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オッサン(36)がアイドルになる話  作者: もちだもちこ


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20/353

20、結局どうなのか確認、そして虎の尾。

 嵐のような尾根江プロデューサーが去ると、会議室でおっさん三人は途方に暮れる。

 彼曰く「発表会でみた三人が表紙になっている雑誌を見て、私の中で確定したわ!」との事だった。

 打ちのめされるヨイチ。軽い思い出作りとしてやった事が、まさかこんな大事になるとは思ってもみなかったのだろう。


「まぁ、でも企画の段階ですし……」


「何言ってんだ。あの尾根江加茂が『美形オッサンがアイドルなんて、面白いわ!』って、企画がどんどん出てくるって、ウキウキで帰って言ったんだぞ?」


「……シジュごめん、僕のせいで」


「まぁいいさ。俺はともかくヨイチのおっさんがキツいんじゃねぇか?」


「最悪フミに回してもらう。あの子はここの業務ほぼ網羅してるから。決済は僕がやるけどね」


「フミちゃんハイスペックですね。かっこいい……」


 ミロクは髪をホワホワさせながらテキパキ働くフミを思い浮かべ、蕩けるような笑みを浮かべる。


「ぐぅ……またこいつ、色気のコントロールしろっつーの」


「色気?何がですか?」


 コテリと首を傾げるミロクを見て、ヨイチはシジュの肩にポンと手を置いた。


「シジュ、無自覚タラシに何言っても無理だから。なんせ無自覚だから」


「すまねぇ、俺が無力なばかりに……」


「何なんですか!俺は何もしてないですよ!」


 ぷりぷり怒るミロクが、場の空気を緩めてくれる。本人は気づいていないが、彼がその場にいるだけで拗れた問題が自然と解決することがある。

 ヨイチもシジュも、そんな彼に助けられていると改めて感じていた。


「ま、尾根江さんは自分がプロデュースしているのを隠すって言ってたから、基本は地道にミロク君をメインに活動……って感じかな」


「ああ、それなんだけどよ、さっき俺ら三人宛に仕事入ってた」


「「え?」」


「この前の雑誌、GAINAからだ。モデルだと」


「ま、こういうのも活動に入るだろうから、やるべきだろうね」


 三人は疲れた顔をお互いを見合わせて、これからの不安を飲み込みつつ解散となった。














「え、叔父さん本気?」


「そうなんだよね。僕自身もびっくりだよ」


 事務所に残っていたフミに、事のあらましを話すヨイチ。なぜこうなったかは、もう自分でもよく分かっていない。ただ尾根江の「三人でやれば絶対面白いわ!」という言葉に乗ってしまったのだ。

「売れる」じゃなくて「面白い」と言う彼のビジョンを見たくなってしまった。これは自分の悪い癖だ。


「まぁ…でもミロクさんが一人じゃなくて、ちょっと安心かも」


「はは、フミはミロク君にだけは過保護だなぁ。とりあえず僕は動きながらでも仕事出来るようにしておかないと。フミの負担が大きくなってすまない」


「ううん!尾根江さんプロデュースの仕事に携われるなんてすごい!私も頑張る!」


「でも尾根江さんの事は秘密なんだ。実際デビューするかも分からないしね。ただ三人の活動はするから、取り急ぎGAINAの撮影のスケジューリングはシジュに頼んでおいた。フミは僕らとミロク君の仕事に被らないようよろしく」


「はい、社長」


 フミは自分の叔父を改めて見る。

 事務所の運用が上手くいかず、ストレスのあまり太っていたのは心配していたが、元の格好良い叔父に戻った上に、ミロクと芸能活動をする事になるとは……。

 セットした少し長い前髪が落ちて、それをかき上げる仕草は昔と変わらず魅力的だ。

 テレビに出て有名になったりしたらどうなってしまうのか、尾根江ではないが「面白い」とフミは感じる。

 それにミロクの王子様みたいな魅力と、シジュの野獣っぽい魅力がプラスされたら……やっぱり「面白い」のだろうと。


「社長……いえ、叔父さん」


「なんだい?」


「ミロクさんのお姉さんと付き合ってるの?」


 一区切り付いてお茶をすすっていたヨイチは、思いっきり噴いた。


「げっほげっほ……な、なんでそんな話になるんだ?」


「二人で会ってるところを見たから」


「それだけで?」


「だって、叔父さんってそういうの気を使うでしょ?二人でとか。それもミハチさんだよ」


「それはミロク君の事を話していて…」


「それだけじゃないよ」


 ヨイチのデスクの前に立っていたフミは、ゆっくり横に動くと、そこには笑顔のミハチが立っていた。


「こんばんは、フミちゃん、ヨイチさん。何か興味深い話をしていたわね?」


「あ、あの、ミハチさ…」

「ミハチさん!叔父のことをどう思っているんですか!?」


 ヨイチの言葉を遮り、フミは思い切って聞いた。思い切りの良い所もフミの長所である。

 そんな彼女の言葉にミハチは艶やかに微笑む。


「どう思って欲しい?」


 そんな彼女の微笑みに顔を真っ赤にしてフリーズする二人。

 天然タラシ王子の姉ミハチはクスッと笑い、化粧品サンプルを置くと「またね」と二人の顎を人差し指で撫でて去って行った。



 如月家の二人は、大崎家長女に為す術もなく敗北するのであった。









お読みいただきありがとうございます。

次回はミロク君と悩めるおっさんシジュの絡みです。

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