031:困惑
ー砂漠ー
「ホントだ、どうしてだろうね…?」
≪シューーーーーーー!!!!≫
「…!!!??」
何だこの音…
≪シューーーーーー!!!!!!!!≫
後ろを振り向くと、大きな砂煙を上げながら、サソリの尾のようなものがこちらに向かってきていた。
「マイ!!」
「ほぇ?えぇぇぇぇえええ!!」
俺たちはとにかくピラミッドの中目指して走った。
≪シューーーーーー………≫
ピラミッド手前まで来ると、さっきまでの音も消え、”シュ”の姿も消えた。
「助かった…のかな?」
「とにかく今は中に入らないか?」
そう言って俺が先に中に入った瞬間だった。
大きく地面から砂煙が上ったと思うと、マイがシュの攻撃に見事にヒットしていた。
マイは宙を舞うとピラミッドの側面にぶつかり、ゴロゴロと転がってきた。
その瞬間、俺は無防備だった。
何が起こったかわからず、ただその光景をじっと見ているだけで…
突然横から何かにぶん殴られたかのような衝撃を受けると、目の前が真っ暗になった。
………
目を覚ました…
死んでない…
横に目をやると、マイが倒れこんでいた。
「…マイ…」
フラフラと立ち上がりつつ、マイの元に歩み寄った。
「…マイ…大丈夫か?」
しかし返事はない。
「マイ…?」
マイを揺さぶってみた。
残り少ない水を顔にぶっかけた。
でも…でもマイは動かない。
「マイ…マイ…マイ!!!!!」
このとき始めた知った。
俺はマイのことが本気で愛していたと。
観察対象としてではなく、ヒトとして、本当の”人”として。