アル(コールエル)フの自由すぎる言動は、あの毛むくじゃらの宇宙人と同じ
デネブが肩ひじはる話を語り、俺が耳を傾けるかたわらで、ソアラは「うあ~、ねっむーい」と片目をこすったり肩やひじをかいたりしていた。眠いとかゆくなるんだろうか。
早くベッドで横になりたーい、と繰り返しぼやいては大あくび。飲みすぎなんだよ。ていうかあんな量を飲むのは、亀有のあの警官かバカな大学生ぐらいだよ。後者なら普通に急性中毒で死んでる。
もの憂げなデネブの話しぶりをソアラはガン無視で、疲れただの眠いだの食べすぎたねだの明日みんな息くさいよだのと、泳ぎ続けないと死んでしまうマグロかよというほどしゃべりたおして、まあにぎやか。アル(コールエル)フの自由闊達にすぎる言動に、あの毛むくじゃらの宇宙人と同じだな、とへきえきした。誰だ、ふるまいのさじ加減をよく知ってるとかなんとか的外れに持ち上げた奴は。
空気読めないというより読む気がないソアラの快活なしゃべりっぷりは、デネブの癇をつつくつつく。こちらもまた、いらいらした様子が、ナイトビジョンも使ってないのにくっきり見てとれる。舌打ちしそうなおこ加減にはらはらさせられた。
「うん、それで、どうなったの?」
小学生女児並にフリーダムなソアラのコントロールはあきらめ、スキル【あいづち】を発動してデネブをうながすが、俺の貧弱なパーティー運営能力の甲斐あって、魔法少女の鬱憤はとどまることをしらない。
なんだこのむだな心労。こういうの、異世界での冒険にミリほども求めてないから。心砕くなら普通にモンスターや悪との戦いにしてくれ。
意図的でこそないにせよ間接的に横やりを入れてくるソアラに、デネブはいい気分じゃなさそうだった。第一使徒は第二使徒の女児モードに、スルースキル【大人の対応】を使用して話を進める。




