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新編 レクイエム・オブ・ギアーズ  作者: 舞原涼、へーがたくちくかん
第二章 Spreading and Spreading
17/30

一人だけの戦場で

やっぱりフィリピンは暑い。せめてもの救いはタピオカジュースが安いこと。おいしいです。

日本から持って行ったプリッツくんがいなくなりそうです。

あと焼きそば弁当もいなくなりそう。

べっこう飴がいなくなりました。かなすぃ。うむ、あと二週間か。果たして生き残れるのだろうか。


君は、生き残ることができるか。


しらん。

多分生きて帰ります。大丈夫、大丈夫です。

何事も、粘り強く、よ(By Zara)。

張り切って、まいりましょー!

次の日の朝、俺は早めに起きて出撃準備を始めた。今回はだいぶ長期間の出撃になるはずだ。

腰部の武装ラックを使うとは正直思っていなかったが、こういう状況なら仕方がないな。


とはいえ。結局今朝はジュリアの姿を見ることはできなかったし(部屋にはいってみたが完全にシャットアウトされていた)、大丈夫なんだろうか。

まあ、心配したって始まらない。俺は彼らに連絡を入れた。

「さて、ここからは別行動だ。武運を祈る」

「了解」

大体機械相手に武運もくそもないが、そこはまあ、定型文みたいなものだ。

俺たちは各々の部屋の壁を開け、出撃していった。

ちなみに補足だが、俺たちの部屋の壁は外につながっており、そしてそのまま出撃できる仕様になっている。


俺はスラスターを吹かし九州へ。

ヴァイアランとディーヴァはヨーロッパ、そしてカストルとポルックスはアメリカへと飛び立った。


さて、と。

始めるか。


ちなみにその頃の彼女はと言えば、赤面し布団の中で悶えていた。

実に平和な限りである。




どうでもいいことはさておき(彼女からすればどうでもよくないかもしれないが)、ハデスは救援の知らせを聞き、心が少し軽くなるのと同時、心配になった。

果たして彼らは大丈夫なのか? と。

もちろん彼らが誰かを言うまでもない。

確かに残弾はだいぶ減っては来ているが、そこまで問題になることはなさそうだ。

事実、ここにはたくさんの「残弾」が転がっているのだから。

パーソナリティを展開してからだいぶ数も減り、事態は好転しているといってもいいだろう。

ひやりとしたが問題はなさそうだ。


「さて、始めるとするか」

俺はヴァルゴの迷彩を解除し、残弾――サジタリウスとアクエリアスを解放した。

スラスターを吹かし、肉薄。

ランスを突き刺し、ナノマシンを放出する。

内部崩壊を起こし、破壊する。

カプリコーネにさしたる価値はない。正直囮にもならない。

自分でも思うが、完全な失敗作だろう。まあ、本心としては失敗作で十分だったんだがな。

機械とともに戦場を舞う。

そして自分が浴びるのはただの金属片だ。

これが、俺の望んだ戦場だったんだろうか?

いやまあ、考えても答えは出ないだろう。せめてこういう時以外にしてほしいものだと思う。

まあいい。

俺は次の敵を求め、スラスターを吹かした。




その頃九州戦線では。

「はあっ!」

念のため武装を満載していた甲斐はあった。とはいえ、ダガーはもうだいぶ使ってしまった。

仕方がないことだが、燃費はよくしていきたいところだ。ハデスのように回収できるわけでもなく、さらに言えばイヴァルヴのほうが制約がきつい。パーソナリティを発動するためにはナノマシンの濃度が一定以上必要だ。

正確に言うと、純度百パーセントだ。

濃縮還元では、ない。

いやまあこんな冗談を言っている余裕なんてないんだけどな。

「ふっ!」

一太刀で切り伏せ、ハンドガンを乱射し、機能を停止させる。

とはいえ、やっぱり数が多いな。システムが対多数兵装を作り上げるのが先か、それとも俺が撤退するのが先か。それだけが問題だ。

俺はとりあえず目の前に来たカプリコーネを切り捨て、そしてスラスターを吹かした。

ていうかフィリピンに着いてから自分のテンションが絶対におかしい気がする。

そう思いませんか?

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