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つばさ  作者: mihiro
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ブループラネット

赤ちゃんを抱いた母親がトラックに轢かれる瞬間を見た。

母親の身体からはたくさんの血が流れ出していた。

赤ちゃんは生きていて、大きな泣き声を上げていた。

あの赤ちゃんはこの先どうやって生きていくのだろう。

誰かが呼んだ救急車のサイレンの音を聞きながら帰路についた。


「ただいま」

「おう、おかえり」

アパートに帰ると、兄が夕飯を作って待っていた。

「今日はな、ウインナーと目玉焼きだ」

朝ごはんみたいだなと思いつつ、分かったと返事をした。

わたしたちには両親がいない。

10年前に殺された。

犯人は刑務所の中で舌を噛みちぎって死んだ。


両親がいなくなってわたしたち兄妹は伯父夫婦に引き取られた。

そしてわたしは伯父に犯され、妊娠、堕胎を経験し、兄と2人でその家を出た。

伯父はその後、線路に飛び込み自殺したらしい。


兄は目玉焼きに醤油をかける。

わたしはいつもソース。

「明日、誕生日だよな。何が欲しい?」

「いいよ。今月もきついんでしょ」

「そんなの気にしなくていいんだよ、お前は。考えとけよ」

兄は頑固で意地っ張りだから何が何でも買うんだろう。

「明後日は病院か。1人で行けるか?」

「いつも1人で行ってるじゃない。大丈夫だよ。ごちそうさま。洗い物はわたしがやるから」

「おう。いつもありがとうな」

兄は些細な事にもお礼を忘れない。

そんな所は好きだ。


わたしは朝、昼、夕と安定剤を飲み、寝る前は睡眠薬を飲んでいる。

いつからだったか自然には眠れなくなった。

今日もあの夢を見るのだろうか。

兄と身体を交わす夢を。

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