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レッドデビル  作者: toyocat
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第五章 詩穂、バイクに乗る

二輪免許の教習は、うまくいかないところは真由美の知り合いの助言もあり、数か月後、私たちは全員無事に二輪免許を取得した。

弘子が、「真由美、免許を取得すれば知り合いが教えてくれるのだろう?具体的にいつ教えてくれるの?」とはやくバイクに上達したい様子でした。

真由美は、「先日聞いたら、スムーズに発進して、ギアチェンジもスムーズにできて、まっすぐ走る練習を、どこかの広っぱでしろと言っていたわ。ギアチェンジはタコメーターを参考にすればいいと教えられたわ。バイクに慣れるまで、公道を走行するのは控えたほうがいいとも助言されたわ。公道でギアチェンジにもたついていると危険だそうよ。」と伝えた。

ある日、街はずれの原っぱで練習していると晴美が、「ちょっと、みんな、こっちに来ているあのバイク見て、かっこいいな。」と全員で見とれていた。

やがて、みんなが練習している原っぱにそのバイクが来た。

真由美が、「あら、陽子さん来てくれたの?」と真由美の知り合いが来た。

「真由美さんが、ここで友達とバイクの練習をしていると聞いたので様子を見に来ました。」とここに来た理由を説明した。

京子が、「陽子さんでしたっけ、みんな、ある程度乗れるようになり、石で道を作りカーブの練習もしているのよ。何か教えてくれるのでしょう?」と真由美の知り合いの陽子に期待した。

真由美が、「ちょっと京子さん、いきなりそんな事を頼むと失礼よ。普通は先に自己紹介するでしょう?」とあきれた。

その後、全員自己紹介した。

    **********

その後、真由美が、「それじゃ陽子さん、みんなにバイクの乗り方を教えて頂けませんか」と依頼した。

「え~っと、どうしようかな。みなさん、バイクに乗っている様子を見せてください。」と要求して、しばらく様子を見ていると、カーブの曲がり方が下手な事に気付いた。

「皆さん、ちょっと集まってください。」とみんなを集めた。

「皆さんの弱点がわかりました。説明のために動画撮影します。皆さん順番に石で作ったそのカーブを曲がってください。」と撮影準備をした。

京子は、さすが陽子さん。私、カーブが苦手なのよね。と感心していた。

順番にカーブを曲がり、その様子を撮影して、最後に陽子が曲がりその様子も撮影した。

動画を再生しながら説明した。

「私は曲がるときに、スピードを落とさずに、外側に膨らまないですが、皆さんは全員、スピードを落とすか、外側に膨らんでいるでしょう?バイクで一番むつかしいのがブレーキよ。そのタイミングが違うだけでこれだけ違うのよ。ブレーキは、カーブに入る前ではなく、カーブに入るのと同時で、カーブの一番深いところというか、カーブから抜けるときにアクセルよ。カーブは車体を倒せば曲がり、アクセルで車体は起きるわ。アクセルのタイミングを間違えれば車体は起きないから、バイクではこのタイミングを体で覚えられるわ。そうすれば将来、車の運転をするときにも使えるわ。このタイミングを覚えていれば、少なくともカーブの時に外側へ膨らんで、対向車線に飛び出して事故を起こすことはなくなるわ。」と教えて、その後しばらくブレーキが早いとか遅いなどとみんなの指導をした。

陽子は、「詩穂さんでしたっけ。大人しい性格にしては筋がいいわね。」と感心していた。

晴美は、「詩穂は、この中で一番大人しそうに見えますが、一番乱暴よ。」と紹介した。

「ちょっと晴美、余計な事をいわないでよ。」と不愉快そうでした。

「晴美、詩穂を怒らせるとあとが怖いわよ。半殺しにされても知らないわよ。」とみんな笑った。

陽子は、「そうなの?そんなに怖いの?乱暴そうには見えないわね。」と人は見かけによらないと感じた。

晴美が、「先ほど陽子さんがかっこよく見えたのは、このカーブの曲がり方ね。今は詩穂もかっこよく見えるわよ。」と陽子がかっこよく見えた原因に気付いて話題を変えて詩穂のご機嫌取りをした。

それを聞いて全員ゴマすりのジェスチャーをした。

その後、陽子は真由美からバイクの練習する日を聞いて、たまに私たちのバイクの指導をしてくれた。

やがて陽子は、「あとは状況判断だけよ。ここには他の車やバイクはいませんが、実際の公道ではバイクや車や歩行者などがいるわ。あとは飛び出しなどもあるので、無理せずに公道で練習するのね。それとバイクに慣れても決して自信過剰にならないでね。事故を起こす可能性があるわよ。統計によると、バイクや車に乗り始めてから一年ほど経過したころが危険よ。危険な状況でも問題なく対応できたと勘違いするのよ。それは、あなた方の運転技術が上達したのではなく、他の車やバイクが気を付けてくれたから対応できたのよ。最後にライダーの合図というか礼儀について教えるわ。他のバイクと遭遇すれば、ライダーは左手を右肩にあててピースサインを出して、後部座席の人は右手をあげてピースサインを出すのよ、合図を出すのは排気量の大きいバイクにその権利があり、相手が出せば、それに答えるように同じ合図を出すのよ。これはライダーの礼儀であって決して暴走族などではないわ。挨拶みたいなものね。」と色々と教えて帰った。

晴美たちは、もう少し練習した。

特にカーブの曲がり方を、お互いにチェックして納得して帰った。

    **********

ある日、バイクでツーリングしていると暴走族に絡まれた。

陽子に教えてもらった方法でカーブを曲がると、カーブごとに引き離して逃げられた。

その後、真由美がたまにその暴走族を見かけて怖くなり、知り合いに、こんな時はどうするのか相談した。

「真由美さん、見張られている可能性があるわね。今度、いつ、どこへ友達とツーリングに行くの?手を打っておくわ。」と安心させた。

ツーリングする日にみんなに相談した。

晴美が、「大丈夫だ。何かあれば、こっちにはレッドデビルがいる。」と詩穂を見て心配している様子がない。

真由美の近くで隠れて様子を窺っていた暴走族が、携帯で仲間に連絡した。

しばらく走行していると、暴走族のバイク数台に囲まれた。

その次の瞬間、パトカー数台と白バイ数台が取り囲んだ。

暴走族は全員検挙された。

暴走族たちは、「こいつらだってスピード違反しているだろう!なぜ俺たちだけ検挙するのだ!」と不満そうに訴えた。

パトカー警官が、「それは、お前たちから逃げるためだろう。」と暴走族たけを検挙した。

暴走族が連行された事を確認すると白バイ警官が、「城田真由美さんはおられますか?」と真由美を捜していた。

「はい、私です。」となぜ私の事を捜しているのだろう?何かあったのかしら?と心配していた。

「あなたが暴走族に絡まれているので助けるようにと警視総監から指示がありました。お怪我はありませんか?」と真由美の心配をしていた。

真由美は、「はい、全員無事です。」と大丈夫だと返答したので白バイ警官はホッとしていた。

パトカーや白バイが数台集まってきたのは、警視総監の期待に応えて名前を憶えてもらおうとしたようでした。

晴美は、「真由美の知り合いの陽子さんは、警視総監を動かせるのか?」と感心していた。

    **********

ツーリングも無事に終わり、翌日学校で晴美が、「真由美、お前の知り合いの陽子さんは何者だ?」と知り合いの事を知りたそうでした。

真由美は、「先日不良に絡まれた時に助けて頂いただけで、私も詳しい事は知らないのよ。陽子さんもレッドデビルのように強かったわ。」と詳しくは知らないと告げた。

弘子が、「そんなに強かったのか?」と陽子はスタイル抜群だったので信じられない様子でした。

真由美は、「ええ、不良少年数人をあっという間に倒したわ。」とその時の事を思い出しながら説明していた。

京子が、「陽子さんも覆面女子レスラーじゃないのか?詩穂、レッドデビルとどちらが強いか、一度戦ってみろよ。」と陽子の正体を予想していた。

真由美が、「陽子さんは公務員だといっていたので、覆面女子レスラーではないと思うわよ。それに、あれはプロレスではなく柔道と空手のようだったわ。警察官や自衛隊員には警視総監は動かせないと思うので、私もわからないのよ。」と京子の考えを否定した。

晴美が、「確かに陽子さんのあの若さで警視総監を動かせるとは考えられないわ。おそらく権力のある偉い人のお嬢様ではないかしら。陽子さんはじゃじゃ馬娘ね。真由美さん、陽子さんの苗字がわかれば見当つくわ。」と陽子の予想をしていた。

真由美は、「実は彼女は陽子としか名乗らなかったので、私も知らないのよ。」と今度会った時に苗字を聞こうと思っていた。

    **********

京子が、「他人の空似かもしれないけれども、私、陽子さんに似た人を見たことあるわよ。」と考えていた。

晴美が、「なぜ他人だと思うのよ。」とその理由を知りたそうでした。

京子が、「とてもお淑やかな女性で、バイクに乗ったり不良を撃退したりするような女性には見えなかったのよ。」と説明した。

晴美が、「似ているのは姉妹だからではないのか?やはり、陽子さんの父親は権力のある人ではないかしら?その女性に聞けばわかるかもしれないわ。その女性をどこで見かけたの?」と陽子の姉妹かもしれない女性を捜す事にした。

京子は、「先日、原宿で見かけたわ。」とその場所を伝えた。

晴美が、「よし、これからみんなで原宿に行こう。」と学校の帰りに原宿に行った。

    **********

しばらくみんなで原宿を歩いていると背後から、「真由美さん。」と美人女性から声を掛けられた。

京子が小さな声で、「この人よ。陽子さんに似ているでしょう?」と伝えた。

真由美は誰なのかわからなかったので確認した。

「あの~どちら様ですか?」と陽子だとは気付かなかった。

「私よ。陽子よ。」と笑いながら名乗った。

「いつもと全くイメージが違うのでわからなかったわ。」と驚いていた。

「バイクに乗るときはスカートを履かないわよ。今日は車だからスカートを履いているだけよ。服装や髪形もそれに合わせているのよ。」とイメージが違う理由を説明した。

晴美が、「そうでしたか。でもその服装から、どこかのいいところのお嬢様のようですね。」と陽子の事を知ろうとした。

「さすがするどいわね。でも詩穂さんも、どこかのいいところのお嬢様のようですね。本当に乱暴なの?信じられないわ。私が苗字を名乗らなかったのは、父の事が判明するかもしれないと思ったからよ。皆さん、私ではなく父を見てしまうのでね。」と苗字を名乗らなかった理由を説明してその場を去った。

    **********

陽子が去ったあとで真由美が、「ところで陽子さんの苗字は聞いた?」とお互いに顔を見合わせて苦笑いした。

翌日高校で、「やはり、昨日の陽子さんの話で、父親は何か権力を持っている人のようね。でも陽子さんがあんなに美人だったとは思わなかったわ。」とみんなで驚いていた。

真由美が、「そういう事もあるかもしれないわね。だって、お淑やかな女子高生と狂暴なレッドデビルが同一人物だとは誰も思わないのと同じね。」と人は見かけによらないと説明した。

結局、陽子の正体はわからずに、その日はあきらめて帰った。


次回投稿予定日は、6月4日を予定しています。

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