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さぃょゎゅぅしゃ  作者: みさわみかさ
【朗報】勇者の使徒・デネブが文字どおりのエンジェル
59/148

作監が 2桁達して 総集編 万策尽きて ツイに炎上 (東京都・HSさん/20歳・童貞)

 何度も礼を重ねておばあさんの家をあとにした俺は、すげえいい人だったな、と狭い路地を歩きながらふと思い出す。

 そういや名前を変更するの、すっかり忘れてた。さっさと変えないと衛兵にしょっぴかれちまう。

 壁に挟まれた小道を抜け通りに出た俺たちは、酒場へとって返しに向かった。


 夕方前の街は、小さいながらも賑わいをみせていた。中心地に進むにつれて人通りと物売りが増えていく。

 そこここで、あの店は槍とダガーの品ぞろえがいいだの、南の沼地ルートでよく盗賊が出没するだの、今日はヴァーゴ原産の魔石がお買い得だの聞こえてくる。

 会話の内容も、人々の異国情緒たっぷりの服装、ファンタジックな武器防具の携行品も、背の低い石造りの街並も、俺のやってきた世界とは大きく異なる。まさに外国、異世界の景観。


 にもかかわらず、飛び交っている言葉は二十年間、耳になじんだ日本語なのだから調子が狂う。まるっきりちぐはぐ。

 なんだか、作画監督が何人もいる(=現場がいろいろヤバいことになってる)アニメを見ているような、落ち着かない気分だ。


 雑踏の一般人や冒険者を縫いながら、俺はデネブに、勇者がこんなみっともなくて幻滅したろ、と自嘲気味に笑った。

 魔女っ子の首の動きはロングの黒髪を横にゆらせ、肩の後ろをなでる。 


「ちゃんと謝るのは勇気のいることだと思います。アルタイル様は勇者してました」


 俺は、デネブ、と一番目の使徒の名を呼び、そのまっすぐな目を見た。


「レベルは上げられます。いっしょに戦って強くなりましょう!」


 デネブは、二対の白い手袋をぐっと握って励ました。

 おうっ、とひとこと応じて俺は先を歩いた。


 もうこれ以上、年下の子に、ぐしゃぐしゃの顔は見られたくなかったから。

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