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目立たない登場
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「からんっ。」と瓢箪型をした酒の入れ物の音がなる。男は
「ふぅー。」とため息をつき、周りの景色を見渡した。辺り一面には荒野が広がっていた。男はけたけたと笑いながら酒を片手に小言をいくつか言った。「どういうもんかねぇ。人、一人いやしねぇ。はぁー。せっかくの晴れ舞台だってのに…
今宵は綺麗な月が映るかもな。」しかし、その日の月は満月とは程遠い三日月とも言えない欠けた月であった。
「ばさり。」まだ幼かろう、およそ2歳にも満たない赤ん坊をぶっ格好のボロ生地を着た夫婦が孤児院の門の前に置いていった。おそらく、食いつなげるのが精一杯で子供の世話などする時間などなかったのだろう。だからといって孤児院に預けるのも、人に知られては自分の評判が下がるため捨てていったのであろう。それから夜が明け、朝日がちょうど森を照らす頃、森の方から狩りから戻った老人の目に門の前に捨ててある赤ん坊の姿が写った。老人は一時その赤子を見つめた後、その赤子を拾い上げ孤児院に入った。
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