032:狂気
ーピラミッド内部ー
「ハ…ッハッハ!…」
マイの形見として、本を持ってきた。
近くを通る生き物は全て殺した。
コウモリのようなゲル。
蛇の包帯版のようなスメース。
こいつらとしか会わないが全て殺した。
これじゃあ町で暮らしてたほうがまだよかった!
マイを亡くすこともなかった。
「全部………のせいだ」
どうしようもなく、ただひたすらピラミッドの奥深くに進んでいった。
どうやら厳重に守られている部屋の前に来たようだ。
扉の前に2対のサソリ型の外級生物、スピッツがいた。
「全部…お前らのせいだ!」
危険度Bのスピッツを一瞬で2体倒した。
「全部…上級生物のせいだ!!!」
勢いよく扉を開けると、大きな玉座があった。
その玉座にどっしりと腰を下ろしている巨大な外級生物、バス。
下半身しか確認することが出来ない。
本には危険度Aと書いてある。
でも今の俺にはそんなの関係ない。
バスの獣の顔をしたような左腕が襲い掛かってきた。
すかさず大きくジャンプをすると、次に刃物のような尻尾が向かってきた。
一瞬たりとも相手の攻撃にひるまず、長刀を鞘から抜いた。
≪ギィィーーーン!≫
鋭い金属音のようなものがピラミッド内部に響いた。
「一気にケリつけてやる!」
長刀にものすごい勢いで意識を集中させた。
ものの数秒でドデカイ光の刃ができ、それを力の限り振り回すと、バスは動きを止めた。
ゆっくりと両腕が落ちる。
次に上半身。
最後にピラミッドが大きな悲鳴を上げながら、崩壊している。
俺は壁をスパスパと斬りながら脱出した。
◆◇◆◇◆◇◆
ー砂漠ー
一瞬町に戻ることも考えた。
だけど、やぱっり北に進む。
約束の地では何でも手に入るはず…
きっとマイだってそこで…
ふと何かに腕を掴まれたような気がした。
「マイ…?」
でも、気がしただけだった。