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雪乃梢08


ふあーッ! よく寝たぁ。 ってまだ夜中ね、猫だと1日で何日も経った気分になるのは猫の寿命の短さのせいかな?



あれ? 手がある指がある爪がとんがってない肌スベスベ……



「ええ? ええ〜!? こ、これは!」



急いで鏡の前に立ってみる。



「わわ、わた、私! 人間に戻ってる!! や、やったぁ! でもこれどういう事!? なんで? もしかしてもう転生って終わったの? でも別の人生転生やり直しって事だよね!? なんで? 服も前の高校の制服だし……」



『うるさいなぁー、時間止めてなかった

ら彼に気が付かれてるよ?』

「え?」



キリコの声が聞こえて周りを見ると彼は寝ている。 次に時計を見ると秒針が動いていなかった。



「い、いけない! 驚き過ぎて我を忘れてたみたい。 ってキリコ! これどういう事なの? 私って元の私のままなんだけど?」



そう言うといきなり目の前に逆さまのキリコが登場してビックリして尻餅をついてしまう。



『あはははッ、驚いた!?』

「いたた…… いろんな意味で驚いたよ。 だからなんでなのか説明してよ?」

『僕からの大サービスだよ! 3日に1度、1時間だけ君は周りの人の気力を消費して人間に戻れる能力を与えてあげたんだよ。 腕見てごらん』



そう言われて見てみると腕にはキリコにこの前渡された動物と話せるリボンの他にもうひとつ別のリボンが巻かれていた。



『それを付けてる限りこの能力使えるからさ、少しは人間っぽい思いもまた出来るよ。 1時間だけだけどね!』

「これは…… これは使える! けど周りの人の気力を消費してって大丈夫なの?」

『凄く疲れる程度だよ、とりあえずそこに寝ている彼の気力を今回は頂いたわけだけど』



うわぁ…… なんか悪い事したなぁ。



「でもこれならパパやママ、みぃ達にまた会いに行ける!」

『それ本気で言ってる?』

「え?」

『君死んだ事になってるんだよ? 死体もちゃんと火葬したしそれなのにまったく同じ容姿と性格の君が会いに行ったらどうなると思う?』



どうなるって…… お化けと思われるかな? それかそっくりさん? それどころかふざけているかと思われる?



そうだ、私は確かに死んじゃって。 もしそれで会いに行ってしまったら私の事思い出しちゃうかも。 お葬式の時あんなに泣いていたパパやママやみぃにまた辛い思いをさせちゃうかもしれない。 でもまた会いたい……



『それに1時間しか人間の姿でいられないんだよ? それで下手こいたら君とんでもない事になるよ』 

「そ、それはパパ達以外にも言える事じゃない!」

『その通り〜! だから使いどころとかちゃんと考えた方がいいよ?』

「そうは言っても……」

『とりあえず時間進めていい? 止めてるのって結構神経使うんだよねぇこれが』

「ちょっと待ってよ! 私この姿じゃここに居るのおかしいでしょ!? 外に出るから待っててよ!」

『早くしてよねぇー』



ああもう! いきなりすぎるのよ!!



玄関へ行き気付いた、制服は身に付けてるのに靴はない。 でもいいや、1時間だしと思って彼のアパートから出た。



すると止まっていた時間がまた進み出したような気がする、それは風が頬を触ったからだ。 



「それより…… 1時間って言ってもこれからどうしよう?」



何も考えないで飛び出したので靴下のまま外をほっつき歩く事になってしまった、しかも夜中に制服姿で。 補導されて猫に戻ったらどうしよう? そんな事を考えていると上の方からどこからともなくヒソヒソと声が聞こえてビクッとする。



あ、なんだ、カラスか。 このリボンは人間の姿になっても効果あるみたい。 



『あー、腹減った』

「お腹空いてるの?」

『は?』



私に話し掛けられたカラスはジッとこちらを見た。



『なんで人間のくせに言葉通じるの?』

「なんかわかっちゃうみたい。 あなたも私の言ってる事わかるからおあいこだね!」

『ふーん、そんな奴も居るんだ』



あれ? 意外とあっさりしてる。 普通ビックリして逃げちゃうかもと思ったけど。



『ところでそんな奴が何してんの? 散歩? なんか食いもん持ってない?』

「うん、散歩かな? ごめんね、食べ物は持ってないんだ」

『使えねぇ』



カラスに使えない呼ばわりされるなんて……



そう思った時何かに反応したようでカラスは飛び去っていってしまった。



「え!? どこ行くの?」



そう言って振り返ると…… 彼が立っていた。 その顔はまるでとても変わったものを見ているような目で。



カラスと喋っていた変な女? はたまたただの気違いに思われた!? どっちにしても何をどう考えてもおかしな人決定…… 泣きたい。



「ええと…… こ、これは…… わ、私怪しい人じゃありません!」

「…… どこからツッコミ入れたらいいかわかんないんだけど? とりあえずどっかの病院から抜け出して来たのか? ってんなわけないよなぁ? 制服着てるし。 けど靴はない、家出か?」

「家出じゃありません! たまには夜中に靴を履かないで歩きたい時って…… ありませんか?」

「いや、ないない」



ですよねぇー、ていうか私の言い訳ますます怪しい女じゃん!



「そ、そう言うあなたはこんな夜中に何をしてるんですか!?」

「あ、ああ、お前のさっきの不気味な光景を目の当たりにしてぶっ飛んでたけど猫飼い始めてさ、知らんうちに外に出たみたいなんだ。 見てないか?」

「いえ…… 猫は見てないですねぇ」



そっこーでバレちゃった。 時間止まってたんだから物音もしないはずなのに気付かれるなんて。


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