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93、尾根江の謎と与一の推理。

キリが良いので短めです。

オールバック、サングラス、目も覚めるようなオレンジ色のスーツにガチムチ体型。

これがプロデューサー尾根江加茂の基本的なスタイルであり、そのキャラの濃さと相まって会った人々は皆、鮮烈な印象を脳内に無理矢理焼き付けられている。

そんな彼はスラリとしたサラリーマンという、どういう肉体改造でそこまでに細身になったのかが不思議なくらいの変貌を遂げていた。


フミの運転する車で、シジュとミロクの仕事に着いて行くことになった尾根江は、鼻歌混じりでいやに上機嫌だ。


「おいプロデューサー、アンタあの筋肉どこやったんだよ」


「あら、乙女には秘密が多いものなのよぉ」


「誰が乙女だ」


今の会話で体力を大幅に削られたシジュは、ガクリと項垂れる。しかも普通車の後部座席に三人という、男同士でムチムチ密着させられる罰ゲームな状態がさらに体力を削っていった。


「でも尾根江さん、その格好似合いますし、記者とか誰も追ってこないんじゃないですか?」


「そうなのよ。そのためのあの服装なのよ。キャラを印象付けておいて、この格好でおとなしくしていれば誰も尾根江だって思わないの。べんりでしょ?」


すごいなぁとキラキラした目で見てくるミロクに、気を良くするオネ…尾根江。


「あの……なぜ二人の仕事に付いて来られるんですか?」


「心配しなくても大丈夫よ。私の事は事務所の関係者として一緒にいるということにしてちょうだい。ヨイッチャンにはOKもらえたし、色々確認したい事があるのよ」


「分かりました」


不安そうなフミに、尾根江は明るく切り返す。今の尾根江ならば、口調さえ気をつければ何とかなるだろうと思うがしかし……


(((あの筋肉は特殊メイク?)))


三人の謎は謎のままに、車は走り続けるのであった。










ミロクの部屋で仕事をしていたヨイチは、サイバーチームとのやりとりで特に事務所に問題がない事にホッとしていた。

尾根江のゲイ疑惑は度々マスコミで流れる。最初は物申していた尾根江も最近はそのままにする事も多いようだ。彼は雲隠れするのも上手い事から、あまり長引くことなく終息するらしい。

しかし、今回は344(ミヨシ)のプロデュースを内密に尾根江がしているという、ある意味後ろ暗い所があるため、彼の会社ではかなりピリピリしているようだ。そしてこの件を知る人間は、尾根江の秘書数人のみだ。

まだデビューして間もないユニットだが、アニメでの起用やオリコンでの上位獲得などで、世間での認知度は着々と上がってきている。そこで程よいタイミングで尾根江プロデュースである事を公開しようという計画を、こんな馬鹿らしい記事からなし崩しに公開したくはなかった。


「それにしても、あのホテルでの打ち合わせがこんな風にバレるとはね……いや、何かおかしいな」


先程フミから連絡が来て変装している尾根江と一緒だと言っていた。尾根江一人だと。


「まさか、尾根江さんの会社内部の人間が?」


ゲイ疑惑のみで流れたということは、プロデュースの事を知る秘書では無いだろう。尾根江のスケジュールを知っている人間となると……


「一応、つないでおこうかな」


切れ長の目を眇め、スマホを操作しようとしたヨイチは、不意に甘い香りに包まれる。それを胸いっぱいに吸い込んでから、ゆっくり振り返るとそこには愛しい恋人の笑顔。


「後でいいかな」


「いいの?」


「まぁ、メールはしておいたし、今はこっちが大事」


後ろから回された腕を優しく外し、向かい合い視線を合わせる。その程よくくびれた腰に腕を回し、押し倒そうとしたヨイチはそのまま動かなくなる。


「どうしたの?」


「んー、ミハチさんの部屋行こう」


「ふふ、確かに。ここじゃダメね」


「ところで、今日は平日じゃなかった? 仕事は?」


「しばらく自宅勤務。端末持ってるし、何かあれば出るけど……これでも心配してるんだから」


「ごめん」


「謝るなら、行動で」


「了解」


大人な二人は艶めく笑顔を交わし、ミロクの部屋を出て行った。









お読みいただき、ありがとうございます。


ヲトナ…!!

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