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ハル13


「で…… なんでお前がここに居るんだ!?」

「お兄ちゃんのお世話しようと思って。 大丈夫! あたしこれでも一通り家事は出来るから」

「そういう事じゃない! 俺の家に住み着こうとしている件についてだ」

「だってあたしを解放してくれたのはお兄ちゃんだし他に身寄りもないしお兄ちゃんの所に行くしかないじゃん?」



俺はシエルを睨み付けた。 



お前が助けてあげてなんて言うから厄介者がお邪魔して来たんだぞ! と目で訴えるとシエルはカズハの後ろにサッと隠れる。



逃げたなこの野郎……



「お兄ちゃんが大声出すからシエルちゃんが怖がってるよ?」

「誰のせいだと思ってる?」

「お願いお兄ちゃん! このままじゃあたし路頭に迷ってまた裏の道に足を踏み入れちゃう事になっちゃうよ、良い子にしてるからお願い」



カズハは俺にギューッと抱き付いて哀願してくる。



「お兄ちゃんが言ってくれた事とっても嬉しかったよ、あたしちゃんとやり直すから。 それともあたしに言った言葉は嘘だったの?」

「う…… 嘘じゃないが」

「ほら! 嘘じゃないならいいよね!?」

「嘘じゃないが俺と一緒に居ると命を狙われる危険があるかもしれないって事で」



そう言うとカズハは腰に手を当て得意げな顔をした。



「あたしそう簡単にはやられません! なんならお兄ちゃんを守ってあげる」

「だからそんなんじゃなくて、ん? 守る??」

「お兄ちゃんを殺そうとする人はどこのどなたであろうとカズハの敵!」

「やり直すって言ったろ?」

「うん、そのつもりだよ? でもね、あたしお兄ちゃんにとっても感謝してるんだ、お兄ちゃんを殺そうとしたのにあんなに優しくされてさ。 だから決めたの、この人を絶対守るって!」

「お、おお!? 守るってお前に守られるほど俺って弱いか?」



こんな女の子に守るなんて言われるとは俺が誰かに狙われたらこいつが出張ってそいつを狩りに行くのか? なんか俺悪い奴みたいじゃねぇか。 悪い奴じゃないとも言えないけど……



「1人より2人の方がお兄ちゃん的にも安心でしょって意味だよ。 それとお兄ちゃんに悪い虫がつかないようにって意味もあるからそこも安心して?」



既に悪い虫がついているような気がする…… んな事言ってこいつを逆上させるととんでもない騒ぎになりそうだし。



「はぁー、わかった。 その代わり絶対問題行動するなよ?」

「お兄ちゃんに誓ってしません!」



満面の笑みでそう言うカズハを見て不安になる。 本当に大丈夫だろうか?



「シエルちゃんもよろしくね!」


”よろしくね”


「わぁー! シエルちゃん頭良い!」

「なんか誰もシエルにつっこまないのな……」

「でもお兄ちゃんの住んでるアパートって狭いね?」

「そりゃ安いとこ選んでるしな、金なんてどのタイミングでなくなるかわかんねぇからな」

「ふぅん……」



と、カズハが自分の服を仕舞おうとクローゼットを開けた。



「え? 銃置いてあるんですけど?」

「有事の際はすぐ取れるとこっていったらそこだからな」

「バレバレじゃない?」

「どうせバレるなら…… ってどうでもいいだろ?」

「あたしのお洋服しまえないじゃーん!」

「だからこんなとこに俺と住むのが間違ってんだよ、嫌だったらお前も住むとこ探せよ。 金くらい出してやるからよ」

「いいもーん、服なんてクリアケースに入れとけばいいし! ついでにあたしの鎌ちゃんもここに入れておこうっと」



その時ドアの外に気配を感じた。 カズハも感じとり仕舞おうとしていた鎌を自分の後ろに潜めた。 それで殺したら派手にいろいろ飛び散りそうだから勘弁しろよ…… つーかなんとなく想像ついてきた。



ドアがガチャリと開くと険しい顔をしたルノが居た。



「ハル、ドア越しから物凄い殺気を感じたんだけど?」

「え?」



もしやと思いカズハを見ると正にその通りでこちらも険しい顔をしてルノを睨んでいる。



「お兄ちゃん誰こいつ?」

「こいつ? 教育がなってないようね? おチビちゃん」

「この!」



ルノの言う事にカチンときたのかカズハは持っていたエモノの刃を出した。

「バカかよ!? こんなとこで火花散らすなよ! カズハ、こいつはルノだ、俺の古い知り合いでだから危害はない…… 多分」

「多分って何よ? 何事かと思ったわよ。 この子がハルに襲撃かけた子? なんでここに居るわけ?」

「お前もなんでここに来たわけ?」

「はぁ……」



ルノは部屋に入りテーブルに紙袋を置いた。 ゴトッと音がしたので見てみると銀の腕輪だった。



「これは?」

「呆れた、今日はハルの誕生日でしょ?」

「ああ…… そうだったか」

「祝ってあげる人私しかいないもんね」

「お兄ちゃん今日が誕生日だったの? 言ってくれればよかったのに」

「すっかり忘れてたよ」



腕輪を見ると裏に文字が彫ってあった。



”ルノからハルへ”



「今年も私達生きてたわね」

「お前も簡単にはくたばらなそうだしな」

「まったく。 そんな事しか言えないのかしら? まぁなんにせよおめでとう」

「ありがとな」

「むむむ…… あたしの前で2人だけの空間作らないの! あなた! 悪い虫ね!?」

「何を言ってるのかしら? 私とハルはあなたより大分付き合いが古いんだから。 ハル、その腕輪には超小型の通信装置が入ってるわ、何かあったら連絡していいのよ?」

「そりゃまた大層な」

「ぐぬぬぬ……」



俺とルノのそんなやり取りを見てカズハは頬を膨らませシエルを抱いていた。 



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