30、雑誌のインタビューを受ける三人。
今日はもう一回更新します
そのオフィスビルは出版社だった。インタビューと撮影があるとの事で仕事モードに入る三人。とはいえ、それは事務所社長でもあるヨイチくらいで、後の二人はいつも通りな状態だ。
受付のスペースには、キャラクターのぬいぐるみやフィギュアを始め、ポスターやアニメキャラクターの等身大パネルなどの、たくさんのアニメ宣伝用媒体が所狭しと置かれている。
「今日のインタビューは雑誌って言ってましたけど、アニメ雑誌ですか?」
「そうなんだよ。この前のラジオで製作中のアニメの台本渡されただろう?あの流れみたいでね」
「つか、結局俺らは何するんだ?」
「尾根江さんが教えてくれなくてね……」
無人の受付の呼び出しボタンを押すと、出てきた女性が三人を見て固まる。おっさんとはいえスーツ姿の長身イケメン三人の圧力は相当なものだろう。
ヨイチが柔らかい物腰で名乗ると、女性の金縛りが解けたらしく、慌てて担当者を呼びに戻って行く。
「やっぱりこの格好って、アレですよね」
「時間が無いからって、尾根江さんに押し切られて着て来たけど、狙ってたよね……」
「オネエの皮を被った鬼だろアレは」
シジュが堅苦しそうにネクタイを緩めると、ヨイチが苦笑してシジュのネクタイを締め直す。ミロクはアニメの宣伝用媒体の観察に余念がない。
「お待たせしました、こちらへどうぞ」
現れた男性担当者は、三人を見てやはり固まりかけたが、無理やり再起動させて三人を会議室へと案内する事が出来た。
お茶が出たところで「急なお話で恐縮です、よろしくお願いします」と挨拶した男性担当者は、そのままじっとミロクを見る。
「な、なんですか?」
「あの、失礼かとは思いますが、少し前に動画で話題になった白い王子様……わっ、大丈夫ですか!?」
思わず頭を抱えるミロクに、担当者はびっくりする。
「ああ、気にしないでください。彼は『王子様』と呼ばれるのが恥ずかしいみたいで……確かに彼はその動画に出てた人間ですよ」
「あ、ああ、やはりそうですか。社内でも話題になってその後モデルになったとかで……」
「なぜか今は三人で活動してますけどね」
「聴きましたよラジオ。あれゆるくて落ち着くし面白いですよ。おっさんがアイドルになるってところが良いですね。あ、話し言葉はラジオの時と同じようにしてください。個性は潰すなってプロデューサーさんからの指示で……」
「ああ、ごめんね。これでいいかな」
「はい。大丈夫です」
担当者はそのままヨイチ中心に話を聞き出し、344(ミヨシ)の活動や三人の小話なども聞き出していく。
インタビューの様子も撮影して、無事終了となった。幸いにもモデルとしての撮影場所はこの近くなので、不本意ながらこのまま歩いて向かうことにする。
帰りはフミが迎えに来ると聞き、ミロクはホッとしていた。
出版社を出ようとした時、担当者がミロクに「もしよろしければ…」と話しかける。
「ミロクさん、このパネルとかポスターとか……宣伝用媒体なんですけど、お好きなものを事務所にお送りしましょうか?」
「え!!良いんですか!?」
「はい、キャンペーンも終わっているものなので大丈夫です。アニメ好きと聞いて勝手ながら親近感が湧いてしまい……これで良ければどうぞ」
「ありがとうございます!」
パァァと満面の笑みを浮かべるミロクを見て、担当者の顔は真っ赤になった。分かる分かるとヨイチとシジュは頷く。ミロクの男女無差別な人タラシの犠牲者は留まることを知らないのである。恐ろしい。
「ところで今回のインタビューは、そちらの雑誌から見ると『月刊プロトタイプ』ですか?」
「は、はい、そうです。ロボットアニメ関連の話題はとにかく盛り込むのがウリの雑誌なのですが、今回のは異例で……製作中ですし、今まで絡んでくる歌手も女性ばかりだったので、一体何をするのかと……」
「ああ、プロデューサーはそちらにも明かしてないんですね」
「だからこそって所もあるんです。なんか乗っておけば間違いないみたいな」
ミロクはヨイチを見ると「まぁ、あの人だしね」と苦笑している。
この後モデルの仕事をこなしつつ、三人とも「こういう普通の仕事って素晴らしい」と日常に感謝しつつ、フミの迎えの車が来た頃にはぐったりしてしまって、おっさんの色々な何かが露呈した一日だった。
ただ、ミロク一人だけツヤツヤしていたという……。
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