散歩⇒遭遇
ふと、ポチの足が止まる。
おっとと。
珍しいな、こんな途中で止まるなんて。
「なんか居たか?ポチ?」
ポチの視線をたどると1匹の黒猫
またまた珍しい。ポチが猫を見つけても吠えない。いつもなら威嚇するのだが。
黒猫が移動するとポチがついていこうとする。ついていくか。
少し開けたところに出た。
こんな所あったかな?と記憶を手繰ろうとして、やめた。
目の前にその原因が見えたのだ。
某ヤ○トに出てきた脱出カプセルが。
となると近くに金髪美女が倒れて……いなかった。
まだ中か?
と、黒猫がコンソールパネルを操作する。
肉球で上手にキータイピング。
キータイプゲームも真っ青である。
[プシュー]
ふたが開く。
中には美少女がいた。
[絶世の美女]ではなく[金髪美人]でもエルフのような[緑髪]でもない。
栗色髪の普通の美少女である。
お約束の様でお約束でない「コレジャナイ」感はあるが…
どうしよう?
肩に乗った黒猫が肉球を頬に押し当ててくる。プニプニと。
[あぁ。気持ちいい…]ではなく、猫の眼を見る。
ナニナニ、『この娘を抱き上げろ』とな。
昔から、動物の言うことがなんとなく解った。
犬や猫の眼を見れば
『餌くれ!餌!』
『なでろ』
『サンポいく?サンポ?』
等々…
哺乳動物限定だが。
まぁ、動物好きの単なる思い込み。と言えなくはないが…
今回の黒猫のように、明確な意思を持った眼は初めてだ。
彼女を抱き上げようとすると、周りが騒がしくなってきた。
『あったか?』
『いや。落下の痕跡すら見当たらない』
数人の気配と共に聞こえてくる声は、日本語ではない。がなぜか自分には理解出来ている。
姿が見えた。モロ[М.I.B]の恰好だ。
彼らはこちらから5mくらいの範囲には近づかずに何かを探している。
『あった!』
何か小さな箱を発見したようだ。
『やはりデコイだったか。よし、そのデコイを回収し撤収。次の場所を捜査する。』