろう。
そんな気の緩みがカズキ達を、絶望の淵に立たせる事を本人達は知らないのだった。
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