見えないデネブより見えるソアラ
新メンバーにソアラを加えて、俺たちのパーティーは次の街【ジェミナイ】を目指した。
トーラスの街を境に、道は森林の奥へ吸い込まれていた。地形が変化してぽつぽつと動物タイプを中心としたモンスターが出現しはじめる。敵のレベルは上がってきたが、デネブとソアラの戦いぶりはものともしなかった。
特に細身の剣【レイピア/攻撃力:十】によるソアラの攻撃には目を見張った。
無駄に攻撃力だけは高いデネブの杖に比べて数値的には劣るにも関わらず、ダメージはソアラのほうが上だった。レベル差だけでなく、この森林というエリアで地形効果を得ているんだろう。エルフは森の住人だ。ソアラは活き活きと蝶のように舞い蜂のようにレイピアで串刺しにする。
身軽に動くたびに、その細い体で支えるのが心配にさえなる二つのメロンがゆっさゆっさゆれる。見ごたえ抜群だ。
高く跳ねると、明らかに見せるために短くなっているとしか思えない裾がはためき、パンツが見える見える。色はワンピースに合わせた薄い緑だった。
俺のなかでソアラは完全にお色気担当と化していた。見えないデネブより見えるソアラだ。おっぱいも大きいし。
そんな調子でソアラのパンツを目で追うのに忙しかった俺は、真正面から突進するイノシシ型モンスターにまったく気づかなかった。
「ぐへっ!」
体当たりをもろに食らって吹っ飛ぶ。四回転ぐらいして木に激突した。
うぎゃああーっ、とのたうち回って、デネブに回復魔法を頼んだが「知りませんっ。自分で薬草でも飲んでください」とむげに断られた。俺がなにをしたというんだ。
代わりに戦闘後、ソアラが癒やしてくれた。
戦えて回復魔法も使えて巨乳でパンチラ要員で非の打ちどころがないな。どこかのコスプレ女と違ってわけもなくむすっとしないし。あいつはたぶんあの日なんだろう。
「アルくん、あまりパンツや胸ばかり見てると、デネブちゃんに嫌われるよ」
魔法をかけながらソアラが笑った。俺の顔が瞬間的に真っ赤に染まる。こっそり見てたつもりがモロバレだった……。
恥ずかしくて、入るための穴を今すぐ掘りたかった。
「気づいていないと思っていらしたんですか。女性はそういう視線はすぐわかるんです」
デネブが冷ややかな目で追い打ちをかける。次の街に着いたら、穴があったら入りたいとき用のスコップを買おう。
ふたりの活躍のおかげで俺たちは危なげなく森を抜けることができた。
俺はおこぼれにあずかり、遅々として進まないレベル上げに専念した。三番目の街も近いというのに、勇者がいまだレベル一というのはそろそろ本気でまずい。戦力的にもだが、肩身の狭さ的にも。
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