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アラサー魔術師のゆる~いハーレムライフ  ~異世界と現代を行き来してのんびり暮らします~  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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身体強化


 アイリスと一緒に『戦乙女』の家にやってくると、そこには真剣な様子で素振りをしているウィドウの姿があった。


 俺は彼女の方へダダダダダッと勢い良く駆けていき……そのままジャンピング土下座をかます。


「すまん! 完っっっ全に寝坊した!」


「いやいや、別にそんなに気にしなくていいって。一人なら一人でやりようはあるしさ」


 開口一番に思い切り頭を下げて謝ると、ウィドウが苦笑しながら軽く手を振ってくれる。

 本当に気にしていない様子に内心でホッとしながら、手に持った紙の箱を手渡す。

 ジャンピング土下座の勢いが良すぎたせいで、箱が少しへこんでいた。


 ……マドレーヌを買っておいて良かった。

 クッキーやケーキだったら、崩れて大惨事になってたかもしれない。


「これ、お詫びの気持ちの焼き菓子だ。後で食べてくれ」


「本当に気にしなくていいのに……でもありがと、後で皆で食べさせてもらうよ」


 どうやら機嫌を取ることには成功したらしく、ウィドウの頬がわかりやすくほころぶ。


 一連の様子を見て頷いてから、アイリスは家の中へと入っていった。

 アイリス、なんだか本当にママみたいになってきてるんだが……。




 準備運動と柔軟をしてから、すっくと立ち上がる。

 ウィドウが真剣な師の顔になり、こちらを見つめた。


「よし、それならまず始めに意識を集中。体内の魔力を循環させて」


 俺が現在彼女から教わっているのは、ある程度強力な前衛であれば使うことのできる魔力による身体強化だ。


 前世の俺はこの技術と致命的なまでに相性が悪く、結局最後まで使うことができなかった。


 当時の苦手意識もあり食わず嫌いをしてたんだが、あのガルの森の探索時に感じたもしかしたらという感覚に従ってやってみると……なんと普通にできてしまった。


 前世ではどれだけ練習してもまったくできなかったのにとも思うが……まあ現実というのは、案外そんなものなのかもしれない。


 身体強化という新たな技術が使えるようになったわけだから、磨かない理由はない。


 実は前世では、秘かに魔法剣士に憧れていた俺である。

 その夢を叶えるべく、『戦乙女』の中では一番身体強化が上手いウィドウに師事させてもらっているのだ。


(身体にある魔力を意識して……)


 まず最初に精神を集中させる。

 そして意識を身体の奥へ奥へと集中させていく。


 すると体内を巡っている魔力と、一箇所にとどまって淀んでいる魔力が認識できるようになってくる。

 それらの二種類の魔力を認識したら、次はそれらを一つの流れに変えていく。


 まず感じたのは、右膝の辺りから足まで向かい、そのまま再び右膝を抜けていこうとする魔力の流れだ。

 その流れに意識を集中させ、魔力を継ぎ足していく。

 偏在する一つ一つは小さな塊を、流れに足していくイメージだ。


 すると魔力の流れは大きくなっていき、循環の速度が上がっていく。

 身体の内側が熱を持つようになり、俺が何もしなくても自動でグルグルと全身を回るようになっていた。


 目を開けると、ウィドウが満足げな表情をしているのがわかる。


「よし、それじゃあ素振り百回!」


「押忍!」


 ウィドウに言われるがまま、木剣を手に持って振るう。

 中段に構えた剣を、振り上げ、振り下ろす。


 普通なら何度か動いただけで息が切れるはずのもやしっ子の俺だが、何度素振りをしても息一つ乱れることはない。


 おまけに剣を振る速度も明らかに速くなっており、俺が先ほど振った剣の残像が見えるほどの速度まで上がっていた。


「違う! もっと脇をしめて!」

「軸足に力が入ってない!」

「力みすぎ、腕じゃなくて全身で剣を振るんだ!」


 そして高速で素振りをする俺の身体に、ビシビシと木剣が飛んでくる。

 俺の明らかに人外じみた動きにしっかりとついてきながら、ウィドウが素振りのフォームを矯正してくれているのだ。


 しっかし、こうやって高速なで動いている自分の身体を見るのはどうにもなれない。


 自分の身体が自分ではないような感覚になってくるというか、違和感がすごいのだ。

 たとえるなら、軽い乗り物酔いのような感じだろうか。なんだかふわふわしているというか……。


 続けているうちに慣れるとウィドウは言っていたし、今は彼女の言葉を信じるしかないか。


「動きに無駄が多い! タイラー、余計なことを考えてるだろ!」


「す、すんません!」


「雑念を払え! 剣に集中!」


「お、押っ忍!」


 俺は見事に言い当てられてたじたじになりながら、へとへとになるまで素振りを続けるのだった……。


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