米軍のステルス機召喚 → 魔王の城を爆撃、圧勝 → USA!USA!
星明かりを頼りに、俺たち三人は夜道を連れだった。
もういいかげん慣れてはきたが、夜間の暗いこと暗いこと。日本だったら、うちの近所(なんか最寄駅は、付近の路線でマック最遠らしい不毛の地。なお両隣の駅は徒歩一分圏内にある模様。保谷ナメてんのかM社)でさえ、月明かりも気づかないのに。一応、この街の中心地付近だろ、ここ。この時間は完全にゴーストタウンだ。
こんな文明の未開な世界なら、レベルひとつ満足に上がらない俺より、米軍のステルス機でも召喚したほうがてっとり早いよな。魔王の城を爆撃して一瞬で片がつく。いやステルス性能もべつにいらないか。魔王がレーダーとか使ってこないし。
あー、でも飛竜的なやつで対抗してくるかな。火を吐いたり雷撃ってきたり。でもまあ、よく知らんけどたぶんマッハ10とか20とかの意味不明なスピードで飛べるんだろうし、音速についてこられるモンスターなんかいないだろ。ヤ◯チャ視点。余裕で瞬殺。米軍の圧勝。USA!USA!
そう考えたら魔王も大したことねーな。ザコだよザコ。ゴミ。
あえてひとつだけ問題点を挙げるとすれば、この世界にいるのが米軍じゃなくて、本当にどうしようもないザコでゴミで童貞の俺だというところだが。
この絶望的状況をどうにかしなければと、宿屋までの道すがら、店での続きをデネブに聞いた。
異世界の、古風で真っ暗な街並にみごとに溶け込んでいない魔法少女は、来るときと同じように、遠い地に思いをはせる目で夜空を見上げる。




