消滅⇒その後
「おう。よう来たよう来た。まあここへ座れ。」
はて?私は消滅したはずでは?
そして目の前にいるふくよかな猫様は一体誰ですかな?
「大神様がの『縁を結ぶ猫ならば神になるにふさわしい』とおぬしの魂をすくいあげたのじゃ。で、縁結びの実績のある儂を使いに寄越したのじゃ。」
ほう、そうなりますと私はまだ『存在』していけると言うことですかな?
「そういう事じゃ。とはいえ新神じゃと見守る事しかできぬがのう。」
僥倖、僥倖。それだけで十分にございます。
「とはいえ、儂らには信仰心が必要じゃ。儂の依り代は辻に祀られておって、煮干や猫缶を供え手を合わせてくれるものが居る。おぬしにはどこがいいかのう。」
それでしたら、私の遺影に宿りたく思います。そこでしたら、マスターに忘れられない限り居続けられると思います。
「そうか、新神ならそれが妥当なとこか。大神様には儂から言っておこう。精進せよ。」
大神様にも感謝しております。ご配慮、色々とありがとうございます。
===数十年後===
行ってしまったか。
儂の後釜にと目をかけていたのだが、アヤツ、見守っている夫婦が逝ってしまうと『道案内』と称して供に行ってしまいおった。
大神様も別の理由はつけておったが、こうなる事は判っておったのじゃろう。
儂もまだまだ精進が足らぬという事か。隠居の道は遠いのう。