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ハルとルノ11


「No.37は以前白狼と交戦していますがやはり決定打に欠けるようです」

「ううむ、ファングブレイカーの性能に振り回されている事も要因だな」

「ぶっつけ本番のような形です、仕方ないかと」

「まもなく朝になるな、白狼の行動限界も近そうだ、ここらで奴も引き上げるはずだ」





◇◇◇





辺りが明るくなっていき太陽が見え始めた頃、ワーウルフとルノの戦いは押され気味だがルノはなんとか食い付いていた。



「隙が見えた、これで決める!」

「ガウッ!!」



日の光を背にしてルノは攻撃を仕掛けその光に一瞬ワーウルフに隙が出来た時ルノはワーウルフの胴体にパンチをヒットさせナイフを顎に突き刺しそのままワーウルフを持ち上げ地面に叩き付けた。



「グガアアッ……」

「ハアハアッ!!」

「あいつ…… やりやがった!」



ルノはグラッと立ち上がりこちらへ向かって来た、かなり消耗しているようで俺のすぐそばまで来ると崩れ落ちそうになり俺はルノに手を回して支えた。



「凄かったよ。 お疲れ様」

「あはは…… かなり手こずったけどね。 これで仇はうてたかな?」

「ああ、お前はよくやったよ。 だから今はゆっくり休め、後は俺に任せろ」

「まったく…… なんの根拠があってそんな自信満々なのかしら? でもお願いするわ」



重りがなくなった分背負いやすくなったルノを連れてその場から離れようとすると後ろからメキッと枝が折れる音がして俺とルノは恐る恐る振り向くとワーウルフが立ち上がっていた。



「そんな…… あれでも死なないの?」

「あんなのどうやって倒すんだよ……」

「グオオオオッ!!」



雄叫びを上げワーウルフが俺とルノに突進をする、ルノを背負っていた俺はすぐに動けずにモロにワーウルフにルナごと弾き飛ばされた。



「ぐッ…… なんてタックルだよ!?」

「嘘…… 冗談でしょ!?」

「え?」



ルノの驚きはすぐにわかった、飛ばされた先はなんと崖になっていた。 



「こんなのありかよ!?」

「あ、あそこ!!」

「あれは…… 」



ルノが指差した落下方向真下に突き出した木の枝があり俺は片手で枝を掴んだ、運良く折れずに済んだが俺の腕にはかなりの激痛が走った。



「564! 大丈夫!?」

「よくもまぁ肩が外れずに済んだよ…… ただこのままじゃ」



下を見るとまだまだかなり高さがあった、落ちたら確実に死ぬ。 



「私を離して! なんとか私は着地するから」

「バカ言うなよ、お前ヘロヘロだろ? それくらい俺にもわかる」

「けどこれじゃあ2人とも死ぬわ!」

「だな…… だったら誰がこの先生き残るべきか誰の目からも一目瞭然だよな」

「え?」



俺は全身全霊これまでにないほどの力で背中におぶさっていたルノの腕を掴んで上へ投げ飛ばした。



「ちょっと!!」

「守るって言ったろ? それと期待してろっとも」



それは自分でも信じられないほどだった、火事場の馬鹿力とでも言うべきか……



落下する時に見掛けた岩の出っ張りに目掛けルノを10メートル以上投げ飛ばし上手くそこへ乗り上げたようだ。 



ルノはすぐさまそこから顔を出して俺が無事か確認する。



「良かった、こんな力あるならあなたもさっさと上がって来なさいよ!」

「悪い、お前を投げた時今度こそ肩が外れたみたいだわ」

「そんな…… すぐにそっちへ行くわ! だからそのまま持ちこたえて!」

「無理みたいだ、枝を掴んでる方の手の感覚ももうない」

「ダメよ! 諦めないで、私が…… 私がなんとかするから!」

「なあ、聞いてくれ。 お前はやっぱりいい奴だよ、さっきの戦いだって俺に攻撃が行かないか気を遣って戦ってくれてたろ?」

「そ、そんなこと今言う事!?」

「だよな…… でもあいつは絶対また来る、その時には今何チーム残ってるかもわからないけど他の奴らも襲われるはずだ、あんなのに訳もわからず殺されるのなんて死んでもごめんだ。 でもお前ならあいつを倒す事が出来る」

「何を…… 私はあなたが居たから今もこうして助かって。 だからあなたも一緒に!」

「わかってる、ここで死ぬつもりはないよ。 けどもう俺は限界みたいだ」

「待って! ねぇ!! 離さないで!」



だが俺は遂に枝から手が離れてしまった。



「いやぁーーッ!」



ルノの叫び声が聞こえた。 俺は目を閉じて数秒後背中に衝撃が走ったと同時に意識がなくなった。







◇◇◇








あれ? 俺どうしたんだっけ? 何してたんだっけ?



目を開けると星の光が見えた。 背中に痛みが走った。 



痛い…… 痛いって!? てことは生きてる?



身体を起こしてみると密林だったお陰か落ちた時木の枝に身体が絡まっていたようだ。



ははは…… どんな奇跡だよ? そう思った時ドクンと心臓が高鳴った、背中の痛みが消えていき肩が外れた痛みもなくなっていた。 もう片方の腕で外れた肩を押し込めるようにして戻すとこれまた痛みがない、自由に腕が動かせる。 それだけじゃない、今までにないくらいに力が漲っていた。



なんだこれ? 落ちたショックで俺の身体おかしくなったのか? 立ち上がって木の枝からジャンプすると木の枝が砕けたと同時に物凄い高さを跳躍して落ちた崖の出っ張りに手を掛けた。



嘘だろ? 俺こんなに跳んだのか? 



更に手を掛けていた崖に足を掛けて跳んだ。 



マジかよ? これってまるでワーウルフと戦っていた時のあいつと同じみたいだ……



そのまま落ちて来た崖を登り切り時計を確認するとあれから2日が経っていた。



最終日じゃねぇか。 ならまだこのバトルロイヤルは続いてるのか? ワーウルフは? みんなは? あいつは? 通信装置はダメみたいだ。



耳を澄ますと遠くで銃声とともにワーウルフの叫び声が聞こえた。 ここからかなり離れていると思われる場所なのに何故か聞こえる。 



俺はルノや他のチームがまだあいつと戦っているかもしれないと思い急いでその場へ急行した。






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