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雪乃梢03


その後私のお葬式が開かれたようだ、猫の姿なので私はお家の中には入れたいけど敷地に入り中の様子を見ていた。



私の身体どうなったんだろ? あれ酷い事になってたから元には戻らなかったよね?



あ、みぃだ! 来てくれたんだ。 嬉しいな。 ん? みぃの隣にはかずき君が…… そっか、2人で一緒に来てくれたんだね! てことはあの時2人きりになって上手く行ったのね。



なんでこんな目にって思ったけどなんか成し遂げた感があるなぁ。 そうでも思わなきゃやってられないよ。 2人とも末永くお幸せにね、私もそのうち人間に戻れるかもしれないし万事解決!



…… と思ったがみぃの泣き顔を見た途端私はそんな悠長な考えはどこかに行ってしまった。



「バカ梢! なんで死んじゃったのよ!! あの時なんで梢を1人にさせたんだろ…… ううッ」

「あいつ…… あの時はあんなに元気そうだったのにこんな姿になっちまって」



かずき君まで……



みぃとは小中からの友達で私とは特別に仲が良かった。 前の私はみぃの友達だけど生き返ったら他人なんだよね? 寂しいな。



私は来てくれた2人に顔を出す事にした。 猫の姿だけど。



帰るのを見計らって2人の前に出た。 私だよ梢! と声を出してみるが「にゃ〜」としか聞こえてないんだろうか?



「あ、猫ちゃんだ。 人懐っこそうだよ」

「なんかくれって言ってんのかな?」

「ごめんね猫ちゃん、餌っぽいもの今持ってないんだ」

「にゃあ〜」

「本当に人懐っこいな、特にお前に」

「ほんとだ。 気に入られたのかな?」



みぃは私をひょいっと持ち上げた。 小柄なみぃでも大きく思える。 というか不思議だったんだけど猫になっても人が何を言ってるのかわかるのは記憶があるせいかな? 



「んー、なんか可愛いし大人しい! もしかして私が元気ないから慰めてくれてるのかな? 出来た猫ちゃんだね」

「ミャア……」



その後かずき君と別れたみぃの後をついていった。 そんなみぃはいつまでもついてくる私を気にしながら歩いていた。



「ごめんね、ここまでついて来てくれたのは嬉しいんだけどうちってペットダメなんだ、こんなに懐いてるなら飼ってあげたいけど」



あ、みぃを困らせちゃった。 そういえばそうだったよね、前に私もそれ聞いた事あるし。



「みゃー」

「そんな寂しそうにしないの! たまに遊びに来てよ? 今度は餌あげるから」



うん、バイバイって言ったつもりなんだけど伝わったかな? またね、みぃ。



それにしても…… これからどうしよう? 私の家でもペットダメなんだよね、パパとママ猫嫌いだし。 というかお腹空いた、なんか餌食べたい。 あ! 餌じゃない、ご飯だ! 私は猫だけど心は人間。 



それがこれから逆に仇になる事になった。 心が人間の私には野良猫の生活はホームレスに等しかった、今まで家や学校で過ごして来ていきなり野に放たれる。



あれだ、昔パパが観てた映画キャスト・アウェイ状態だ。 ここは無人島じゃないけど。



それに野良猫って普段何食べてるんだろう? 私は夜道をテクテクと歩いていると他の猫と遭遇した、その猫は私を見るや否や警戒し始め威嚇のポーズみたいなのをとってきた。



「にゃー! にゃああ〜ッ!(私は敵じゃないよ? そうだ、お友達になろう?)」



そんな意味を込めてその猫に話しかけてみた。



「フギャーーーッ!!」



え? 通じてない? 私も猫なのに? 心が人間だから? あっちの吠えてる意味もわからないし。



更に警戒され飛びかかられそうになった時私は踵を返して逃げた。 そうするとその猫は追いかけてきた。



いやー! なんで私立ち去ろうとしてるのに追い掛けてくるのよ!?



なんとか逃げ切り全力疾走して走ったため更に疲れた。 



もうダメ……



そんな時公園が見えたので私はベンチの上に乗り丸まって寝ようとしていた。 



フワッと隣から風が当たったので顔を上げると知らない人が座っていた。 なんだか甘い匂いするよ。



誰だろうこの男の人…… 悪意はないよね? だって今私の事撫でてくれてるし。 ついでに何か食べ物もってないかな?



てか食べ物の匂いもする。 あまりにお腹が空いていたのか私は男の人の膝に乗り傍にあったコンビニ袋を触ろうとしたら取り上げられた。



えーんッ! ちょっとばかり恵んで下さーい!!



「腹減ってるのか?」

「にゃあ……」

「そっか」



わかったのかわかってないのかよくわからないけどその男はコンビニ袋からフランクフルトを取り出した。



わぁ!! なんて美味しそう…… 私は手をバタつかせていた。



「待ってろって」



半分に千切って私の前にフランクフルトを置いた。 わーい!!



「どんだけがっついてんだよ? よっぽど腹減ってたんだな」



その男の人は夢中で食べている私の背中を撫でながら言った。 結構お腹いっぱいになったので私がそのまま寝てしまい次に起きるとその人は居なくなっていた。



なんていい人なんだろう……


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