表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/63

ハル05


襲撃を待つ間にこのヤクザビルの周辺でも見回る事にした。 周りの建物からは少し離れた所にあるが下手をして銃撃戦にでもなったら流れ弾が周囲に及ぶかもしれないな、面倒事は全部ヤクザと海神兄弟に背負わせるし出来るだけこちらは銃器は避けた方がいいかもしれない。



相手の出方次第にもよるが。 次はビルの中だ、五階建てで下はロビーになっている。 正面から突っ込んでくるとは考えにくい、ヤクザの事務所は三階にあって二階は下っ端の待機室みたいなもんか。 山石は主に三階に居て四階は何やらヤクザのヤバい物置き場だった所か? 派手に暴れてくれて構わないとの事だったので片付けられている。 五階は特に手付かず……



俺とルノは五階から辺りを監視するか。 俺なら屋上から侵入して催涙弾を辺り一面にばら撒いてな感じで行くか?

まぁ標的がパニックルームなんて持っているとはな。



だとしたらこのビル丸ごと崩すか? 証拠隠滅が難しくなるが警察とマスコミが上手く誤魔化してくれる手筈だ。



「おかえりなさい、首尾はどう?」

「さぁな…… だがここから侵入する可能性は高いかもな」

「私もそう思うわ、けどそんな予想の付く所から攻め込むかしら?」

「だよな、あいつらの印象は好戦的だったからもしかすると正面ロビーからくるかもな」

「まぁ俺とお前が上と下をカバーすればいい、あとは役に立つか立たないかよくわからないがヤクザの下っ端が二階と三階をフォローしているだろうし来れば騒ぎになるだろう」

「シエルちゃんはどこに置いておくつもり?」



出来れば山石と一緒にパニックルームに入っていた方が戦闘に集中できるがヤクザと一緒に居させるのは気が引けなくもない。



「ねぇシエルちゃんって好きな人居る? あ、好きな猫だった」

「んにゃ?」



少し考えていてふとルノの話に耳を傾ければ猫と女子トークかよ…… メス同士には変わりないけどお前はシエルがここまで人間と会話が成り立っている事を不思議に思えよ。 まぁ順応してる俺が言えた事じゃないが。



”るのさんはすきなひといるの?”


「えー、私? 私はどうかなぁ。 居るには居るけど鈍チンでさぁ〜」


”るのさんびじんだいじょうぶ”


「あははッ、シエルちゃんお上手だねぇ」

「つーか猫に人間の美的感覚わかるのかよ? あんまりアテになんないんじゃないか?」

「言っとくけどシエルちゃんの美的センスは確かよ、私が美人じゃなかったら誰が美人なのかしら?」

「自分で言うなよ……」


”はるくんとるのさんはむかしからなかいいの?”


「昔からって言うより元居た知り合いは全員死んじゃって生き残ってるのは私とハルだけなのよねぇ。 可哀想だから仲良くしてあげてるの、ハルって無愛想だからさ」

「なんだよそれ? お前の施しなんて受ける覚えはねーぞ?」

「ほら、これだものね」


”はるくんひとみしり?”


「ふふッ、そう言われてますけどハル」

「ほっとけよ。 仲良くなったってこの業界じゃどんどん死んでくんだし意味ねぇよ」

「昔はそんなんじゃなかったのにハルったらすっかり陰気になっちゃったよねぇ、あ! それでシエルちゃんは気になるオスの猫とか居るの?」



くだらねぇ…… なんか緊張感ないなこの2人。 じゃなかった、ひとりと1匹。



そうして夜も更けていき俺は五階、ルノが一階ロビーで待機していた。 何事もなく終わるんじゃないかと思った時だった。



あいつは! 俺の住処を襲撃した奴ともうひとり…… 堂々と正面から来やがった、好戦的な奴とは思ってたがバカなのか!? もうひとりの方はロケットランチャーを持っている。 ルノなら気付いてるよな?



俺が五階の窓に掛けていたロープで一気にロビーまで下がろうとしていると重い音と共にグラッとビルが揺れた。 



やりやがったあいつら…… ルノがやられていたら速やかに俺が1人で奴らを始末しなければならない。



「シエル、そこで大人しくしてろよ!」



ロープを伝って下に降りるとロビーはまだ煙が立ち込めていた。 二階で待機していたヤクザも応戦しているようだが短期間のうちに大分やられている。



「足手まといよ、上で待機してなさい!」



ルノの声が聞こえた、無事だな。 だが足手まといを庇いながらじゃいくらなんでも不利だ、ていうか足手まといなんてほっとけよ、昔はあんな奴じゃなかったのに!



「綺麗なお姉さん大ピンチだねぇ」

「うッ!」

「ヒャッハーッ! 中絶キック炸裂!」



ゲスな声のおかげで丸わかりだ、煙が立ち込める中俺はルノに蹴りを入れた奴の背後に近付き後頭部に蹴りを叩き込んだ。 鋼鉄プレート入りの蹴りだ、ひとりダウンだ。



「ルノ平気か?」

「遅いわよハル、こいつらバカよ」

「そうみたいだな。 お前も要領の悪い戦い方してるな、だがバカでも依頼達成率は高い奴らだ」

「おや、今度はこちらが2対1ですかねぇ」

「観念すれば楽に殺してやるが?」

「確かに分が悪いですねぇ…… なんてね!」



その瞬間蹴りでダウンしていたと思った海神兄弟の片割れがルノに向かって銃弾を放った。



「ぐあああッ!」

「見え見えよ」

「こいつッ!」



ルノは海神兄弟の片割れより早く銃を抜き銃弾を銃弾で止め、銃を放った海神兄弟の片腕を貫いた。 この神業はルノの十八番だ。



ルノのハンドガンは特別製でルノ自身が作った改造銃、ルノ曰くアーデルハイト。 反動を極限にまで抑え正確性を向上させ弾丸は45口径をベースに貫通力を強化させた彼の国が試験運用中の特殊合金製の弾頭だ。 ルノの神業と相まって並の銃弾なら粉砕しこうなる。



「さっきの下品な蹴りのお礼よ、この弾高いんだからね」

「てめぇブチ殺す!!」

「ルノの銃弾と俺の蹴りを食らったのに頑丈な奴だな」

「やはり一筋縄では行きそうにありませんねぇ」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ