第二章 晴美、レッドデビルにしごかれる
私は女子プロレスに熱中する中、親の期待にもこたえるべく勉学にも励んでいた。
晴美たちは私のファンクラブを結成して、私が出場する試合は必ず観戦にきた。追っかけだ。
試合終了後、晴美たちを控室に呼んで、試合の事など雑談して、セーラー服を着て他のファンやマスコミの目をごまかしていっしょに帰った。
私は成績も優秀だったので、試験前は高校の図書室で、いやがる晴美たちと勉強会をした。
授業終了後逃げようとすれば、「どこに行くの?」と腕をねじ上げた。
「いたた~、そんな事をすれば詩穂のお淑やかなイメージが崩れるわよ。」と逃げようとしていた。
「それじゃ勉強の前に裏庭で運動しようか。」と晴美たちを裏庭に連れ出した。
「人のお尻を何度も蹴ったくせに、今更逃げられると思うの?」と晴美たちをプロレス技で懲らしめた。
「いたた~、晴美、なぜレッドデビルのお尻を何度も蹴ったのよ!」
「いたた~、あの時は、まさか詩穂がレッドデビツだとは思わなかったのよ。勉強会に参加するから勘弁して~」とあきらめて勉強会に参加した。
勉強会に集中できなければ、「もう一度裏庭に行こうか。」と睨むと、あきらめて勉強した。
晴美たちの成績があがった。
私も人に教えることにより、理解度があがった。
私が思いつかなかったことなどを晴美たちから質問され、私も色々と勉強になり私の成績もあがった。
晴美たちは、高校の授業がわかるようになり、いままで休みがちだった授業にも出席するようになり、教師たちも驚いていた。
先生に確認された晴美は、まさかレッドデビルに半強制的に勉強させられているとも言えなかったので、「心境の変化よ。」と適当にごまかした。
その結果、晴美たちは不良少女ではなく、気の強い女子高生になった。
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ある日、晴美たち不良グループが授業をさぼっていた。
「晴美のやつ、ずる休みしたな。今日の放課後、晴美を懲らしめてやる。」と怒っていた。
その後、授業をさぼっていた晴美が慌てて学校にきた。
「詩穂!順子が商店街で不良少年に絡まれて連れ去られた。大学生のようだった。高級車で連れ去られたので、どこかのドラ息子だと思う。助けて。」とレッドデビルに助けを求めた。
「落ち着いて。学校をさぼっているからそんな事に巻き込まれるのよ。あとで、お仕置きよ。晴美、車両番号は覚えている?」と冷静に状況を把握しようとしていた。
「えっ!?順子を助ける事で精いっぱいで、そんな事は頭になかったわ。」と後悔している様子でした。
「大丈夫よ。今は、どこにでも防犯カメラがある時代よ。商店街だったら防犯カメラが必ずあるわよ。」と落ち着いていた。
晴美は、その商店街に防犯カメラの確認に行こうとした。
「個人情報保護法があるから見せてくれないわ。」と警察に相談するように忠告した。
「警察に通報したら順子を殺すと脅されたわ。私は捨て台詞で、私たちは女子プロレスラー、レッドデビルの親友よ。と迫ったが信用されなかった。場所は聞いたので助けてよ。」とレッドデビルに期待した。
「レッドデビルがいないと何もできないの?情けないわね。場所は聞いたって、監禁場所?普通、隠さない?それを告げるのは、何か目的があるの?要求は何なの?」と何が目的なのか確認した。
「今晩俺たちと寝ろ!素っ裸になって、その上からコートだけ着てこい!誰かに喋ったら、こいつを殺すぞと要求されたわ。」とそんな事は死んでもしたくない様子でした。
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相手は大学生で、女癖の悪いどこかのドラ息子のようだと聞いたので、金にものを言わせてどんな準備をしているか不明でした。
念のため警察に通報してレッドデビルの姿でそこに向かった。
警察が踏み込んだ。
私は気付かれないように屋根から侵入して、いつでも天井から襲える体制でいた。
順子は素っ裸にされていた。
不良学生たちは、「警察に通報したら殺すといっただろうが!」と順子を人質にして逃げようとしていた。
警察も人質がいるので手出しできずに困っていた。
警察に気を取られている今がチャンスだと判断して天井から襲った。
不良学生たちは、「レッドデビルの親友って本当だったのか!」と慌てた。
警察と協力して順子を救出した。
私はすかさずセーラー服に着替えた。
警察はレッドデビルを捜していた。
晴美は私を見て、「順子を救出したので、あとは警察に任せてレッドデビルは帰った。」とごまかした。
順子は素っ裸にされていたので、体を悪戯されていないか、刑事の指示で婦人警察官が事情を聞いた。
私たちも刑事から事情を聞かれた上で解放された。
不良学生たちは、婦女暴行、監禁の現行犯で逮捕された。
レッドデビルからも事情を聞く必要があったので、レッドデビルが所属するジムに行った。
レッドデビルの正体は企業秘密なので教えてもらえなかった。
今日はもう遅いので、翌日、晴美からレッドデビルの事を聞く事にした。
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翌日、刑事が高校に来た。レッドデビルからも事情を聞く必要があり、親友だといった晴美にレッドデビルの連絡先を聞くためだ。
警察から事情を聴いた担任の井坂先生は、「石川のやつ、ついに警察のやっかいになる事をしでかしたか。」とあきらめて晴美を呼びに教室に向かった。
先生から事情を聞いた晴美は慌てて、「その前にトイレに行ってもいいですか?」とトイレから私に電話した。
事情を聞いた私は、「落ち着いて。私も近くで隠れて話を聞いて対策を考えるわ。そのうえで携帯に電話するから、それまでごまかして。」と晴美を安心させた。
晴美は教室に戻り、先生と応接室に向かった。
私はそのあとから気付かれないようについていった。
晴美は応接室で、刑事からレッドデビルの連絡先を聞かれた。
「レッドデビルが覆面をしているのは、正体を明かさないためでしょう?教えられないわよ。連絡先だったら、なぜレッドデビルが所属するジムに聞かないのよ。」と困っている様子でした。
「もちろん問い合わせた。今月はジムに来ないそうだ。悪役レスラーとはいえ人気レスラーなので、自由にさせているそうだ。レッドデビルが正体を明かさないのは、それだけの理由がある。直接レッドデビルに聞くようにと教えてもらえなかった。レッドデビルは君の親友なのだろう?誰なのだ?」と問い詰めた。
レスリングジムがレッドデビルを自由にさせているのは、プロレスは副業で別に本職がある事に気付いていたからでした。
人気レスラーなので許しているようだが、まさか女子高生だとは気付いていなかったようでした。
通路で話を聞いていた私は携帯で晴美に電話した。
「詩穂です。話は通路で聞いたわ。困っているようね。レッドデビルから電話だと告げて刑事さんと電話替わって。」と晴美を助けようとした。
晴美はホッとして刑事にレッドデビルから電話だと告げて電話を替わった。
「刑事さん、私の親友をいじめないでよ。」
「警察ですが、別にいじめていません。先日の件で、あなたから事情を聞くために、あなたの連絡先を聞いていただけです。事情を聞かせて頂けませんか?」と事情聴取しようとした。
「今晩、私は試合なので、その準備があります。今は話ができません。試合終了後話をしますので、試合会場まできてください。試合会場は晴美に聞いてください。」と、警察も捜査を始めたようなので、もうごまかせないとあきらめた。
「それでは今晩お伺いします。」と挨拶して電話を切り、先生に挨拶して署に戻った。
晴美も安心して教室に戻って、一足先に教室に戻っていた私に感謝した。
その晩、刑事は試合会場でレッドデビルの試合を観戦していた。
レッドデビルのリングネームを使ってから悪役レスラーになり反則もするようになった私が、試合終了後リングから降りて、刑事に声をかけて控室に連れていった。
試合を観戦していた刑事は、まだ相手レスラーの血が腕に付着している私を見て怖がっている様子でした。
試合を観戦していた晴美たちもきた。
「ちょっと、詩穂、刑事さんが怖がっているじゃないの。腕に付着している血を拭いて覆面脱いだら?刑事には守秘義務があるのでしょう?喋らないわよ。」と刑事が怖がっているので詩穂に戻るように促した。
「あら、腕に血が付着していたのね。気付かなかったわ。」と血を拭いて覆面を脱いだ。
レッドデビルの正体を知った刑事は、「えっ!?君は、たしか晴美さんと一緒にいた、あのお淑やかな生徒?」と自分の目を疑って信じられない様子でした。
晴美は、「刑事さん、これだと怖くないでしょう?」と笑った。
先輩刑事が、「やはり高校の関係者だったのですね。」と納得していた。
「先輩、気付いていたのですか?」となぜ高校の関係者だと気付いたのか不思議そうでした。
「お前は修行がたらんな。レッドデビルが電話してきたタイミングだよ。刑事と電話替われという事がどういう事かわからんのか?なぜ彼女から事情を聴いていると知っていたのだ?高校の関係者でないと知りえない事だろう。若手の職員だと判断して、レッドデビルが電話してきた時間に電話していた女性職員がいなかったか教師たちや事務員などに聞いたが、誰もいなかった。まさか女子高生だったとは私も気付かなかったよ。」と高校の関係者だと気付いた理由を説明した。
その後、刑事は事情聴取して帰った。
刑事が帰ると私はいつものように、試合の事など晴美たちと雑談してセーラー服を着て帰った。
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そんなある日、担任の井坂先生がテレビで偶然、私が晴美たちとプロレスの試合会場で映っている事に気付いた。
井坂先生は証拠をつかむかめに女子プロレスの試合を鑑賞した。
試合中、晴美たちを捜して、晴美たちに気付かれずに監視可能な場所に座った。
レッドデビルの試合終了後、晴美たちを尾行して控室に入る事を確認した。
井坂先生もレッドデビルの控室を尋ねた。
ドアをノックする音に誰だろう?マスコミかな?と確認した。
「はい、どちら様ですか?」
「私は大日本高校で教師を務めています井坂です。私の生徒が、この控室に入るのを先ほど確認しました。いろいろと聞きたい事がありますので少しよろしいですか?」
私は、予期せぬ来客に戸惑った。
「晴美、尾行されていた事に気付かなかったの?」とあきらめて井坂先生を控室にいれた。
井坂先生は、私にあいさつして晴美に、「石川さん、最近お淑やかな杉山さんを女子プロレスの試合などに連れまわしてないか?先日偶然テレビに、君たち不良グループと杉山さんがいっしょのところが映っていました。杉山さんを悪の道に誘い込むな!」と私を守ろうとしている様子でした。
先生は、私にも苦情を訴えた。
「君、レッドデビルはなぜ反則ばかりするのだ!卑怯じゃないか!もっと正々堂々と勝負すればどうなんだ。先ほどから話にでている杉山さんなんか、お淑やかで君とは正反対だ!君も杉山さんを見習ったらどうなんだ!」と苦情を訴えた。
私は覆面を脱いで、「先生、私ならここにいますよ。私が私を見習うとはどういう事ですか?」とレッドデビルの正体を明かした。
「えっ!?杉山さん?」と自分の目を疑い信じられない様子でした。
「私が反則をするのは、お客様がそれを望んでいるからよ。その証拠に、私は以前から女子プロレスの試合にでていましたが、まったく人気がありませんでした。リングネームをレッドデビルに変えて悪魔のように反則もするようになれば、急に人気があがったわ。反則をするのは私の仕事よ。」と反論した。
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「先生、これでわかったでしょう?女子プロレスの試合会場に、私と詩穂がいっしょに映っていた理由が。私が詩穂を悪の道に誘い込もうとしているのではなく、詩穂がマスコミの目をごまかすために、私たちをダシに使ったのよ。制服を着用すれば、私たちはただの女子高生グループにしか見えないのでね。それと、私たちの成績が急にあがったのは、レッドデビルに勉強会でしごかれたためよ。逃げようとすれば、レッドデビルに練習相手にされて、プロレス技をかけられて死ぬ思いをするのでね。」と説明した。
「そうか、それで授業についてこられるようになって、君たちの出席率があがったのか。」と納得した様子でした。
「出席率があがったのは、それだけじゃないわ。ずる休みすればレッドデビルがきて、練習相手にさせられるから、ずる休みできなくなったのよ。でも、それだけの事をしてくれるわよ。授業でわからないところはレッドデビルに聞けば教えてくれるわよ。」と補足説明した。
「そうだったのか。杉山さん、今後とも、落ちこぼれ生徒のフォローをお願いするよ。」と期待した。
「それは、晴美のような芯の強い生徒じゃないと無理よ。レッドデビルがくれば親に泣きつくような芯の弱い生徒は、私の手に負えないわ。それは専門家の先生にお願いするわ。」と不良少女の更生には協力できるといった。
「そうか、それもそうだな。お淑やかな杉山さんが体育の成績も優秀な理由が納得できたよ。そういえば、来月の女子の体育授業はレスリングだと体育教師が言っていた。誰がトップ成績か予想できるな。高校の授業では観客がいないから反則するなよ。」と反則については諦めた様子でした。
今日は先生も含めて試合の事など雑談した。
セーラー服に着替える時は、「先生、こっちみないでよ。」と着替えていた。
晴美は、「先生、こっち向けばレッドデビルに殺されるわよ。」と笑っていた。
やがて、着替え終わり、今日は先生も一緒に帰った。
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やがて、体育の授業の日がきた。
レスリングの授業で体育教師は、護身術だとか暴漢や痴漢に襲われた時などだとか色々と説明して、簡単なレスリング技などの授業を開始した。
暴漢に襲われた時に、どうするのか実技も含めて全員で練習した。
次は、もっと多くのレスリング技の指導を実技も含めて実施すると予告して、今回の体育授業は終了した。
次の体育の授業では、もっと多くのレスリング技を実技も含めて指導した。
晴美が、「詩穂!先生をレスリングで倒して実力を発揮して!」とヤジを飛ばした。
体育教師は、「杉山!お前体育の成績もよく、運動神経抜群のようだがレスリングもできるのか?よし、腕前を見てやる。」と晴美の言葉に腹を立てて、指導ではなく私を襲った。
私は、「も~、晴美、余計な事を言わないでよ。」と言いながらも簡単にレスリング技で先生を倒した。
あまりにも簡単に投げられたので、先生も女生徒に投げられて男性のプライドが許さず、「今は油断しただけだ。もう一度だ!」と私に向かってきたが、結果は同じだった。
晴美は、「ほら先生、詩穂に全く適わないじゃないの。来週もレスリングの授業ですよね。来週は、私や詩穂に何を教えてくれるのかしら?」と先生をバカにしたような表現をした。
体育教師は、「まだ、教えてないレスリング技を使ってくるとは思わなかった。私も知らなかった技があったので、来週は私もレスリングの事を色々と調べてくる。」と予告して授業は終わった。
授業終了後、晴美は、「詩穂、体育教師が知らない技ってどんな技なの?教えて。」と体育教師が知らなかった技を知ろうとした。
「つい、いつもの癖で使っちゃったけれども、あれ反則よ。井坂先生から反則するなと釘を刺されたので内緒よ。」と苦笑いした。
晴美は、「そうだったの?全員の前で反則して内緒もなにもないわよ。先生の耳に入るのは時間の問題よ。」と内緒にするのは無理だと促した。
「そんな事ないわよ。私が伝えるまで晴美も反則だと気付かなかったじゃないの。誰も気付いてないわよ。先生も気付いていなかった様子だったしね。」と晴美が黙っていれば、ばれないと口止めした。
次回投稿予定日は、5月18日を予定しています。