表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さぃょゎゅぅしゃ  作者: みさわみかさ
異世界酒場で馬鹿さ活かせい
36/148

酒!飲まずにはいられないッ! → その結果

 酒だ。酒の力を借りれば俺だってなんとか。ここを突破しないとなにも始まらないんだ。


 初老のバーテンは俺を値踏みするように見たのち、慣れた手つきで一本のボトルを開けた。

 ちっちゃなグラスへ静かに注ぎ込む。なにか芸術でも演じているかのような洗練された所作。酒が生き物のように動いて見えた。

 老紳士は俺の前にグラスをすべらせ、低くて渋い声で、六百イェン、とだけ言った。

 銅貨を支払い、琥珀色の液体を口に含む。

 口内に濃厚な風味と熱が広がり、飲み込んだ喉が焼けつく。こんな度数の高いのは初めてだ。強すぎて、うまいのかどうかもわからない。

 俺は無理をして、異世界で最初の酒をあおった。


 家族によると、俺は飲むと人が変わるらしい。

 その自覚はあまりないんだが、ともかく酒が入った俺は、大勢の見知らぬ冒険者の前で一席ぶっていた。


「俺がやってきたのは田舎田舎とコケにされた東京都、千三百万人の都市だ。えぇ? そうか、世界じゅう集めてもそんなにいないってか。過疎りすぎだろこの世界。

 よぉし、いいだろう、その程度のこぢんまりとした世界のひとつやふたつ、この勇者・アルタイル・ソーラー・バースデー様がちょいちょいっと救ってやろうじゃねえか。

 今日も何百という犬っころを焼き払い、レベル八十のゴブリンどもを瞬殺し、フォレスト……なんだっけ、あの緑色のやつ……そう、フォレストガンプを、聖剣ラグ……ラグナロク?でぶった斬ってきたところよ。ちげーよ、嘘じゃねーし! マジ一撃だったし。こ、これはセールで買った銅の剣だよ、触んなっ。おめーらなんかにラグさん見せられっか。あれ、たけーんだぞ。百万したからな百万。――え? 百万じゃ安いの? あ、じゃあ一千万、いや一億、一兆」


 やんややんやの喝采と思われる大笑いを浴びて、俺は上機嫌だった。これほど人前で話すのが楽しいなんて。しまいにはいくつものパーティーと酒を酌み交わすまで打ち解けていた。こっちに来て早くもひと皮むけたかもしれない。まだ一日目だぞ。異世界ヤベえな。うは、うはははははははは――

【青春SF】こんなふざけたやつじゃなくてもっとまじめで素朴なSFを読みたい人は

 ↓

『僕と許嫁かのじょの宇宙生活』

https://ncode.syosetu.com/n4250fc/



【シリアス・コメディー】もっと狂気成分のある、シリアスなのかコメディーなのかなんだかわからないデスゲームを読みたい人は

 ↓

『プリムズゲーム -弧独な数と数学の女王-』

https://ncode.syosetu.com/n8945fv/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ