表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さぃょゎゅぅしゃ  作者: みさわみかさ
【吉報】勇者の第2使徒・ソアラはマジ天使というか妖精
105/148

我々は今日、この日を人類の独立記念日とする!

 あの迷い猫は、無事逃げられたのかな、と最後にデネブはぽつりとこぼした。


 栄華を誇った王都は、そうして無残なかたちで歴史の幕を閉じ、見る影もない廃墟は魔物たちの住処となったのだという。

 あまりに重くて聞いてていたたまれなかった。俺もデネブも少しの間、黙り込んだ。


 さっきまで子供みたいにひとりでぺらぺらとよくしゃべっていたソアラは、いつの間にやらおとなしくなっていた。

 歩きながら器用に船をこいでいる。本当に眠くなったらしい。だから女児かよ。

 おーい、寝るなー。ぺちぺち頬を叩いたがあまり聞こえてないっぽい。


「そういえば、なんで神の野郎は、街が滅ぼされることになるような啓示を長女と次女にしたんだ? それがなければ魔王に攻め落とされることもなかったのに」

「おそらく王女の虚言です」


 虚言?とオウム返しの俺にデネブはこくとうなずく。


「なんらかの理由で王都を、そして王家をつぶしたかったのかもしれない、と噂されています」

「なんでまた? 謀略をめぐらせてライバルの妹たちを排除してきた姉のふたりが、王の最大の財産、リオの街や国そのものを壊滅させるんだ」

「わかりません。人々の間では、長女たちは魔王の策略に乗せられてしまったとの見かたが有力のようです」


 リオは、魔王にしてみれば近場にありながら攻略できずにいた目の上のこぶ。ゴリラ・レンガ姉妹はその拠点を落とす際の最大の功労者ってわけだ。魔王の城かどっかで特別待遇を受けていたら胸くそだな。

 結局、魔王討伐のとっかかりが見つかるわけでもなく、なんとも言いがたい気分に陥っただけの気がする。


 あー、やっぱ米軍でもこねーかなー。あの三角形のステルスのやつが飛来して、魔王の城のほうにわけわかんないスピードで向かってくの。そしたらもう俺、ハイテンションでUSA!USA!て叫ぶね。手にマシンガンあったら、空に向けてバカみたいに撃ちまくって雄叫びあげて。で、山の向こうのほうでとりあえずなんかきのこ雲があがるの。魔王、城ごと爆死。米軍の司令官的なおっさんが壇上で「我々は今日、この日を人類の独立記念日とするッ!」とかなんとか勝手に異世界代表して宣言。ビシッと敬礼して、勢いだけで全部乗りきる。USA!USA!

 あー、こねーかなー、米軍。自衛隊でもいいや。


 ……だからこんな愚にもつかないことばっかぼやいてる奴に勇者の使命なんて荷が重すぎんだろって――くそっ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ