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オッサン(36)がアイドルになる話  作者: もちだもちこ


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23、ユニット名と思わぬ仕事。

『おっさん三人セットで』というのが珍しいのか、少しずつモデルの仕事が増えてきた。GAINAのスーツ特集では必ず呼ばれる。あの発表会での印象が強いようだ。

 シジュは最初戸惑っていたが、元ホストというスキルをフルに活用し、何とかこなしていた。


「そういや、ミロクはモデルの経験がなかったのに、こんなのよく出来たよな……俺お前を尊敬する……」


 撮影が終わって、控え室でグッタリするシジュ。昔シャイニーズにいたヨイチはブランクはあれどシジュほどの疲れはなく、タブレット端末でメールのチェックをしている。

 ミロクは労わるように水の入ったペットボトルを二人に渡す。


「最初はフミちゃんが応援してくれて、撮影の現場に付いてきてくれてたから何とかなったんです。さすがに今はフミちゃんが居なくても大丈夫ですけどね」


「愛か」

「愛だね」


「そうじゃないでしょう!フミちゃんは仕事でやってくれてて!」


「誰もフミの愛とは言ってないけど?」

「なんだぁ?愛を感じる何かがあったのかぁ?」


「うぐ……」


 おっさん二人に揶揄われ、仏頂面になるミロク。

 ニコニコしていたヨイチが、ふと真剣な顔になる。


「これ……尾根江プロデューサーからのメール、僕たちにラジオ出演の依頼だ」


「「ええ!?」」


「あと、ユニット名決めろって。それがコーナー名になるらしい。毎日やってる生放送三時間番組の中で、週二回十五分のコーナーだそうだ。『三人とも声が良いからゾクゾクしちゃう!はぁと』ってあるけど、どうしようか」


「後半は見なかったことにしましょう」


 こういう時のミロクは際立って男らしくなる。ヨイチは「成長したね」と親のようにミロクを褒めた。


「なぁ、尾根江って表立ってプロデュースしないって言ってたよな?」


「そうだね」


「それで……この仕事ですか?」


「うん、僕も驚いているよ。なにせデビューもしていないからね」


 意外と言ってはアレだが、彼らは尾根江がそこまで本気だとは思っていなかった。それを見越していたかのように仕事を持ってくるという、彼(?)はある意味『本気』を彼らに見せたのだ。






「はぁ、これはやるしかないね。アイドル」


「マジか」


「まずはユニット名ですよね」


「ミロク、ヨイチ、シジュで、344(ミヨシ)で良いんじゃね?」


「うわっ、適当ですこの人っ」


「ラジオのコーナー名になるんだよ?タイトルコールが『ミヨシ!』って、どうなの?」


「シュールですね。逆にアリですかね」


「「アリなの!?」」


「とりあえず、日本全国のミヨシさんに謝りましょうか。せーの!」


「「「どうもすみませんでした!」」」


<はい、CM入ります!>


 ヘッドフォンを取ってひと息つくミロクは、ガラスの向こうでニコニコしているフミと目が合う。微笑んで手を振ると、顔を赤らめて返してくれた。


「本当にこんなので良いんですかね」


 尾根江は『いつもの三人で良いの!ゆるい感じで!どうやってアイドル活動しようかっていうのを話し合って、リスナーを巻き込んでいくのよ!』と熱弁をふるっていたが、三人は不安でしょうがない。

 事務所の公式サイトのトップには三人のシルエットだけを載せていて、今収録しているラジオが放送されたらユニット名と三人の画像がアップされるようになっている。

 ちなみに今、部屋の外でデザイナーさんが必死に344(ミヨシ)のデザインを考えている。


「普通は事務所が企画したりするんだけどね、アイドルとしての売り出し方とか」


「ま、アイドルっつーかオッサンだしな。正攻法は無理だろう」


<CM終わります!さん、に、いち>


「改めましてこんばんは、344メインボーカル予定のミロク、三十六歳です」


「同じくヨイチ、四十一、一応事務所の社長なんだけど……」


「同じくシジュ、四十、ダンスの担当で良いのか?」


「三人合わせて……」



「「「344(ミヨシ)です!!よろしくお願いします!!」」」





お読みいただき、ありがとうございます。


ずっと悩んでいたユニット名は、こうなりましたm(_ _)m

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