ほぼほぼオークのおっさん(ボス)がわりと普通にめちゃ強そうな件
「かわいい手下どもをかわいがってくれた礼はきっちりしてもらうぜ」
言いながらかわいい手下の八戒を邪魔そうに蹴り上げどかせる。ぐぇっとうめき声があがって、あ、死んでないんだ、とちょっと安心した。いや八戒の心配じゃなくて、ソアラが殺人を犯したことになってなくて。(一応ギリ、曲がりなりにも人だし。ギリ)
カニかまぐらい本物のオークに近い風貌のボスは、ソアラを頭のてっぺんからつま先まで、なめるように、品定めするようにねっとりとながめる。
「へっへっへ、なかなかの上玉じゃあねえか。だいじな超高級『商品』だ。傷がつかないように丁重にあつかってやるぜ。かなりグラマーなボインだ、特にいい値がつくぞこりゃあ」
グラマーて。ボインて。昭和か。
オークキングは、にちゃあ、といびつな笑みを浮かべる。ソアラはめずらしく、心底気色悪そうに顔をゆがめた。
にしてもオーキン、えらい自信だな。ソアラの私TUEEEEぶりを見せつけられて動じないなんて。さっきも八戒を蹴り飛ばしたし。わが家のホモ同人作家といい勝負のあの体躯をってそうとうだろ。どんだけ力強えんだ。
いったいレベルいくつだよ、と今さらチェックして俺はぎょっとする。
【レベル:十八】
マジかよ。見間違いかと目をこすった。
デネブの十はもちろん、ソアラの十二よりも大きく上まわっている。どうりでこんだけ道いっぱいの人だかりができる騒ぎにもかかわらず、全然、衛兵が来ないわけだ。
さっき俺を追いまわしたとっつぁんふたり組は両方とも八だった。普通はそれでもじゅうぶん対処可能なんだろう。こいつらを除けば。やべえのに目をつけられてしまった。
まともにやりあっても勝ち目はない。ソアラも気づいてないのかまだ差し向かっている。まずい。
「ソアラっ。そいつ、レベルが――」




