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Reversal!貞操逆転世界の男子学生  作者: 鷺城
逆転世界の日々 Ⅰ
1/16

Re:01 逆転世界のはじまり

以前執筆していた作品を加筆、修正したものです。長い目で生暖かい視線で見守って頂ければ幸いです。




世界がおかしなことになっている。


それに気づいたのは朝食時のこと、BGM代わりに点けていたテレビから聞こえて来たニュースがきっかけだった。



「昨夜、一人暮らしの男性宅に侵入、暴行を加えようとしたとして三十代の女が、住居不法侵入及び紳士暴行未遂容疑で逮捕されました。女は住居不定、無職の―――」


「今話題の男性アイドルグループ赤褌48、なんと今年の夏にドーム公演が決定しました。この件についてグループリーダーの岩崎巌さんは以下のように―――」


「賛成多数により、ついに我が国において初の男性の総理大臣が誕生することとなりました。総理は20××年に初当選、その後は地元活性化にご尽力され―――」



チャンネルを変え、どの番組を見ても違和感しか無い。


本来男が担っていた役割を女性が担い、なんだか番組出演者の比率も女性が多い。


朝食のパンを咥えながらポストから新聞を抜き出し、バッと開いて確認すると眩暈がしそうな文字が並ぶ。


男性活躍活性化社会、男性保護法案、一夫多妻制度、…etc


なんのジョークかとも思ったが、どうやら今、俺がいる世界は本格的におかしい状態らしい。


男性が養われ、女性が生活を支える屋台骨、そんなアベコベな世界になってしまっていた。







俺の名前は新山 良、17歳、身長170㎝、体重64㎏の中肉中背、容姿は普通、偏差値は平均値、どこにでもいるごく普通の男子高校生だ。


否、ごく普通の男子高校生、だった。


どうやらこの世界においては俺のような男子高校生というのは、希少な存在であるらしい。


俺のような、というよりも男子高校生、通称DKは全国的にも人数が少ない、非常に希少であるとのことらしい。


DKってなんだよ、ドン○ーコ○グかよ。


昨日までと同じように通学バスに乗り込んだのだが、今までの世界とは違うと思わされる事があった。


朝の通学の時間は、社会人の方々の通勤時間とも重なる故、車内は非常に混みあうのは皆さまでもご想像に容易いだろう。


今朝も普段どおり、いやもしかしたら普段以上に混んでいたバス車内、しかしその光景は俺の予想したものとは明らかに異なるものだった。


男が、いない。


辺りを見回しても、車内から外を覗き見ても、そこには女、女、女、である。


気だるそうに新聞を読むおっさんはおばさんに、やかましい音楽をイヤホンから漏れ流す女子は男子に、エロ話で盛り上がる男子中学生は女子中学生へと変わっている。


車内に漂う香りは鼻孔擽る雌特有の物で、そして全方位から感じるのは舐めまわされているかのような視線、時折臀部触れる感触は偶然であると思いたい。


こんなエロ漫画のような状況の中で感じたのは、悦びでは無い、恐怖である。


獣の檻の中に突如として放り込まれたような、無数の狂気の眼に常時睨みつけられているような感覚に冷や汗は止まらず、生きた心地がしない。


結局は無事(?)に学園前の停車場へと到着出来たものの、二度と通学でバスは使うまいと心に決めたのであった。



「肉食系女子って言うにしても程度ってもんがあるだろうよ…。俺はインパラじゃねぇぞ。」



ありゃ肉食系っていうより狩猟系って感じの眼光だった、うん。


雌ライオンそのものって感じだったわ。



「っつーか、ほんとうに女子だらけだな…。」



道行く生徒、学園の門を通る全てが女子生徒、え、なに、まさかそんなこの学校って女子高だったっけ?


呆然としている俺の背中に軽い衝撃、後ろを振り返れば見覚えのある人物が立っていた。



「彰人!お前っ!無事だったのか!」

「よっす良、ってか何だよおい、無事だったとか朝からどうした?」



葛城 彰人、幼稚園の頃からの付き合いで唯一無二の俺の親友、180を超える高身長にガタイの良い体格、活発そうな印象を残す笑顔が人を惹きつける。


老若男女に好かれる人誑し、んでもって頭も良い、異世界に飛ばされそうなチート野郎だ。


こいつと幼馴染な俺は何度神を呪ったか数えきれない、だが性格が良い故に憎みきれないのだ。



「どうした?溜息なんて吐いて?」

「や、なんでもねぇよ。」

「そか、っつーかお前!ボタン、ちゃんと留めろよな。胸元見えてるじゃねぇか。」

「はぁ?これくらい普通だろう?何言ってんのお前?」

「そりゃこっちの台詞だ馬鹿、おまえなぁそんな恰好で出歩くなんざ、襲ってくださいって言ってるようなもんだぞ?」

「はぁ?」

「良いから、ほら!見ろ!」



彰人が指差す先では、女子が俺を見ながら何やらざわざわと盛り上がっている。


…なるほど理解した、バスでのあの視線は、珍しい若い男+セクシーサービスしとるって意味でギラギラしていらっしゃってたんですね。


確かに女子高生が無防備な薄着で、尚且胸元おっぴろげてバス乗ってたら、俺でも見ちゃうわ、狩猟本能解禁しちゃうわ。



「わり、今度から気をつけるわ。」

「是非そうしてくれ、周りの為にもな。」



そんなこんなで教室に向かう俺達、すれ違う度に女生徒たちは振り返り、目が合えば頬を染めて視線を外す。


お、なんだこれ、なによもしかして俺ってばモテ期来ちゃってたりするの?案外、こっちの世界も悪くないんじゃね?


いやぁ、まいっちゃうねおい、こんなハーレムな状況で?学校生活送れちゃうとか、夢のようだよ!我が世の春が来ちゃったよ!!


まぁ…、今朝のバスみたいな状況はご勘弁頂きたいけれども。



「…良。」

「おう。」



肩を叩く親友、バカでかい溜息をひとつ付くと俺の腰元を指差す。



「腰パンもやめようぜ。トランクス、見えてるぞ。」

「…はい。以後気を付けます。」



どうやらモテてた訳ではないらしい。


普段ならそうでもないが、今日はなんだか凄く恥ずかしくなって、俺は無言で制服のズボンを整え直した。


女子たちの大きな溜息が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。


きっと気のせいだと思っておく。






「状況的にはおいしいのかもしれないけど、やっぱ、やりずれぇよなぁ…。」



授業を終えた休み時間、窓の外に広がる青空を見つめながらボヤく。


今朝のバスの一件もそうだし、自分の身なりに関してもそうだ。


むこう(昨日までの日常)じゃ、特に気にもしなかった常識が通用しない、それどころか自身を危険に晒す可能性すらある。


こりゃあ相当に気を張らんと暫くは慣れそうにない、注意確認しっかりとしなければ。



「よ、新山!なぁに黄昏ちゃってんの?何よ何よ、まさか男の子の日ってやつ?」

「どんな日だよそれ。っていうか机の上に座んなよ吉沢、パンツ見えんぞ。っつかちょっと見えてんだよ、隠せ。」



俺の机に腰を掛けてきたのは、吉沢 まどか、襟元まで伸びた黒髪に整った顔立ち、そして自己主張激しいボディラインはむこうでは男の目を釘付けにしていた。


その上、誰にでも明るく人当たりのよい性格で、常に周囲には誰かがいるという人気者だった。


…おっぱいは正義、はっきりわかんだね。


ちなみに今日の下着は灰色っぽい地味目なやつのようだ。君には色気ってもんがないのかね。



「え、あぁ、別に良くない?パンツくらい。」

「良くねぇんだよ、畜生…。」

「変な新山?あ、そうそうパンツと言えばあんた!今日めっちゃパンツ見せながら登校してきたんだって?女子の間で噂になってるよん?」



パンツ…?あぁ今朝の腰パンの一件か…。やっぱりそうなってるのね。まいったなこれじゃまるでただの変態じゃねぇか俺。


パンツ見せながら登校する男、こっちの世界に置き換えれば女か…。


それなんのエロゲ?



「つか、どんなパンツ穿いてるわけ?めっちゃ気になんだけど。」

「どんなって、黒のトランクスだよ、普通のな。」



あ、やべ。


ボケっとしてたもんで、つい反射的に答えちまった!


と焦っても時既に遅し。



「く、黒だって!黒っ!黒のトランクス!ひゃー!」

「え、マジ?あたし、新山は白のブリーフであってほしかったなぁ…。」

「出たよ童貞厨、っつーかー黒トラとか何、新山ってば案外…エロエロなん?」

「ち、ちょっとやめようよ。そういうのって良くないよ?お、男の子、し、下着の話、なんてっ、しょ、しょんな。」

「委員長、鼻血出てるって。ダバダバ出てるって。」

「はーい、トントンしましょーねー。」

「ふみゅう。」


「…あたし、ちょっと、トイレ。」


「あいつ、抜く気じゃね?まじウケんだけど!ガッコで抜くとか!ありえないっしょ!」

「ちげーし!ふつうにおしっこしたくなっただけだし!抜くとか、そういうんじゃねぇし!マジ漏れそうなだけだし!」


「スクールオナニストめ!」

「やめて!変なあだ名つけないで!」




やはりというか何というか、女子たちは盛り上がっていた。


というか女の子がふつうにおしっこなんて言うものじゃありません。お花を摘みに、とかこう色々あるんじゃないのかな?


それに、オ、オナ、い、いかん、いかんぞ俺、素数を数えろ。落ち着け落ち着くんだ小さな自分、まだ起きる時間じゃない。


あぁ…やっぱやりずれぇよ…。



「あんたさぁ、聞いたあたしが言うのもなんだけど、ふつう正直に言うかね?」

「あぁ、俺もやっちまったと思ってるよ。」

「気を付けなよ?あんたってば、気さくに話しかけてくれるってんで、女子の間じゃ結構人気あるんだから。」

「なんだよそれ、どうせなら超絶イケメンで恰好良い!みたいな理由が欲しかったぜ。」

「あのねぇ、女は顔の良い男よりも、笑顔が可愛い男のほうにトキめいちゃうもんなんだよ?」

「そういうもんなのかねぇ。」



まぁ、確かに愛嬌全くなしのすました美人よりも、良く笑う明るい普通の女の子なら後者の方が男からの人気は高い気がする。


案外、こっちの世界の女性も、向こうであったみたいな女性らしい感覚ってのもあるのかもしれない。



「まぁチ○コがデカけりゃより良いけどね。」

「結局そっちなのかよ!ちょっと関心しかけた俺に謝れこらっ!」



女の子がチン○とかふつうに言うんじゃありません!




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