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第1話 挙動不審

今日が小説家になろう初投稿です。

拙い部分も多いかと思いますがどうか温かい目でご覧いただければと思います。


「え?課長!納期が目前にせまったこの時期に仕様変更ですか?!」


男はそう言って呆然と立ち尽くしていた。


「いや〜、わかってるよ速水君。先方がどうしてもって言うので無下に断れなくてね〜。ごめんねぇ〜。どうか、頼むよぉ〜!!」課長は男に向かって祈りを捧げるかのように両手を合わせながらそう訴えた。


速水と呼ばれた男は拳を握りしめワナワナと震え出した。

「なんでいつも、そうやってホイホイ安請け合いしちゃうんだよ!・・その度に苦労してるこっちの身にもなってくれよ・・・」速水は誰に言うでもなく、絞り出すような声で呟いた。



「え?なんか言った?」課長が眉を潜めつつ速水のほうを見つめている。



「い・・いえ!わかりました」そう言うと速水はそそくさと自分のデスクに戻っていった。



速水の仕事はシステムエンジニアである。お客様の要望をまとめてプログラム仕様書におこして、それをプログラマー達に渡してプログラム製造をさせるのが役目である。

とはいっても今回のプロジェクトは少人数で行っている為、速水もプログラマーとしての作業も行っている。



早速、速水は課長から渡された先方からの仕様変更の資料に目を通し、変更箇所の確認をしていく。思っていたほど影響範囲は多くなさそうだった。



「よし、これぐらいであればなんとかなりそうかな。如月さんと成宮君ちょっといいかな?」



速水が声をかけたのは、このプロジェクトメンバーのプログラマー2人だ。

如月は女性の派遣社員、この会社では2年半仕事をしていて、どの分野のプログラミングでもそつなくこなしていて周囲からの評価も上々である。

もう1人の成宮は男性の正社員、都内の有名大学を卒業し入社して1年半になる。かなりのビッグマウスで確かにスペックも高いのだろうが気分にかなりムラがあり、やる気のある時とそうでない時の差が激しく

周囲はかなり手を焼いているようである。



2人に今回の仕様変更の内容を伝えると、如月は「はい、わかりました。すぐに取り掛かりますね」とすぐ自分のデスクに戻り、プログラム修正作業に入ったようだ。

しかし、一方の成宮は「え~、何いまさら仕様変更とか言っちゃってんすかね~。っつーか、今さらそんな事を言ってくるキャクもキャクだけど、それをすんなり受け入れちゃうカチョーもどっちも使えなくないっすか?ね~、速水さん!」

と周りに聞こえる声でボヤきまくっている。



速水は、課長に聞かれたらどうすんだとばかりに慌てて「な・・成宮君、落ち着こうか。ほら!このプロジェクトが完了したら打ち上げで課長が美味しい焼き肉を奢ってくれるってよ!」と、咄嗟とはいえあまりにも稚拙な嘘で場を収めようとしている。


それを見た成宮は「はぁ」と溜息を一つついてから「そんなあからさまな嘘で黙らせようとしなくても仕事は仕事でちゃんとやりますから。っつーか、僕会社の外でまで社内の人と一緒にいたくないんで万が一そんな事が実現してもお断りですけどね!あ、仕事はやるって言いましたけど、今まで通り定時までですからね!ハマってるゲームがあるんで早く家に帰りたいんで。」



それを聞いた速水も「はぁ」と溜息を一つついてから「わかったから!自分の席に戻って仕事して。」もうこういったやりとりは何度もしてきているのであろう。そしてこれ以上やっても何も進展しない事は速水は悟っているのであろう。これ以上無駄な時間を費やすぐらいならさっさと仕事に取り掛かってもらいたい。それが速水の心情のようである。



ほどなくして定時を知らせるチャイムがオフィス中に鳴り響く。



「じゃっ!お先に!!」


まるで数分前からいつでも帰れる準備万端の状態でチャイムが鳴るのを今か今かとばかりに待っていたかのごとくあっという間に課長が帰宅の途につく。



「じゃあ、僕もお先に上がらせていただきますね」成宮もそれに続くかのようにさっさと帰っていく。


その他数名が定時で上がっていく。それに対して速水は帰っていく者達の方など見もせず、定型句しかしゃべれないロボットかの如く「おつかれさまでしたー」と言葉を返していく。



「すいません、お願いします」そんな速水の姿を見ながら如月がおそるおそる何かの紙を渡してくる。


如月の会社の勤怠簿だった。派遣社員が出勤・退勤時間を記入し、派遣先の上長に印鑑を押してもらい、1か月分を派遣会社に渡す事になっている。本来は課長が印鑑を押す事になっているのだが、あっという間に帰ってしまう為、速水がいつも押しているのである。



「速水さんだけに負担をおかけしてしまうのは申し訳ないのですが契約が・・」如月が申し訳なさそうにおずおずとしていると、



如月に対して満面の笑みで「元々の契約が定時までって事ですからしようがないですよ。明日もお願いしますね!」速水はそう言うと印鑑を押した勤怠簿を如月に返した。



如月は速水に一礼して、自分の席に戻っていき、荷物を手に速水のところへ再度来て「では、すみませんがお先に失礼致します」と伝え、



「お疲れ様でした」とにっこり笑顔で速水は送り出すのであった。



さて、速水の仕事はここからなのであった。使えない上司と定時に帰ってしまう部下達のおかげで、その穴を速水が毎日残業してカバーしていく他ないのである。

幸いにも定時以降は段々と社員達が家に帰っていく為、少人数もしくは速水のみとなる為、オフィス内はしーんと静まりかえり仕事に集中できる為、

一日の中で一番仕事が捗る時間なのである。


一見すると仕事をみんなに押し付けられているかわいそうな人なのだが、速水本人にはそんなつもりはなく仕事量をこなしてそれが自分の成長に繋がっていることに喜びを感じる。要は根っからの仕事人間なのである。



ふと、腕時計に目をやるともうけっこうな時間になっていた。これ以上やっていても仕事のパフォーマンスが下がっていくだけだろうと判断した速水は「今日はこのへんにしときますか」と独り言を呟き、パソコンの電源を落とした。


事務所の鍵を閉めて、ビルの1階入り口の守衛さんに鍵を渡して帰宅の途に付く。



コンビニで夕食の買い物を済ませて1ルームの自宅へ戻り、夕食を頬張りながらゲームをする。これが速水のルーティンともいえるここ最近の流れだ。


速水がやっているゲームはいわゆるMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)の最新作、ドラゴン・ウォリアーズ15というタイトルのソフトである。


速水は今までもこの手のゲームをいくつかやってきたが、マニアなどのガチ勢が多いものばかりでプレイヤー同士でギスギスしている光景を目の当たりにして嫌になりやめてしまったものばかりであった。


その点、このゲームは今までのナンバリングタイトルでは幅広い層に親しまれてきていて、本作もライト層を中心に幅広い層の方達が楽しめてると概ね好評のようである。


そして、一日の大半が仕事で終わってしまう速水にとっては、仕事から離れられる唯一の癒しの時間でもあった。



「こんばんはー」



ログインしたら、まずは同じグループのメンバー達と挨拶を交わし、今日は何をしようかと思案を巡らせる。



(よし、今日は受注していてまだ手を付けられていなかったクエストを終わらせていくか)



そう、決めると町からフィールドに出てこのゲームの移動手段である馬に乗り目的地へと進んでいく。


すると、目的地にもう少しというところでモンスターと戦闘中のエルフ女子キャラが目に入ってきた。


ステータス状態を見るとかなり劣勢である。モンスターのHPは半分以上残っているが、エルフ女子は2割を切りそうな状態である。



装備から推察するにクラス(職業)は魔術師なのであろう。攻撃魔法は強力だが、守備力が低い為HPの減りも早いのである。


そして、おそらくこの周辺に来るには少々レベルが低いようだ。見るに見かねた速水は馬を降り(この世界で馬は有料であり、一度降りると再度町で借りないといけないのだ)"彼女"の助けに入る事に決めた。



とはいっても、この状態で彼女の戦闘に途中から参戦する事は出来ない為、外部から回復魔法をかけてあげたのだ。このおかげで形成は一気に逆転し、攻撃魔法を連発して敵を倒せることが出来たのであった。



エルフ女子は速水のキャラに向かって何度も"おじぎ"のモーションをしてくるのであった。


速水はゲーム内のチャットで「困っている人を助けるのは当然の事ですよ」と答える。



それに対して相手からチャットが返ってくるでもなく沈黙の時間が流れる。


それに耐えられなかった速水は、さらに

「それと、今のレベルだとこの辺りの敵はちょっと厳しいと思うので、もうちょっと町に近いところでもうちょっとレベルを上げたほうがいいと思いますよ」と、アドバイスをしてあげたのだった。



さらに流れる沈黙の時間・・



この状態がいつまで続くのかと思っていたら、エルフ女子は急に走り出してどこかへ行ってしまった。



速水は何が起きたか一瞬わからないでいたが、我に返り「ああ、そうだ。クエストの途中だったっけ。」と、やろうとしていた事の続きをするのであった。

続きが気になる、これから面白くなっていきそうだ、あそこはもっとこういう描写がよかったんじゃないか、色々ご意見あるかと思いますが率直な感想、ブックマーク、評価などなど反応があるのが何より励みになりますので是非よろしくお願い致します。


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