002:公園
ー公園内ー
公園には中級生物が30はいた。
やっぱり”ヒト”の姿なんて見えない。
たまに思うことがある。
この世界に”ヒト”は俺だけしかいないんじゃないかと。
俺は公園の中に置かれたベンチに座り、家から持ってきた本を読み始めた。
この世界は全てといっていいほど”ヒト”用のものはない。
ほとんどは中級生物や上級生物用のものばかり…
”ヒト”用のものなんて見た中では数えるほどしかない…
この本だって、俺の部屋で読める本はこれ一冊。
題名は…「約束の地」
ある少年と少女が約束の地を目指して旅する話、最後にはハッピーエンドで終わる物語。
でもこれが物語とは思えない。
なんか現実味を感じる…からかな。
1時間ほど読み続けた俺は、本に葉っぱのしおりを挟み公園を後にした。
◆◇◆◇◆◇◆
次の日…
◆◇◆◇◆◇◆
ー家ー
今日もいつもどおりに朝食を食べる。
今日は……買い物にでも行くか…
買い物に出かけることにした。
近くにコンビニとかもあるんだけど、今日は地下に行くことにした。
地下といってもそれほど深くはない。
地下鉄の周りに店がある所のこと…なんか説明しにくい…
店も多く、コンビニには売ってないものもある。
だけど全部の店に入れるわけじゃない。
パスが必要だから…
◆◇◆◇◆◇◆
ー地下ー
ここで使えるパスは少ない。
そして買える物も大体決まってくる。
500ビルしか持てないから、そう高いものは一生買えない…
いつものように入れる店を回った、見るだけでも暇つぶしになる。
そして目的の物が売ってる店に向かった。
パスを店のパス挿入口に入れた。
ドアは静かに開いた。
この店は服を売っているファッションショップ。
今日は服がぼろぼろなので買い替えに来た。
上は青いカッターシャツと、下はちょっとカッコイイ黒いズボンを買った。
合わせて490ビル。
残りの10ビルを使って、今日の夕食と明日の朝食をさらに美味しくさせる食品を買った。
店には誰もいない、中級生物も上級生物も利用しないからだ。
昔は多分”ヒト”が営業をしていたんだと思う…
だからといってもお金はちゃんと払っている。
払わなかったらなんか罪悪感に襲われそうだから。
でも店に誰もいないせいか、無級生物が店の食べ物をあさることがある。
店には誰もいないから、商品の補強なんてこともない…
でも俺が生きていける分はある、そう思うせいか無級生物を見ても追っ払う気はしなかった。
それにしてもこいつらはどうやって店の中に入ったのだろうか…
◆◇◆◇◆◇◆
ー家ー
夕食を食べ終えたらベットに横になっていた。
いつものように何故こんな現状なのか、何故”ヒト”はペットにされるのかを考えて…
そして気づかないうちに夢の中に引きずり込まれていった。