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ガラケー




『ガラケー』



昔のスケジュールが入ったケータイをね

捨てられないんだどうしても

たとえばどんな映画を観たとか

たとえば何を部活でしたとか

それはすべて すべて

君の居る世界で生きていた僕の記録だ

もう25にもなって

もう10年以上も経ったのに

過去を追うことがやめられないんだと思う



頭と体がバラバラになるようなさ

軋み叫ぶ日々の中で

君の思い出を無くさないように

頭の中に鍵をかけたんだ

僕の鬱血と偏愛と妄執でできた

小さな鍵さ

一生解けることのないように

一生狂ったままでいることを

僕は選んでしまったよ



8月4日、僕は親友と旅行に出掛けた

10月24日、金物屋の前で君を見かけた

12月26日、君は僕を指差して嗤った


全てを斜に構えるかのように君は綺麗だった




定期的に充電してるよ

データが全部とんでからじゃ遅いから

今ならまだ電源を入れるだけで現れる

稚拙な描写 流行っていた絵文字 恋心


人は何にだってなれると言われた

努力して信じ抜けば

いつか必ず叶うという

クソくらえだと思っている

仮に"いつかは"なれたとして

取りこぼした君の想いが

何処かへ行ってしまった後ろ姿が

掴めなかった色白な手が

―――また現れたりなどするものか

『あの日あの時あの場所』で

"掴める僕"で居れなかったので

君は二度と会えないひと



11月23日、僕はテスト期間中大掃除をやりだす

2月17日、君が教室で卑猥なゲームをしていた

3月19日、君は遠くの学校に進学が決まった


桜の下

吹雪く校庭

炎天下

いつだって


僕の全てを切り刻むかのように君は綺麗だった


あぁ、「『諦めなければ叶ったのに』とは

まるで負け惜しみのようだ」とかそんな

感傷が詰まっているガラケー




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