表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さぃょゎゅぅしゃ  作者: みさわみかさ
富士の樹海は不自由かい?
12/148

ある日、森のなか、ドラゴンさんに出会った、腕出てくる森の奥、ドラゴンさん(高レベル)に炎のブレス攻撃を受けた

 ゆうに電車一両ぐらいはあるだろうか。その巨大な体躯は、森によく溶け込む地味な深緑だった。見るからに硬質な表皮。

 

 【フォレストドラゴン/レベル:六十四】


 いやいやいやいや、おかしくね?

 てかおかしくね?

 ドラゴンて。六十四て。

 ここどこだよ。終盤のラスボスの拠点付近かよ。おかしいだ――やっべ、ドラゴンが口を開いた!

 ブレス攻撃だ。俺はとっさに木の陰に飛び込んだ。入れ違いで、赤い炎が火炎放射器よろしく木の間を縫う。人間の背丈ほどあるそれが、ゴオオオオと滝のような音をたててまっすぐに伸びた。熱風に俺は、あちゃちゃちゃちゃっ、とわめきながらもんどり打った。

 木から飛び出た俺にドラゴンの顔が向く。この世のものとは思えない、無骨で破滅的な形相。タマがヒュンと縮みあがる。俺は光の速さで手近の木に逃げ隠れた。


「あ、あの。ここで火はやめたほうがいいですよ? 火事になったらヤバ……ひいいっ」


 俺の説得に耳を貸す気がないのか、そもそも普通に人語を解さないだけか、俺の隠れている木に第二波が放たれた。

 炎は木に分断されてY字型に広がる。あづあづあづあづっ。左右両側から熱されてオーブントースターの食パンの気分だ。とっとと逃げないと真っ黒こげのトーストだ。


 俺は火炎のブレスのあいまを見計らい、木から木へと移動しつつ距離をあける。幸いドラゴンの動きは鈍重そうだった。ブレスの射程範囲外に出てしまえばこっちのもんだ。


 前後を確認しつつ後退しているときだった。俺はまたしても転んでしまった。なにかに引っかけた感じじゃない。もっと明確に、足をつかまれるような――実際に、つかまれていた。地面から生えた土気色の手に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ