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 誤字報告ありがとうございます。

 誤字というより単純に日本語出来てないだけでしたね。反省してます。

 ルビーはお茶会が始まってしばらくすると大分落ち着いてきていた。

 言葉遣いはともかく噛まなくなってきた。緊張していると噛んじゃうのね。分かるわ。

 ドレスはゲームと同じでフリルの多い薄いピンク色。ゲームでは出てこなかったけれど、靴は華奢な白いヒールを履いているのがちらりと見えた。

 髪飾りとブレスレットは真珠。ネックレスは小さめのルビーだった。


 ああ、思い出した。

 このネックレス、ゲームでもしていたわ。伯爵がルビーの母親に贈ったものなのよね。

 ルビーの母親は伯爵家に仕えるメイドだったのに伯爵と恋に落ちる。子供ができるけれど結婚は出来ないと分かっているルビーの母は何も言わずに辞めるのよね。貰ったルビーのネックレスを握りしめて。

 そして生まれた子にもルビーと名付ける。

 このルビーが伯爵の子供の証となって、伯爵家に引き取られることになった。

 そんな生い立ちだったはず。


 観察しているルビーとばっちり目が合ってしまった。にっこりと笑ってごまかすと、赤くなってモジモジしてる。可愛いわね。

 こういう態度を見ると、私に悪意がある様には見えない。


 ゲームではエメラルドの態度がひどいこともあったけど、悲劇のヒロインらしく「どうしてこんなことに……」とさめざめと泣いていたり「私はなにもしていないのに…!」と嘆いだりしていたんだけど、このルビーにはそういったネガティブさは感じないわね。


 私がイジメてないからかしら。

 でもジャスパーと踊ったことで風当たりが強く、陰口やちょっとしたイジメはあるってマリアは言ってたのよね。

 私の友人たちもちょっと嫌味を言っていたみたいだし。

 考えながらお茶を飲んでいると、チラチラとルビーがこちらを見ていた。

 向こうからは話しかけにくいわよね。


「ルビーさん、今までの生活と色々異なって大変でしょう。お困りのことはございますか? 私、ルビーさんとはお友達になりたいと思っていますの」

「ぴゃい!? は、あ、ありがとうございます! え、エメラルド様とお友達……そんな、ありが、ありがとうございます!!」

 あら、目がキラキラしているわ。嬉しい…のかしら?

 隣に座っている男爵令嬢も「可愛らしいわね」と微笑んでいる。

 その後も何度か無難な話をすると照れたような笑顔やキラキラした目で見られ、やっぱりネガティブを感じないなぁと思っているうちにお茶会は終わりを告げた。


 ルビーがどういう人なのか確信が持てないまま終わってしまったわ。

 皆が次々とルビーに挨拶をしている中、ルビーは何か言いたげにこちらを見ていた。

 何かしら? 

 そう思っているとルビーの侍女からお話があるから残って欲しいと願い出てきた。

 何かしら。宣戦布告でもされるのかしら。

 迎えに来ていたマリアの目が据わったのは見なかったことにする。


 ルビーの侍女に案内されたのはお茶会の開かれた中庭よりさらに奥に進んだガゼボだった。

 青い屋根にピンクのバラが絡みついた白い柱、木製のベンチが置いてあってとても可愛らしい。マリアは不満げに見ていたけど、私はとても気に入ってしまった。伯爵、趣味いいわね。いえ、伯爵夫人の趣味かしら。

 伯爵夫人は三年前に南部で事故に遭って亡くなっているのよね。

 夫人の趣味の物を残していたとしたら少し切ないわね。


「お、お待たせしました」

 ベンチに座ってバラを眺めていると、ルビーがやってきた。私が立ち上がるとルビーは丁寧な礼をしてガゼボに入ってくる。婚約パーティーの時より動きが滑らかね。きっと練習したのね。


「何かお話があるようですけれど、一体何かしら」

「え、エメラルド様、先日は大変、し失礼いたしました!」

 あら?

「あの日は浮かれていて無礼な事やマナー違反をたくさんしてしまったので、しっかり謝りたいと思っていたんです。お手紙で謝ることも考えたんですけど、やっぱり直接謝りたいと思いました。申し訳ございません!」

 お茶会ではニコニコキラキラしていたのに、今はとても真摯に頭を下げられている。ちょっと驚いてしまった。

 それに……


「ルビーさんは特に無礼なことはされていらっしゃらないかと思いますわ」

 びくっとルビーは体を揺らしたけれど頭を下げたままだった。

「頭を……」

 上げて、と言おうとしたところで、ガゼボに近付いてくる人物に気が付いてしまった。てっきり人払いをしたのだと思ったけれど……ん!?


 あれ、マリウスだ……!!!!


 ななななんで? なんでこんなところに? いや、そうだゲームだとルビーはお茶会が終わった後、心配で様子を見に来たマリウスに励まされるんだ。ゲームでは誰もいなくなったお茶会会場でだったけれど。マリウスの行動はゲームと一緒だ。


 待って、この、状況……

 頭を下げ続けるルビー、その目の前に立っている私。

 私がイジメているように見えたり……する…?


 黙った私に気付いたルビーが目線を追って振り返った。


「マリウス!」

「こんにちは」

 マリウスはそう言ってガゼボの入口で完璧な礼をした。ああ格好いいいい。

「エメラルド様、私からもお詫び申し上げます。私は彼女に貴族について、マナーについて教えていました。至らなかったばかりにご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」

 ルビーの横に立って頭を下げた。


 ルビーの教育係は伯爵家にいる。マリウスは教えてない。ルビーがひとりで怒られないようにという優しさの嘘だ。

 優しいわねマリウス。


「ふたりとも、頭を上げてください。私、本当に何かされた覚えないわ。そうね、ルビーさんが可愛すぎるのは罪かしら。罰として、素敵な笑顔をくださらない?」

「えっ!?」

 笑って、と言うと、ルビーは頭を下げたまま困ったようにマリウスを見た。マリウスは優しい笑顔で頷く。

 それを見たルビーは頭を上げて姿勢を正し、とても嬉しそうに笑った。

 とても、可愛い笑顔だった。


「ルビーさん、私のお茶会には必ず来て、また笑顔を見せてちょうだい」

 私はそう言うのが精いっぱいだった。

 礼儀正しく、もうお暇する旨を告げてガゼボを出る。ふたりに見送られる。


「エメラルド様?」

 マリアが心配そうに声をかけてきたけれども、私は何も答えられなかった。


 アイコンタクトをしたふたり。

 笑いあうふたり。


 マリウスも、ルビーのことが好きなのね……


 ゲームではマリウスはあくまで友人で選択できないサブキャラだった。

 でも、


 この世界は違うのね。



 

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