第十一章 詩穂、女子大に入学する
私は晴美たちと受験勉強に没頭して、しばらくプロレスからは離れていた。
やがて、私は晴美たちと大日本女子大を受験して合格した。
春から、みんな仲良く女子大に通う事になった。
私はプロレスに復帰して、入学式までみんなとツーリングしたり遊んだりして楽しんでいた。
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やがて、入学式になり、みんなと新鮮な気持ちで参加した。
入学式の帰り道、喫茶店に寄って雑談していた。
真由美が、「先日、陽子さんから聞いたけれども、陽子さんもこの女子大の卒業生らしいわよ。私たちは陽子さんの後輩になるのよ。」とみんなに教えた。
京子が、「先日、真由美さんから聞いて、陽子さんだったら格闘技の活動をしていたかもしれないと考えて、入学式の一週間前に、女子大の見学も兼ねて調べたのよ。そうすればすごい事がわかったわ。」と何かに気付いた様子でした。
順子が、「すごい事ってなに?もったいぶらずに早く教えてよ。」と急かした。
「陽子さんは柔道オリンピック選手に選ばれたらしいけれども辞退したそうなのよ。それで後輩の松木選手から依頼されて、松木選手のコーチを引き受けたそうよ。」と調べた事を説明した。
「松木選手って、柔道金メダリストの松木選手の事か?」と信じられない様子でした。
「そうよ。松木選手は陽子さんに手も足もでないらしいのよ。辞退した理由は誰も知らなかったわ。それと、なんか変な事もわかったのよ。」
「すごい事の次は変な事か?もったいぶらずに早く教えてよ。」とイライラしていた。
「なぜか、陽子さんの友達は陽子さんと女子更衣室に入ることを嫌がっていたそうなのよ。」
「なんだ?それ、陽子さんは入れ墨でもしていて怖がられていたのか?」
「確かめてみよう。」
「どうやって確かめるのよ。どうやって服を脱がせるのよ。」
「服を脱ぐのは風呂ね。銭湯に誘おう。」
「合宿じゃあるまいし、今時、銭湯なんて行かないわよ。温泉に誘おうよ。泊りでツーリングして、いっしょに温泉にはいろう。」
「そんな大掛かりな事をしなくても、夏になったら、プールに誘って更衣室で確認しよう。」と雑談していた。
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やがて夏になり、真由美が陽子をプールに誘うと了承された。
なぜか陽子は嬉しそうだったので、水泳が好きなのかな?と感じた。
当日、陽子はビキニだったので、プールの女子更衣室で確認したが、入れ墨はなかった。
女子大で、陽子の噂をしていると真由美が、「そんな人の事はどうでもいいじゃないの。いっしょに女子更衣室に入って何も問題なかったのでしょう?総理大臣のお嬢様が入れ墨しているわけないじゃないの。もう人のプライバシーを探る事はやめましょうよ。総理大臣に睨まれても知らないわよ。」と警告して、それ以降この話はしなくなった。
その後、詩穂たちは学生生活を楽しんでいた。
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ある日、晴美が合コンのセッティングをした。
「大日本医療大学の学生と合コンするわよ。」とみんなに伝えた。
人数は、詩穂、真由美、晴美、順子、弘子、京子の六人で、相手男性も六人で、晴美が幹事になり、みんなのスケジュールを確認して相手男性と打ち合わせした結果、来週土曜日十八時からと決まった。
初めての合コンにみんなそわそわしていた。
やがて、合コン当日になった。
一旦、女子大に集まった。
晴美が、「みんな揃っている?いくわよ。」と全員で合コン会場まで移動した。
男性たちは、合コンに別々にきた。
全員揃ったところでそれぞれ自己紹介した。
合コンに慣れないみんなはあまり喋らなかった。
女性幹事の晴美と男性幹事の尾崎修二が焦って、「ちょっと、みんな黙ってないでなにか喋ってよ。」と促していた。
晴美は、みんな遠慮して喋らないので指名した。
「京子、あなた体育の成績が良いので、何かスポーツの話をしなさいよ。」と背中を押した。
京子が、「野球とかゴルフなど、なにかスポーツ観戦しますか?同じスポーツに興味があれば、いっしょに観戦にいきませんか?」と期待した。
修二が、「私は女子プロレスに興味があり、レッドデビルの大ファンです。ルールに拘らず臨機応変に戦う様子は最高ですね。」と興味のあるスポーツを教えた。
同級生の箱崎悠馬が、「おい、女子プロレスの話なんかしたら嫌われるぞ。」と忠告した。
晴美が、「そんな事ないわよ。私たちもそうよ。私たちは六人ともレッドデビルのファンクラブに入っていて、レッドデビルの試合は必ず観戦に行きます。」と期待に応えた。
修二が、「必ずしも観戦に行きませんが、今まで数回、観戦に行っています。」といっしょに観戦にいこうと期待していた。
京子が、「試合会場で会っているかもしれませんね。次回、レッドデビルの試合はまだ決まっていませんが、その時は一緒に行きませんか?」と誘った。
順子が、「あっ、思い出した。尾崎さん、先月、レッドデビルの試合会場の階段で転んでいませんでしたか?」と確認した。
晴美たち全員で、「あ~、私も思い出した。みんなでドグサイやつだなと笑っていたのよ。」と修二を思い出した。
修二は、「ああ、あの時の。変な所を見られましたね。確かにあれは私です。」と恥ずかしそうでした。
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結局、この日はレッドデビルの話題で盛り上がり、ペアはできなかったが、同じスポーツに興味がある事が判明し、グループ交際する事を真由美が提案した。
明日は日曜日ですが、今日は飲みすぎたので、来週の土曜日に、全員でテーマパークに行くことにして、今日はもう遅いので、お開きにして帰った。
月曜日に女子大で順子が、「真由美、なぜ、グループ交際するように提案したの?カップルができなかったからなの?」と疑問に感じて確認した。
真由美は、「それもありますが、まだ相手男性の事をよく知らないから、二人っきりになるより、みんな一緒のほうが安全だと思ったからなのよ。何かあれば私たちにはレッドデビルがついているからね。」と慎重でした。
やがて土曜日になり、テーマパークの前で待ち合わせた。
全員揃ったところでテーマパークに入場した。
みんなで楽しく騒いでいると、不良グループ数人に絡まれた。
「お前ら、うるさい!耳が痛くなる。」と迫ってきた。
修二たち男性は、女性に良いところを見せようとしたが、女性たちは、みんな詩穂の後ろに隠れた。
修二たち男性は、一番前に出ている詩穂に、「詩穂さん、危ない。私の後ろに隠れて。」と女性たちを守ろうとしていた。
不良たちは、「なに格好つけているんだ?」と殴られたり蹴られたりして尻餅をついて、ビビッていた。
不良たちは、一番前にいる、詩穂に手をかけた瞬間、腕をねじられるようにして、投げられた。その結果、関節が外れた。
「あいたた~、無茶苦茶しやがって、腕が動かないじゃないか。どうしてくれる!」と焦っていた。
晴美が、「いまのは正当防衛よ。」と反論した。
他の不良たちが、「やる気か!」と詩穂に襲い掛かったが、全員簡単に倒された。
「覚えていろよ!」と捨て台詞を残して逃げ去った。
晴美が、「あんたたち、男のくせに女の詩穂に守ってもらって情けないわね。だから強い女に興味があり、女子プロレスに興味があるのですか?レッドデビルの試合が来週の水曜日に決まったわ。みんなで観戦に行きましょう。」と誘った。
その日はテーマパークでいろんな乗り物に乗ったりアイスなど食べたりして楽しく遊んでいると夕方になったので、試合観戦を約束して、その日は帰った。
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レッドデビルの試合当日、修二が、「詩穂さんはまだ来てないのですか?毎回観戦しているのでしょう?」と疑問に感じた。
晴美が、「詩穂ならもうきているわよ。詩穂だけは特別で、試合会場には来ていますが観戦はしないのよ。」とヒントを与えた。
修二が不思議そうな顔をした。
それに気付いた京子が、「その答えはこの試合にあるわよ。試合終了後、詩穂のところにいくわよ。」と教えた。
詩穂は、この試合の関係者で仕事中なのかな?と感じながら試合を観戦していた。
試合終了後、レッドデビルがリングから降りた。
晴美は、「みなさん、詩穂のところにいくわよ。」と向かったさきはレッドデビルの控室だった。
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修二は、「詩穂さんはレッドデビルのマネージャーかなにかですか?」とキョロキョロして詩穂を捜していた。
レッドデビルが、「人の控室で何を調べているのだ!」と修二に詰め寄った。
修二は慌てて、「いや、ここに知り合いがいると聞いたので、・・・」とおろおろしていた。
レッドデビルが覆面を脱いだ。
「もう一度聞く。誰を捜しているのだ?」と笑った。
「えっ!?詩穂さん?」と驚いていた。
「先日テーマパークで不良に絡まれ時、男性の後ろではなく詩穂の後ろに隠れた理由がわかったでしょう?全員、レッドデビルの後ろに隠れたのよ。」と説明した。
「しかし、詩穂さんがあんなに乱暴だとは思わなかったよ。」となぜ詩穂が強かったのか納得した様子でした。
「乱暴を通り越して狂暴ですね。」と詩穂から離れた。
「怖がらなくても大丈夫よ。狂暴なのはリングの上だけだから。」と全員笑っていた。
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その後、話は長くなりそうだったので場所を変える事にした。
どこにしようかと話し合っていた。
真由美が、「陽子さんから、山奥にスナックがあり、場所的に客が少ないので、アルコールを飲みながら内緒話をするには最適だと聞いた事があるわ。レッドデビルについても話ができるので、そこにいきませんか?」と提案した。
全員賛成してそのスナックに移動した。
試合の事など色々と盛り上がった。レッドデビルの正体を知ってからの盛り上がりかたは、合コンの時とは異なった盛り上がりかたでした。
スナックからの帰り道、人気のない道で修二が詩穂の前にでて、「詩穂さん、おれと勝負しよう。」と詩穂に挑戦したが、簡単に倒された。
他の男性たちも、「今度は俺と勝負しよう。」と順番に挑戦したが、誰も詩穂には敵わなかった。
「さすが、連戦連勝の女子プロレスラーですね。全く敵わないな。」とレッドデビルの強さに感心して、その日は別れた。
修二たちは私たちと別れた後、「もし詩穂さんと結婚して夫婦喧嘩すれば殺されるぞ。」
「確かにそうだな。今は手加減してくれたようですが、夫婦喧嘩で頭に血が上っていれば、手加減してくれないかもな。」などと話し合ってい。
「誰だ?こんな合コン話を持ってきたのは!」と詩穂と付き合いだした事を後悔している様子でした。
「じゃ、合コンを断ればよかったじゃないか。喜んで合コンに参加して都合が悪くなれば俺一人に責任を押し付けるなよ。」と憤慨していた。
結局、何か理由をつけて別れようとしている様子でした。
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翌日、みんなで女子大校内を歩いていると、晴美が声を掛けられた。
「あんた、先日のレッドデビルの試合を男と観戦してなかったか?」と修二たちと試合を観戦していた様子を見られていたようだ。
晴美はその女性に見覚えがあったが思い出さなかった。名前を聞けば思い出すかな?と感じた。
「あんた、誰よ。突然失礼じゃないか。」とその女性の事を知ろうとした。
「ごめんなさい。私は伊吹千代子です。同好会、レッドデビルを応援する会のメンバーです。レッドデビルのファンだったら私たちの同好会に入りませんか?」と勧誘された。
晴美は、「私たちは全員、レッドデビルのファンクラブのメンバーよ。あなたこそ、ファンクラブに入りなさいよ。」と誘った。
晴美と千代子が押し問答している間に千代子の仲間が応援を連れてきた。
応援にきたのはレッドデビルを応援する会の会長、西島良子だった。
晴美はその女性もどこかで見た事があるような気がしたが思い出さない。
「話は聞いたわ。一般のファンクラブのメンバーらしいわね。わが校の学生だったら、わが校の会にはいるのが普通だろう。」と説得した。
声にも聞き覚えがあった。以前どこかで会った事は間違いないが思い出さない。
「しかし、詩穂がそんな会に入るのはおかしくないか?」と自分を応援する会に入る事に疑問を感じた。
「どこがおかしいんだ!」とその理由がわからない様子でした。
「明日レッドデビルの試合がある。そこで教えてあげるわ。明日試合会場で会いましょう。」と今日のところは別れた。
その後、会長に見覚えがあり、声にも聞き覚えがあるが思い出さないとみんなに相談した。
みんなも同じく、顔と声に覚えがあった。
みんなと色々と考えたが思い出さなかった。
次回投稿予定日は、7月14日を予定しています。