魔女っ子でもないのにパイの配達を請けた俺は、もっと宅◯便にふさわしいマジョ子さんと出会う。最初の仲間となる予感を胸に一応パンツの色を尋ねて殴
「大気をたゆたい地に潜む生命の精霊よ、傷つき疲弊せし者を癒せ。マーキュリー!」
それは、覚えのある心地よさと名前の魔法だった。
今にも意識を喪失し、そのまま目が覚めることなく朽ち果てようとしていた体に、力がよみがえってくる。
まさか、あの白いパンツのお姉さんがまた助けに来てくれたのか……?
目を開けると女の人、いや、女の子が、かたわらに座り顔を覗き込んでいた。
あの人じゃあない……?
大丈夫ですか、と尋ねるその子に念のため、何色のパンツを履いてるか聞いてみた。
バシッ、という乾いた音とともに俺の頬に痛みが走る。続けざまに「変態!」との罵声を浴びた。
女の子の持ちあわせの水と食料を全部たいらげてようやく生き返った俺は、先導されてエリースに向かった。
その子は魔導アイテムの地図を持っていて、遠慮なく道を外れまっすぐ進むことができた。まるで地図アプリだな。
彼女のステータスを見てみる。
【デネブ/クラス:魔道士/レベル:八】
デネブという名前らしい。歳は俺より二コ下だったが、レベルは結構高いな。
クラスは魔道士――なのだが。どうにも妙ちくりんな格好をしていた。
頭と胸もとの大きなリボン、短い袖がふくらんだ上着、無駄に裾の広がったふりふりの短いスカート、長い手袋、羽のような装飾の靴。極めつけは先端がハート型の、おもちゃのような杖。
魔道士っつーか、これ――魔法少女、だよな?
上から下まで白とピンクを基調としたその風体にもやっとさせられる。この世界のどこでこんなコスプレ衣装、もとい装備を手に入れたんだろう。
服装が妙なのはともかく、肩にかかる黒髪ストレートロングでまん丸の目がくりくりとよく動くかわいい子だ。
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