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恋をしたら病気と読む  作者: 紅葉
7/8

難しい?



お母さんが何時に帰ってくるのか分からずメールを送る


(何時に帰ってくる?ちょっと話したいことがある)と送ると(10時ぐらい)と返事が返ってきた

(分かった)と返事をして携帯をバッグに放り込む。


「最初なんて言おう?私女の人が好きなんだよね。と言って信じてくれるかな?気の迷いじゃない?と言われたらどうしよう。ホントは違うかもしれないし」


自分の気持ちを確かにするために元彼を思い浮かべる。


明るく活発で、よく私に話しかけてきた男。

楽しそうにご飯をた

元彼を思い浮かべながら、片方では、美亜の顔を思い浮かべる

女の人も好きってことは、私はバイセクシュアルなはずだ


元彼は、身長が高く、よく笑い、人と仲良くなるが凄く早い。

好青年を絵に描いたような男だった


思い浮かべて...分からなかった

元彼を好きだったとは、言えない

だけど美亜を想像すると、とても心が震えた


その身体を一生触れていたい

離したくない

触って...触って...触って   どうしたかった?


キス?違う? セッ○ス?違う? 

だったら元彼は、どうだろう?

まだ成熟しきれていなかったが、中学生としては逞しい部類の上半身を想像してみる


広い肩幅、ざらざらとした唇、抱きしめられた後の温もり、煩いように部屋中を木霊する吐息、私を安心させるような甘い声


頭の中で、一つ一つ彼の特徴を思い浮かべる。


うん、私は彼も好きだった...のかもしれない

ただ今はその比重が美亜に傾いてるだけのこと


うん、大丈夫


オレンジ色に照らす舗装道路を歩くと、私の影がくっきりと道にできている。

偶に電柱に当たり複雑な形になったりと少し面白い





家に帰って制服を脱いでシャワーを浴びる。

お母さんが帰ってくるのが遅いので、自分で料理を作らなければいけない


「えーっと冷蔵庫には、豆腐と豚ミンチと人参とコロッケのお惣菜と長ネギかな?」

更に棚を開ければ麻婆豆腐の素とラーメンの袋が3つ


「これ絶対マーボー豆腐作ろうとしてたね」


一人分の麻婆豆腐を作り、その隣には値引きシールの貼られたコロッケを温めて皿の上に置いた


お米はなかったのでこれだけだ。


ショート動画を携帯で見ながら、麻婆豆腐をスプーンで一口分掬って口に入れる


「マーボー豆腐うま!長ネギいっぱい入れてよかった」


ご飯を食べ終わり携帯で本上くんに電話を掛ける

「もしもし本上くんちょっと聞きたいことがあるんだけど、今大丈夫?」

「大丈夫だけど、どうしたの?」

本上くんは、一度部屋を移動したのか足音と共に携帯越しに聞こえるテレビの音が遠ざかる。

「あっごめん、テレビ見てた?」

「見てないよ、私は携帯触ってただけ。それでどうしたの?」

「話そうと思って」


たったの一言で察したのだろう、「そうなんだ」と言って(何を?)と葉聞かれなかった


少し心配そうな声色で本上くんは、私に聞いた

「本当に大丈夫?受け入れてもらえるための土台は作ったの?」

「土台?」

「うん、土台。」


本上くんは、親に話すために根回しを行ったらしい

まず最初に、病院にいってLGBTに関する診断書を貰った


その次にそれとなく確信を得られない程度にトランスジェンダーに関する話をした。


偶にテレビで流れるLGBT理解増進法に対してどう思うのか聞いたり。


トランスジェンダーに対する嫌悪感を少しでも和らげる為、(トランスジェンダーの友人に助けてもらった)と嘘の話をでっち上げたりした。


「私何もしてないんだけど...大丈夫だと思う?」

「最初にLGBTに関する話をして、手応えがあったら自分の話をしてもいいんじゃない?」


「頭いい!成績優秀者はちがうね〜〜〜」

本上くんは、照れくさそうな声で返ってくる

「私も教えてもらったことだから、成績関係ないから」


教えてもらった?本上くんと同じ悩みを抱える人達かな?


東京にLGBTQA専門のお店があるらしい

自分の悩みを打ち明けるカフェのようなものだという

本上くんは、そこに飛行機を使わず電車と新幹線で週に約1回の向かっていたらしい


「東京ってことは兵庫県からだよね?どのくらい掛かったの?」

本上くんは、兵庫県に住んでると言っていた

兵庫県から東京まで片道5時間程度だろうか?それを週に1回のペースで?

だから、週7でアルバイト入ってたりしてたのか...

本上くんは、突然アルバイトをはじめて、毎日のように働いていた

「正直すごく疲れた、だけど行ってよかったよ。生きようと思える元気出るし」


本上くんは、スッキリとして嬉しそうな声だ


「後ね、私葵とも出会えてよかったと思ってる。自分と同じではないけど、同じような境遇の人が身近に居てホッとした」


なんか照れる

くすぐったいような、嬉しいような

電話越しでよかった

正面から言われてたら、多分ニヤニヤが止まらなかった


「こちらこそありがとう、それとちょっと照れる」

「にやにやした声色なんだけど」

「あっ、バレちゃた」


夜光雲と夜空に散りばめられた星々を見て、思い出した

もう薄っすらとした、断片的な記憶


天体観測に行ったときに、望遠鏡を覗き込むお父さんと「あれ、きれいじゃない!?」と言ってお父さんの肩を叩くお母さんの表情。


少し感傷的な気持ちになった


「本上くんアドバイスありがとう。だけど今言うよ。だって気持ちが揺らいじゃうから」

「そうなんだ...頑張ってね」

「うん」


本上くんとの通話が終わり、時間を見ると9時52分

そろそろお母さんが帰ってくる時間だ

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