表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アラサー魔術師のゆる~いハーレムライフ  ~異世界と現代を行き来してのんびり暮らします~  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/100

鳴き声


 アースピットによって作った穴はかなりの深さがある。


 事前に時間をかけて作ってるからな、しっかりとロックオーガの身体をすっぽり入れてしまえるくらいの大きさにしている。


 よし、事前の想定通りに首から上が少し出るくらいの感じにできてるな。


 確実に罠に嵌めるため、穴のサイズは少し大きめだ。

 なのでこのままぼうっとしていればロックオーガが落とし穴の縁を使って上がってきてしまうだろう。


「行くぞロック!」


「任せてよっ!」


 そのためロックオーガが落とし穴にはまった時には既に、重戦士のゴルドと軽戦士のロックは走り出していた。


 ゴルドは鉄で補強しているスケイルメイルをつけているが、ロックが着ているのは防御力の大してなさそうな革鎧。

 身軽な分、当然ながらロックの方がスピードが速い。


 バタバタという足音が聞こえてきたことで、ロックオーガが落とし穴の縁に手をかけようとする。

 上がってこようとするのが……当然そんなことを許すつもりはない。


「シッ!」


 地面に突き出している形になるロックオーガの手目掛けて、ミミが弓を放つ。

 どうやら命中精度はかなり高いらしく、狙いを過たずに手の甲に突き立っていた。


「グラアアッッ!?」


 まさか手に攻撃を食らうと思っていなかったロックオーガが両手を引っ込める。

 そして再度別の場所から上がろうとしたタイミングで、ロックが落とし穴の前にたどり着いた。


「とうっ!」


 ロックの得物はレイピアだ。

 けれど落とし穴に落ちているロックオーガ相手に攻撃を突き入れて引き込まれてはたまらないので、まずは投げナイフなどを使って弱らせる作戦に出たようだ。


 彼に少し遅れる形で、ゴルドもやってきた。

 彼の得物は、鋼鉄製のメイス。

 ある程度デカいメイスを使えば、ロックオーガの拳の範囲外から一方的に攻撃を加えることが可能だ。


「おおおおおおおっっ!!」


 ゴルドは最大限まで伸ばして少し離れた場所から何度も何度もメイスを叩き込んでいる。

 生真面目そうなやつだと思っていたが、メイスを振るうその姿にははなかなかに気迫がこもっている。


 弓矢に投げナイフにメイス。

 攻撃を一方的に食らい続けることで、流石のロックオーガも動きが鈍り始めていた。


 肉を切らせて骨を断つつもりで強引に上がってきたりするだけの知能がないロックオーガなら、これを続けてれば問題なく倒せそうだな。


「……(じいーっ)」


 後ろから皆を観察していた俺は、少し離れたところからこちらをジッと見つめているムルベリー試験官の姿に気付く。

 俺の役目は落とし穴作るところまでだと思ってたんだけど……それならもうちょい仕事をするか。


 でもここから精密に頭だけ出てるロックオーガを狙えるとなると腕を疑われるだろうし……やっぱり補助に徹させてもらうか。


「ダートスラッジ」


 発動させる魔法は、土に水を含ませて泥濘化させる複合魔法のダートスラッジ。

 土をいじるのは時間がかかって面倒なんだが、そもそも自分が魔法で作った落とし穴のものあれば、操作も比較的簡単にできる。


(あ、やべ。つい複合魔法を……まあなんとかなるか)


 足下を泥濘化させられたロックオーガの動きは先ほどよりも更に精彩を欠いたものになり……そのまま集団で攻撃を加えまくることで、問題なく倒すことができた。


 よし、とりあえず被害なしでロックオーガを倒すことができた。


 ロックオーガの死体を見てしっかりと死亡を確認してから、ムルベリー教官が頷く。


「たしかにロックオーガの死亡を確認した。では集団戦の試験はこれにて終わりとし、個人としての戦闘能力の測定に移る」


 そしてそのまま、一対一でロックオーガと戦闘をさせられることになった。

 事前に用意をして、集団でなら倒すことができる相手。


 やはり一対一で戦うのはかなりの無謀だと思うんだが……ムルベリー教官はスパルタであった。


「おおっ、なんという力……」


「そこまでっ!」


 メイスと棍棒で打ち合いをして、ある程度攻撃を加えることができたゴルド。


 投げナイフを使い片目を潰すことに成功したものの、そのまま激高され殺されかけたロック。


 そして森の中という立地を使い上手く一方的に攻撃を繰り返すことこそできたものの、威力不足で矢が尽きてしまったミミ。


 三人ともしっかりと善戦をしていて、ムルベリー教官は満足げな表情をしていた。

 彼女がくるりとこちらを向いている。


 なぜだか俺へ向ける視線が冷たいような気がする。

 やる気ない感を出してるからしゃーないっちゃしゃーないんだが、俺には嫌われる勇気とかないのでちょっとだけ心が荒みストリートになる。


「では獲物を探すぞ、たしか先ほどあちらに――」


「GOAAAAAAAAAAA!!」


 教官の声を遮ったのは、先ほどのロックオーガの鳴き声が小さく思えるほどに大きな、腹の底を震わせる鳴き声だった――。


【しんこからのお願い】


この小説を読んで


「面白い!」

「続きが気になる!」


と少しでも思ったら、↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

ブックマークもお願いします!


あなたの応援が、作者の更新の原動力になります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ