最弱勇者語録「バカの、バカによる、バカのための異世界」
「だいたい勇者様は卑屈すぎるんです」
不満の矛先がソアラに向いたかと油断していたら再びロックオンされる。
「勇者らしくどっしりと構えるべきです。全パラメーターが一ということは伸びしろがあるといえますし、私たちのレベル上げに優先して勇者様のお力になれることは身にあまる喜びですし、色ごとに人一倍の関心を持たれるのも英雄色を好むと申しますし、ときおりならばナイーブな一面をかいま見えても母性本能をくすぐられるというものですし、卑下される必要などありません」
うん、ほめるふりしてけなしてるよね、それ。
デネブは、しゃきっとしろだの志を高く持てだの背筋を伸ばせだのきびきび歩けだのすぐに弱音を吐くなだの朝起こされなくても自分で起きろだの歯を磨けだの宿題しろだのいつまでもテレビ見てないで早く寝なさいだの口うるさい。オカンかよ。
まあちなみに、うちのお袋はネグレクト級の放任で、家事こそこなすがあとはネトゲ三昧のダメ親、ダメ主婦だったけどな。ダメ親といえば親父もギャンブルにうつつを抜かすろくでなしだし、俺がカスな小物になるのも無理はない。
異世界ってとこは、そういうクソザコ馬鹿野郎が、チート能力でバカみたいに強くなってバカバカしいほどバカスカ勝ちまくり、バカンス気分で女ばかりのハーレムを満喫できるという、バカの救済措置じゃないのか。日本でのザコかったままじゃねえか。
一応、ハーレム展開にはなりつつあって、期待に胸とか別のところとかいろいろふくらませてるけど、こっちのほうもなあ。




