日本急襲
私は、東北地方に到来したパンドラ――《ヴァルゴ》をパーソナリティで破壊した後に気づいた。
「九州に感――! 間に合わないわね」
ま、手は打ってある。
「パーソナリティ、展開」
「personality open gear[castor] [pollux] force open」
二機のギア、《カストル》と《ポルックス》――ふたご座のパーソナリティを持つ機体を強制起動。
四国から飛び立たせる。
あいつの思うようにはさせない。
アヴァランチに連絡を入れる。
「アヴァランチ、こちらマスター」
――オーストラリアで、アヴァランチは戦っていた。
もちろん、日本がどうなっているかは知らなかったが。
ロングソードを振るい、飛び交う銃弾を切り裂く。
と、そこに
「アヴァランチ、こちらマスター」
「――ジュリア!」
彼女から連絡が入った。なんか緊急事態でも起きてるのか?
「九州にパンドラが現れたわ。《カストル》と《ポルックス》は展開したけど、間に合わないかも。急いで向かって!」
「ここはどうするんだ?」
「――《ハデス》に任せるわ」
本人曰く、まだ残弾はあるとか言ってた。ならまあ何とかなるか。
「了解。――ヴァイアラン、ディーヴァ、帰投するぞ!」
「「了解」」
俺は彼女との通信を切り、義父さんとの通信を入れた。
「義父さん。俺たちはこれから日本に向かう。パンドラが来た」
「――そうか。武運を祈る。俺はここで奴らを少しでも食い止める」
話しぶりからすると残弾はきちんとあるらしいな。
俺は義父さんにここを任せ、オーストラリアの空へと加速していった。
「――第一フェイズ、終了ね」
日本への急襲を成功させる。これがそれだ。まあ、《カストル》、《ポルックス》とかいうギアは特に脅威ではないだろう。
恐らくは、九州は落ちる。ま、当然だけどね。
さて、ここからは――
オリジンは、ユーラシア連合の政府のコンピュータに侵入し、次のような文章を送り付けた。
――日本には、完成された「不死の技術」が存在する。
と。
これを信じるかどうかなんて、考えるまでもない。
だって、彼らには信じる以外の道はないんだから。
「さあ、どう来るのかしら?」
今日本に向かっているであろう、《アヴァランチ》に対してそう問いかける。
もちろん、通信は入れていないが。
ここからが、この物語の本編だ。
機械同士の戦いが広がり、それは人間をも巻き込んでいく。
その先にあるものは、一体何なのか。
それは、この計画を立てたはずのオリジンですらわからない。