戦士系、最高位のクラス・聖騎士《クルセイダー》
さらに飯は、カゴ◯の野◯生活100(赤)みたいな茜色かつ、なぜか二分の一ぐらいメンマが入った怪スープで、辛い辛くないの次元を超越した禍々しい色あいだ。コ◯イチでいえば8辛クラス。常人ならひとくちで逝去確実、蘇生不可。教会へかつぎ込まれ、聖職者にあるまじき不正な高額寄付を教皇に強制されておとなしく支払うも、カプサイシンに味覚をカプリコられて再生できず輪廻転生し、「これも生きものの性か」などとわけのわからないことを言われて返金請求も受けつけてもらえない、そんな末路が目に浮かぶ凄惨な絵づら。
客を殺しにかかってるとしか思えない料理を、うちの妖精は端正な面だちで精彩を放ってもりもり食っている。なんだその謎の激辛耐性。
でたらめな飲み食いを顔色ひとつ変えず「これくさいね、おいしいけど」とのソアラの小学生並の感想に、俺は、店に入るときにしていた話を思い出しデネブへ尋ねる。
「で、なんだっけ。クセイダー? クセー騎士に守られているとかの街。さっきおまえが言ってた」
「クルセイダー! 聖騎士ですっ」
スパイスで汗だくの顔を、HSVでいえば360度、100%、100%ぐらいに紅潮させて抗議する。
玉の汗を浮かべたその右に『うあァン、私はまるで人間火力発電所だわ』とのモノローグを勝手に入れて遊ぶ俺とは対照的に、デネブは少し顔を曇らせた。ちょいシリアスな感じだ。シリアスって尻とASSで下品すぎるパワーワードだよな、とかのざれごとは自重したほうがいいタイプのやつかな、もしかして。
デネブは、スパイシーサラダを意味もなくフォークの先でかき混ぜ、ぽつりぽつりと語りはじめた。
「【クルセイダー】は、力と正義と名誉を重んじる、戦士系のなかで最高位のクラスでした」
「でした?」過去形?「てことは……」
「はい、今はもう壊滅しています。彼らの仕えた王とその居城、そして王都【リオ】とともに」
《現在、セルバンテスの賞への応募をかねて続きのパートを更新中。うちの猫も「楽しみだにゃー」と言ってくれているので、皆さんもぜひ見にきてくださいねー》




