表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オッサン(36)がアイドルになる話  作者: もちだもちこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/353

49、いよいよアニメの放送。

な、なんとか午前中に投稿……

会議室に集まった人数は二十人ほど。

商店街のイベントから三ヶ月、344(ミヨシ)はひたすらデビュー曲とアニメの宣伝活動に勤しみ。アニメをなぞらえたプロモーションビデオなども作ってもらい、アニメ『ミクロットΩ』第五話を心待ちにしていた。

ネットでの前評判も上々で、気の早いアニメファンが主人公の女の子三人と敵の男三人が、どういうカップリングになるかの予想までしているほどだ。

そして、その第五話が今日放送される。

事務所の会議室にある大型テレビを皆で鑑賞しようと、手の空いているスタッフを集めて今か今かと待っていた。


「やべ、俺すげぇ緊張してきた。で、俺たちの出番は?」


「今日のエンディングだけ『puzzle』なんですよね。ピアノ弾き語りバージョンが主人公と王子の出会いで流れて、通常のをエンディングで流す……」


「これで反応を見て、挿入歌として流す回数を決めるっていう話だけど……」


会話をしながら、認識の違いが無いのを確認する三人。

周りのスタッフも皆緊張している。











「ミロク王子役の大野さん、まんまミロクの声に寄せて演技してくれてたな!」


「ヨイチ宰相役の竹之内君も、十代とは思えない大人な声でしたね!」


「騎士シジュ役の高本さんのバリトンボイスも、しっかりシジュの感じが出ていたよ。素晴らしいね」


「俺、大野さんに早速メール送っときます!」


「いつの間に連絡を取り合う仲に……」


「こういう繋がりは作っておいて損はないんですよ」


「さすが元営業だな。最初の出会いは嫉妬丸出しだったくせに」


「それは言わないでくださいよ……」


放送が終わり、スタッフ達は興奮しながらも仕事に戻っていった。「これからですね!」「頑張りましょう!」と声をかけられ、ミロク達は笑顔で礼を言った。

三人はそのまま会議室に残り感想を言い合っていたが、改めて尾根江の凄さを思い知る。


「まさかエンディングに、俺たちのプロモーションビデオを入れてくるとは……」


「実際、俺らの顔が出るって話じゃなかったよな?」


「聞いてないです。CMに使うのかなって思ってましたし……」


「小さめの画面だったけど、アニメにリアルを絡めると色々と不安だね。まぁ今回だけだろうけど」


ヨイチは目を眇めて、警戒するような顔をしている。

シジュは腕を組んで椅子の背もたれに寄りかかっていたが、不安そうにするミロクの頭をワシャワシャ乱暴に撫でた。


「やめてくださいよー」


「お前、髪にハリがあってムカつく」


「ニナのヘアケア法が良いんですよ」


「「そこんとこkwsk!!」」


オッサン達はデリケートなのである。(どことは言わないが)

ひとしきりワチャワチャして、落ち着いた三人は改めて話し合う。


「まぁ、今考えてもしょうがないよ。僕たちは出来ることをやるしかない」


「んだな。視聴者がどういう反応するか分からねーし」


「俺、レッスン増やして頑張ります。イベント一区切りつきましたし」


「お前は体力トレーニング増やせよ」


「そうだね。一曲歌って息切れとかアイドルとして有り得ないよ」


「良いんですよ。二曲三曲目のメインはヨイチさんとシジュさんなんですから」


「「勝手に決めるな!!」」


兄二人に突っ込まれ、盛大に不貞腐れながらもミロクは内心「体力つけなきゃ」と決意しているのであった。












早歩きで事務所へ戻るフミは、すれ違った女性に違和感を感じつつ数歩進んで、慌てて振り返る。


「ミハチさん!」


「……フミちゃん?」


アッシュブラウンの長い髪をサラリと揺らし、ゆっくりミハチは振り返る。

少し気だるげにする彼女の仕草は、いつものキリッとした感じとは違う別の色香が漂う。それに首を傾げつつフミは話しかける。


「お仕事帰りですか?」


「ええ、今日は早く帰ろうと思ったのだけど、うっかりしてて……」


「ミハチさんがうっかりなんて珍しいって思っちゃいます。反対に最近うちの叔父はすっごい元気で……」


と、フミが話し出すと、ミハチは分かりやすいくらいに固まって手に持っていたスマホを落とし、顔を真っ赤にする。


「あ、あれ?もしかして最近の叔父さんのアレって……」


「……ごめんなさい」


フミは以前ニナから聞いていた話を急速に思い出していた。そういう関連の話に鈍い方の自分でも、叔父の行動は分かりやすかったような気がするし、ミハチの様子からいうと上手くいった……のだと思いたい。

フミは色々苦労してきた叔父を見ていたし、ミロクの姉であるミハチの事も仕事する理想の女性として尊敬している。

道に落ちたスマホを拾って、未だ顔を赤くするミハチの手に渡してフミは笑顔を向けた。


「ミハチさん、叔父をよろしくお願いします。優しい人ですから、きっと大事にしてくれます」


「ええ、分かっているわ。ありがとうフミちゃん」


ヨイチを思い浮かべたのか、甘く微笑んだミハチは通りすがりの人たちの視線を集めてしまう。さすがミロクの姉である。

フミは慌ててミハチの手を取り、そのまま一緒に事務所に行くことにする。

こんなフワフワ甘々な状態のミハチを放置して、何か起こったら大変だ。

そして確実に叔父に怒られる。普段怒らないだけに怖い。


遠慮するミハチを、彼女の性格にしては珍しく強引に引っ張って行った。

突然事務所に現れたミハチの様子を見たヨイチとミロクに、大いに感謝されるフミであった。






お読みいただき、ありがとうございます。

アニメの内容は夏休み中に書けたら良いなと思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ