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さぃょゎゅぅしゃ  作者: みさわみかさ
マジ(で危機)の宅◯便
52/148

旅だって三日で野たれ死にのかっこわりー勇者

 俺は今、どこにいるんだろう。

 ふらつく足で一歩一歩、歩みを進めながら、ぼうっと遠くを見やる。

 歩いても歩いても見えるのは草ばかり。ときどき木がぽつんと生えているぐらいで、少しも進んでいる気がしなかった。


 なにがきついって、空腹よりも喉の渇きだ。

 たしか飯よりも水のほうが断たれるとすぐやばくなるはず。三日ぐらいで死ぬみたいな話を見た気が。それ、もう今日じゃん。


 体だけでなく心情的にも最低だった。

 信用されて報酬を前渡ししてもらったのに、クエストを達成できないばかりか依頼品まで食っちまって。もうあの酒場には行けないな。いや、どこかの街までたどり着けるのか、俺…………。


 不意に、世界が回った。


 体がなにかにぶつかる。

 目の前の土の匂いを嗅いで、ああ、ぶっ倒れてんだ俺、と気づいた。頭がぐるぐるする。

 とても立つ気力が湧かない。というか体が動かない。目を開けているのもだるかった。

 やべ…………これ、死ぬやつだ。


 旅だって三日で野たれ死にか……。はは、かっこわりー勇者……。つか、こっち来て勇者らしいところなんてなんにもなかったな……。クソ弱くて、仲間見捨てて、逃げまどって……。某大冒険の初期のポッ◯かよ……。いや、あっちのほうは呪文は普通に強かったが、俺は勇者のくせに完全にステータスが死んでる……。ゴミもいいとこだ……。もう、いっそすがすがしいほどのザコだね、ザコ……。これも俺にお似あいのくたばりかただよ……はは……ははは…………。


 なんだよ……もう半死半生の俺に構うなよ……誰だか知らねえけど…………。


 脇に立つ人影の幻覚へ、俺はそうぼそりつぶやくように口を動かした。

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