32、トークショーの直前に。
短くてすみません
イベント会場へ移動中の一コマ。
「むむむ…」
「どうしたミロク?」
「ネット仲間からメッセージがきたんですけど……」
ラジオ放送を終えて控え室に戻った三人は、次のイベント会場へ行く準備をしていた。
アニメのキャラクター衣装は、次の会場にあるとの事で、とりあえず三人はスーツに着替えている。そこにフミが飲み物を持って入ってきた。
「皆さん、準備は出来ましたか?次の会場には五、六十人くらいお客さんがいるみたいです」
「結構集まったねー」
「椅子足りますかね?」
「立ち見でもいいって、来られた方も居ますよ」
「おお、すごい人気」
他人事のように言うシジュに「お前もだろ」とヨイチは小突く。
トークショー開始まであと一時間、披露する歌とダンスの復習を行う。ミロクは相変わらずな体力不足に落ち込む。
「そうか?体力ついてきてるぞ?」
「本当ですか!?」
「ああ、この曲フルで踊っても、座りこまなくなっただろ?」
「……二時間ダンスレッスンで表情一つ変えないシジュさんが言うと、なんか微妙です」
「ミロク君、千里の道も一歩からだよ?」
「はい!」
「ヨイチ兄ちゃんの言う事は素直に聞くのかよ」
「あ、僕たちここで着替えちゃったけど、次の会場までって……」
「歩きですよ?でもそのままでお願いしますね」
ニコニコしているフミに控え室から出され、恐る恐る外に出る三人。
わぁぁっとあがる歓声が彼らを包む。出待ちしているファンが並んで待っていたのだ。
「頑張ってください!」
「シングル絶対買います!!」
「ヨイチさん!優しく叱って!」
「シジュー!愛してるー!」
「王子!王子!王子!」
「こ、この日のために献血を……んがふっ」
たくさん声をかけられる三人は、照れ笑いしつつ会場に向かう。ファン達は別ルートで向かうように誘導されていた。
「叱ってって何だろう?僕が叱るのかな?」
「王子コールされた……複雑です……」
「俺のかわい子ちゃん達はブレないな」
「えっと、会場に着いたら最終の打ち合わせします。流れはアニソンカバーの歌とダンス。その後トークショー、途中アニメキャラの衣装にチェンジしてトークショーです」
歩きながらも、フミは三人に申し伝える。ミロクはそれを聞いて不安になる。
「そのアニメキャラの衣装って、制作側からの注意はないのかな?」
「注意ですか?」
「ほら、キャラクターの設定とかあるじゃない?コスプレみたいなものでしょ?なりきらなくていいのかな」
「うーん、台本読んだところ、ミロク君の一人称が『私』っていうところくらいかな」
「あらすじって見れねぇの?」
「放送はまだ先だけど、WEBで公開はしているのがあるね。事前に少しでも見ておこう」
「俺はもう見たんで大丈夫です。私…私…」
ミロクは台本を見ながらブツブツ呟き、ヨイチとシジュはタブレット端末でアニメの概要を確認している。
フミはアニメに夢中になる三人を次のイベント会場まで何とか連れて行くと、最終の打ち合わせをする。
再び緊張するミロクを兄二人で宥めつつ、344(ミヨシ)初のイベントは、緩やかにスタートするのであった。
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