ピコーン! そうだ、イケメンを武器に女をたらし込めばテンプレハーレム展開も夢では
さって、この先どうすっかな。
俺に唯一、与えられたのはこの容姿。ジャで始まるあのアイドル事務所も鬼オファー不可避クラスの美形。こいつを駆使する以外、生きのびる手だてはない。
そうだ、このイケメンを武器に女をたらし込めば? 金を貢がせて、強そうな奴はパーティーに加えて、昼間はモンスターを狩り、夜はイチャコラというテンプレハーレム展開も夢では――
『キャー、アルタイル様ー。今夜は私をおそばに~!』
『なによっ。あなた、おとといの晩もアルタイル様の寵愛を受けたくせに!』
『あーら、アルタイル様からお呼びをいただいたけない嫉妬かしら。見苦しいわよ』
『なんですってえ、キーッ』
『アルタイル殿、その……今宵は私を……。もう半月ご無沙汰では、体がうずいてならんのだ……』
『フフフ。英雄色を好むを体現する勇者の精、おまえたち人間では搾りつくせまい。勇者よ、淫魔の吸精は怖いか……フフフフ……』
『もぉーっ、アルお兄ちゃんの腕枕はあたしだけのものだよぉー』
『アルタイル様~』『アルタイル様ぁ~ん』『アルタイル殿』『勇者よ』『お兄ちゃ~ん』
『ハッハッハ。しょうがない、たまには全員まとめてめんどうみてやるのもまた一興。さあ、おいで、勇者の使徒の乙女たち』
『キャア~っ!』
――うん、ムリだな。冷静に考えたら俺、コミュ障だった。
特に対女。まともに会話できる女、お袋と妹だけだ。ええ、彼女いない歴=年齢ですがなにか?
いや、でも。
よく考えたら俺、いろんなお姉さんたちとわりとお話できてるよな、こっち来てから。やっぱいろんな意味でひと皮むけてきてね? 下半身の皮もむけ――あ、流れ星。この世界で童貞を卒業できますように、この世界で童貞を卒業できますように、こ(以下略)
流れ星への願いは、トランスだかトラックだかいう名前の街へたどり着けることにすべきだったと、のちに俺は後悔する。
 




