1話 始まり
「君は死んでしまった。ここまで、分かるかね?」
「はぁ」
僕はさっき、死んだ。トラックにはねられそうになった子供を助けようとして。
「あのー、質問していいですか?」
「何かね?」
「ここはどこで、あなたは誰です?」
目の前にいるのは、80歳ほどに見えるご老人。メガネをかけていて、立派なおヒゲがある。そしてここは、雲海の上。そこになぜかふよふよと浮くちゃぶ台が一つ。僕らは、そのちゃぶ台を挟んで向かいあっていた。
「ふむ…そうじゃな…。わしは、万物の頂点に立つ者。君の世界、地球風に言うと、神様じゃな。」
「ふぅん。そうですか。ではここは?僕は死んだので、これから天国ですか?はたまた地獄?」
「いや、そういうことではない。ここは神の住まうところ、君たち風にいうと、神界かの?」
「なるほど。」
「…君、反応薄すぎやしないかの?」
「そうですね。いきなりこんなとこで「わし神様」と言われても、現実味ないですし。」
「そうかの?ま、いいかの。それよりじゃ、君に頼みたいことがある。」
「何でしょう?」
「君の才能を別の世界で生かして欲しい。」
「いいですよ。」
「そ、即答するとは思わなかったわい…」
どんなとこなんだろう。
「では、いくかの。またすぐにポックリと逝ってしまってもいけないから、基礎的な能力は底上げしておくぞ。」
「はい。」
…………………………
「あの…」
「なんじゃ?」
「まだですか?」
「すまん。こういうのは初めてでの。あ、後は、いつでもどこでもわしと話せる物を用意する。知恵は貸してやるぞ。」
「ありがとうございます。」
「では、健闘をいのる。」
その声を聞いて、僕の意識は途切れた。
いやー。案外いけるもんだな。異世界生活。
屋根の上で空を見上げながら僕は思った。
今の僕の名前は、エルトという白猫族。白猫族とは、白いケモミミと、白いシッポが特徴である。目の色は人それぞれで僕は、綺麗なアメジストの様な紫。純血種の白猫族は珍しいらしい。
「おーい、エルトくーん。」
下から僕を呼ぶ少女は、ローゼ。彼女は黒猫族。僕と真逆でケモミミもシッポも目の色さえも全て黒である。
「どうした?」
「もうすぐ授業でしょ?」
僕たちは、アルセド孤児院というところにいる。僕とローゼは同日にこの孤児院に入ったので、幼馴染ということだ。
「全く、今日は魔法の授業でしょ。すんごい楽しみにしてたじゃん。」
「そこまではしてない。」
と言いつつ、内心は超超超絶楽しみでした。
だってさ?全人類が一度は夢に見た魔法だよ?このくらい普通…だよね?
「今日の授業は、魔法です」
と言ったのは、この孤児院を管理している、リム先生。先生はアルラウネという種族。
この世界にはおおまかに言うと3つの種族がある。
まずは、「人間」。一番この世界に多い人種である
次に、「獣人」。特徴的な耳や尾を持ち、身体能力が飛び出している
最後に、「魔族」。特徴的な能力を持ち、基本的に長寿
僕とローゼは獣人。リム先生は魔族である。
アルラウネは、手足が木のようになっていて、地面から養分を吸えるので、何も食べなくても、一月は生きていけるらしい。見た目は30歳ぐらいだけど、魔族だから、相当年上なんだろうなぁ。
「エルトさん?今失礼なことを考えませんでしたか?」
「い、いえ!なにも!」
「そうですか。」
怖っ!リム先生っていつも優しいから、怒るとすごい怖いんだよなぁ。
「では、まずは皆さんの適性を調べましょう。」
適性?ナンノコトヤラ。すると、一人の生徒が
「先生、適性ってなんですか?」
と質問した。
先生は微笑み、
「いい質問ですね。では、魔力と適性について説明します。」
先生いわく、人は、生まれつき魔力の量、質、適性があり、最低でも量と適性が無ければ、魔法は使えないそうだ。ちなみに、適性は9属性ある
火属性 炎を操る
水属性 水を操る
風属性 風を操る
雷属性 雷を操る
土属性 土を操る
氷属性 氷を操る
光属性 別名神聖魔法。回復、浄化など
闇属性 召喚魔法、デバフなど
無属性 個人魔法 使える人は少ない
である。
僕はどの適性があるんだろう?神様パワーも気になるし。
楽しみだなぁ。
黒野部 酔であります!ほんの出来心で書いた小説ですので、月一ペースの投稿となると思います。評価でも批評でもどんと来い!です。一応メンタルは強い(つもり)です。よろしくお願いします。